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034 心舞台主演決まる

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 セカンドシングルの発売の2週間後、デビュー曲同様直ぐに勢いは落ちてしまい、いかに売り上げを伸ばすか考えている時に舞台の話が入ってきた。

 前回の舞台で心の演技が評価されて舞台監督が是非今回の主役に起用したいというのだ、そこで劇団の団長三島さん自ら轟和荘に足を運んできてくれた。

 事務所内には俺と社長とリル、三島さんの四名がいて舞台の話など聞いている。

 「とまぁこんな感じの内容になります、公演も来月4月の第三土曜日曜の二日だけですので心ちゃんの出演をお願いできませんか?」

 「面白そうですね、社長良いんじゃないですか?」

 「条件としてプリフォーのCDを物販コーナーに置いてもらう、それとデビュー曲と今回の新曲の2曲をステージで歌わせて頂く、それで良ければ心の出演を承諾しよう、どうかな」

 「私の一存では決められませんが舞台監督の矢崎さんに伺いOKが出たらお伝えする形で良いですか?」

 そう言葉と台本を残しお帰りになられた。

 社長が台本に目を通すと『死者が浮かばれずこの世をさまよう』『使命を終え成仏する』などのセリフを声に出し、俺と2度目に会った時にファミレスで話した死んだ彼女のについて尋ねてきた。

 「そういえば環ちゃん人形を千個売った晩は夢に彼女は出てきたと言っていたがその後は現れてくれてるいのか?」

 「いえ、あの晩以降はさっぱりです、夢なんだから出てくれて良いのに、俺が忘れているだけかもしれませんが」

 リルが頭にクエスチョンマークを付けているので俺が事務所に入った理由、環ちゃん人形の姿で現れた彼女の夢の話を教えてあげた。

 「へー、そんなことがあったんだ、たとえ夢の中でも環ちゃんに会えて良かったね」

 「まあな、環ちゃん人形がきっかけで色んなことがあったよな」

 「心ちゃんとの出会いもびっくりしたんじゃない? 環ちゃんが生き返った~! とか」

 「あ~、初めて心を見たときはそう思ったよ」

 「ん? 心とお前の彼女が似ているのか?」

 「中学生の頃の彼女にです、環ちゃんは高校に入ってからは急に大人びていましたから、伊莉愛よりも背が高かったですし」

 「心ちゃんは高校に入っても中学の時と比べてあまり変わってないよね」

 「髪が伸びたくらいじゃないのか? 出会った頃はショートカットだったよ、出会った頃と言えば俺との第一印象が悪くて怖がっていたのを臣とリルで説得したって聞いたけどどんな話をしたんだ?」

 「還流の中学時代の初恋の人に似ていると言ってごまかした、その娘は転向して会えずじまいだったので目の前に現れてびっくりして迫ってしまったみたいと言ったかな」

 「何? 還流よ、お前心に迫ったのか?」

 「誤解です、勢いよく肩に手は置きましたけど」

 「初対面でいきなりでそれは怖がるだろうな」


 俺は苦笑いを浮かべ、親友の顔を見て遅まきながら感謝の言葉を伝える。


 「でもまあ助かったよ、死んだ彼女が目の前に現れたと聞いたら余計怖がるよな、それが良い言い方だと思う」

 その後も二人と他愛のない話を小一時間ほどして心に舞台の件を伝えるために電話で知らせた。
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