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032 神谷宗男の妨害(前編)

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 社長は口髭を軽くつまんで持っている扇子を広げ不敵な笑みを浮かべている。

 「プリフォーのCDも環ちゃん人形同様にプレミアが付くと思っている、5万枚以上は作らない、音楽や映像はその内ネットで視聴可能にするが特典はそうはいかないからな、欲しければCDを買ってくれ、さらにライブに来てくれとつなげていく」


 「そうですね、社長の言うように今回の曲が売れれば、ファンがもっと増えてファースト、セカンドシングルも売れるかもですね」


 「かもではなく売るんだよ、新曲はV系ロックバンド風の楽曲でいく」

 「社長は昔ヴィジュアル系で音楽活動していたことあるんでしたよね?」

 「大昔にな、メジャーにも誘われたんだぞ、その頃ダンスにはまったので辞めたがね」


 バンドをやっていたりダンスや将棋もかなりの腕で経営ビジネスのセンスもある、この人何者だろう、また作曲もされる、今回の曲はロック調でカッコイイ感じに仕上がっている、ファースト、セカンドシングルと違い笑顔は一切無しのハードな感じで歌い上げることになるのでネオ・アイドルとしてプリフォーの新しい一面が見せれる思う。



 キャンプ合宿から三日後の土曜、プリフォーを集めて新曲を聴かせた。

 「かっこいい~」

 「今までの曲調とは全然違いますね」

 「間奏部分にダンスの見せ場作って下さいよ」

 「わくわくします~」


 今回も歌詞を担当したのはリルだ、キャンプ合宿で四人がノートに書いた言葉や文字を参考にして書き上げたとの事、プリフォーも気に入ってくれているようだ。


 その後、なんだかんだ日にちは過ぎていき、一か月が経った、レコーディングやプロモーションビデオの撮影は六月上旬に終え今は下旬、8月8日発売まで学校の休みの日はみっちり歌やダンスのレッスンに励んでいる。

 俺もマネージャーとして売り込みをしないとな、ネットを使って宣伝、店舗に足を運んでCDを置いてもらえるように頼み込み、出来ることをやっているつもりだ。


 プリフォーのCDが伸び悩んでいる大きな理由がある、それは大手事務所の妨害工作にあっているからだ、実の所前々から被害を受けている、リルと臣が出演していた『教えてリル先生♡』が人気があるのに打ち切りになったことやメディアに出させてもらえなくなったこと、プリフォーのCDがメジャーで発売出来ないこと、さらには大手のCDショップに並べてもらえなくなったこと、その他もろもろ邪魔をされたおかげで大きく飛躍できないでいた。


 今年初め、伊莉愛と行ったファッションショーのイベントでお世話になった紅妖こうようさんが言っていた。


 「キルトって味方も多いけどその分敵も多いからね」


 そう、社長は事務所を作った際、色々と妨害が入ったようだ、パフォーマーとしてのキルトの才能を芸能系の経営で生かされては面倒だと思うものもいたのだろう。


 特に神谷宗男かみやむねおと言う大手芸能事務所の社長は執拗に邪魔をしてくる、昔社長がバンドをやっていたりダンサーだったころ、その才能にいち早く見抜きメディアに出ないかと声かけたのがこの方だったそうだが社長は断り続け出なかったそうだ、そんな社長が今になって本人じゃないにしろ表舞台、メディアに出てきたことが気に入らないようでつぶしにかかってきている。
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