彼女たちをトップアイドルに育てるのが俺が生まれた大きな理由の一つだったりするわけであり。

てたまろ

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049 成功へのステップ

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 部屋に行く前に事務所に立ち寄ると社長が渋い顔で自分の机の前にいる。



 「皆を家まで送ってきました」



 「ん? ああ、ご苦労」



 矢崎さんや三島さんが嬉しい言葉をかけてくれたことを伝えようと思ったが何か言える雰囲気ではなかったので直ぐに部屋に向うと五号室のドアの前にリルが立っていた。



 「何か用か?」



 「帰ってくる音がしたから上がって待っていたよ、部屋に入れてくれる?」



 友人を招き入れ茶菓子を出して話を聞く。



 「プリフォーの経営厳しいみたいだね、今日のカメラのレンタル代の費用などかなり掛かったようで次の新曲次第では解散も考えていると言っていたよ」



 社長の表情が優れていなかったのはそれでか。



 「CDの製作費が馬鹿にならないからな、今のが売れ残っている間はサードシングルは出せないだろう、今日みたいにイベントでちょくちょく売っていくしかないだろうが」



 「明日にでも兄さんから直接話があるかもしれないけど還流には早めに伝えておこうと思ってね」



 友人に気を使わせてしまっているな、プリフォーのマネージャーは俺だ、何とかしなければと思いながら今日は眠った。



 翌日、スケジュール確認をしていると社長からのメール音が鳴る。







 『来たれ我が事務所に!』







 何が我が事務所にだよ、1階の管理人室じゃないか、そう思いながら下に降りていく。



 コンコン。



 「社長入りますよ」



 事務所に入ると昨日よりも険しい顔をした社長が仁王立ちで待っていた。



 「還流よ、事務所をたたまなければならないかもかも・・・・」



 「えっ? 突然どうしたっていうんですか?」



 「これを見よ」



 そこにはプリフォーのデビュー曲、セカンドシングルに使った製作費やそれ以外にもかかった金額が記されていた。



 「かなりの大赤字ですね」



 「ああ、正直このままプロジェクトNAネオアイドルを続けていくには資金的に厳しい」



 俺の頭に解散の二文字がよぎった。





 「私たちの最重要プロジェクト、それを成功させるための資金作りで始めたプロジェクトNAに金がかかってしまっていたら本末転倒だ」





 何も反論できない。





 「今日はプリフォーが事務所に集まることになっているよな、あいつらには会社が危ういことはだまっておけ、還流お前も覚悟しておけよ」





 自室に戻ってプリフォーの今後の活動について考えていた・・・・。





※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





 その後の事はお分かりのように突然のキャンプ合宿から新曲の作成、渾身の出来栄えのサードシングル発売間近に劇団の団長三島さんの訪問。





 なんとプリフォーの四人をメインに演劇をしようと言うのだ、新曲も絡めてミュージカル風にしたいとのこと、しかもネットで生配信。





 ここにネオ・アイドル、プリミアムフォーの将来がかかっていると直感した。
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