彼女たちをトップアイドルに育てるのが俺が生まれた大きな理由の一つだったりするわけであり。

てたまろ

文字の大きさ
上 下
45 / 78

045 練習、特訓、稽古の日々 その③

しおりを挟む
 演劇メンバー全員そろっての最後の通し稽古が始まる。



 「井上と佐藤、お前達まだセリフ覚えてないのか! 来週本番だぞ、しっかりしろ」



 舞台監督の矢崎さんが叱りつける。



 舞台ガーディアンHIKARIは全体的にはいい出来で先ほど注意されていた所以外は問題なくお客様に見せることが出来るレベルまでに達していた。



 「井上と佐藤以外は帰っていいぞ、来週本番まで体調管理、しっかりコンディションを整えておくように」



 「それでは来週土日の本番どうぞ宜しくお願い致します」



 挨拶を終えて今度はプリフォーの稽古のために移動する、車内、隣に座る美少女が不満そうに声をかけてくる。



 「本番まで一週間なのにいまだに注意されて大丈夫なんでしょうか?」



 「井上君と佐藤さんの事か、居残りさせられていたし大丈夫だろう」



 「掛け持ちの舞台があるとかバイトだとか言っていたのはあの二人です、プロとして失格だと思います」



 「言い訳しているだけで本当の事はわからないからな、人には得手不得手あるから二人にとってはセリフを覚えるのが苦手なんだろう、表現力や動きなんかは他の団員達よりいいように目立っていたし」



 「確かに他の部分が良いというのは認めますよ、でもセリフ覚えは基本中の基本でしょう」



 「確かにな、特に心のように覚えるのが早いやつ、出来る奴から見るともどかしいのもわかるよ」



 「セリフ覚えるのが早いと言いますが私はそれだけ時間かけてやっているだけで特別に早いとかではないですよ、ようはやる気の問題だと思います!」



 「厳しいな、でも二人も本番はきちんとこなすだろう、心配しなくていいと思うよ」



 「勿論きちんとしてもらわないと困ります、どうして出来ない人の肩を持つんですか?」



 「ん? まぁ俺もどちらかと言うと不器用というか出来ない側の人間だからな、そのせいもあって気持ちは何となくわかるんだ」



 「え? そうなんですか? 何でも上手くこなせる器用な人に思えますが」



 「そう見えるように努力しているだけさ」



 「還流さんはちゃんと努力して出来てるから良いんです、あの二人とは違いますよ」



 「まぁそう言ってやるなよ」





 隣に座る美少女の不満を上手く聞きながら無事プリフォーの稽古場に到着した。



 「心お疲れ様、芝居の方はどうだ」



 彗夏が俺たちに気付き話しかけてきた。



 「おかげさまで順調ですよ」



 「それはよかった、こちらも臣と伊莉愛はしっかり仕上がっているぞ、後は心次第でプリフォーの出来栄えが決まりそうだ」



 そう言われステップやターンを披露するが彗夏の顔がいまいち晴れない。



 「一週間後本番なのはわかっているよな、正直このクオリティだとまずいぞ」



 彗夏が厳しい言葉を投げかける。



 「心ちゃんお芝居の方もあるし大変だよね~、私は十分出来ていると思うよ」



 「そうそう、心お姉ちゃんの分も私たちがフォローすればいいわけだし」

 伊莉愛と臣にも気を使わせていることが分かり落ち込む心。



 「すみません、居残ってでもしっかりやります」



 「ああ、私も最後まで付き合うから大丈夫だ」



 リーダーの責任感から出る言葉だろう、彗夏が笑顔で答える。



 いつものように彗夏が心を、伊莉愛が臣にマンツーマン指導をする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説

宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。 美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!! 【2022/6/11完結】  その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。  そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。 「制覇、今日は五時からだから。来てね」  隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。  担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。 ◇ こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく…… ――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

パーフェクトアンドロイド

ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。 だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。 俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。 レアリティ学園の新入生は100名。 そのうちアンドロイドは99名。 つまり俺は、生身の人間だ。 ▶︎credit 表紙イラスト おーい

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...