彼女たちをトップアイドルに育てるのが俺が生まれた大きな理由の一つだったりするわけであり。

てたまろ

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023 花柄ワンピースの醜態

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 楽屋は大部屋が一部屋で出演するモデルの方々が集まっている、スタッフもチラホラいて30名ほどいるだろうか、その中でもやはりモデルの子達は目立つ、皆流石に背が高い、身長175センチある俺よりも高い子がチラホラいる、170センチそこそこの伊莉愛は一番小さいのではなかろうか、多くのモデルが衣装合わせをしている中、伊莉愛も自分の着る衣装の順番などアシスタントの子と確認取っている、各モデルの腰の部分に出場するナンバーの描かれた丸いプレートが付いているので俺は伊莉愛の前後の三番目と五番目の方を探す。

 本番まで30分切っていることもあり場がピリピリしている、そんな中、3と書かれた丸いナンバープレートを発見する、茶髪にストレートヘアー、身長はヒールを履いている状態で俺よりちょい高いくらいだ、モデルとあってスタイルは良い、一応挨拶をしておいた方が良いので声をかける。


 「あの~、すみません、あなたの後の4番目にステージに上がるのマネージャーをしている雨木川と言うものです、本日はよろしくお願いします。」


 相手はこっちをちらっと見てそっぽむく、隣にいるのはマネージャーなのかその方は俺に会釈はしてくれたが特に話しかけるような素振りは無いのでこの場を去る、なんか嫌な感じだな、5番のナンバープレートの方を探して声かけるが先ほどのモデルと同じような態度だ、まぁ本番前で自分の世界に入っているんだろう、気にせずに伊莉愛の元に戻る、一応3番と5番のモデルを教える、ガチガチに緊張しているので和らげようと話しかけるが聞こえている感じじゃない、イヤホンを伊莉愛の耳に付け音楽を聞かせる、はっとする伊莉愛、俺は頷きそのまま聞いてくれとジェスチャーをする、椅子に座ったまま肩を動かしリズムをとっている、音楽が止まると落ち着きを取り戻した感じがした。


 「今日のステージ、ダンスを踊っているのをイメージしながらウォーキングしてみろよ」

 「ウォーキングしながらダンス?」

 「そう、一歩一歩をまるでダンスするかのように踏みしめるんだ、ダンスはお前の味方だろ、しっかりイメージして歩けばリラックスしてやれる、ダンスの時は人の眼なんか気にせずに出来るんだ、一歩一歩を楽しんで歩いてみろよ」

 「ダンスは緊張しない、歩くのを楽しむ・・・・、はい、やってみます~」

 うん、言葉の語尾が伸びている、いつもの伊莉愛だ、問題なく出来るだろう。

 本番開始5分前の合図がありモデルの皆さんがステージ脇で並んで待つ、伊莉愛もちゃんと順番通りに並んでいるので一先ず安心だ。

 俺は出来るだけサポートをしてやるのが務めだから客席にはいかずステージ脇で見守る、伊莉愛が不安そうな顔をしているので。

 「伊莉愛!」

 声をかけると俺に気付き目が合う、すかさず親指を立てると笑顔になり同じように親指を立てて頷く。


 ステージ開始の音楽が鳴り司会者が場を盛り上げる、歓声が鳴り響く中最初のモデルがステージに上がっていく、次々に進行し伊莉愛の順番が直ぐに来た、堂々とステージに上がる姿になんだしっかりやれているじゃないかと惚れ惚れさせられた、ステージ裏で褒めちぎりたいところだがまだあと3回着替えが残っている、アシスタントの子がスタンバイしていて早や着替えをする、2~3回目と順調に進んでいた、最後4回目の衣装は花柄のワンピースで伊莉愛は上手く着こなしている、堂々とステージ中央迄歩き、振り返り、こちらに戻ってくる、出番も無事終わりに近づいた時だ、ワンピースの肩紐がずれ落ちてしまい伊莉愛がてんぱって早足になり、躓き転んでしまったのだ、お客の中には笑うものもいてショーの雰囲気がガラッと変わってしまった。


 前半のショーが終わり楽屋では伊莉愛に対しモデル達が冷たく接する、特に前後を歩いていた3番と5番のモデルが不機嫌な態度をあらわにする、紅妖さんが中に入ってくれて収まったが・・。

 「あの子達が苛立つ理由分かるわよね、それとあなたが醜態をさらすことであなたじゃなく着ていた洋服が恥をかくのよ、デザインしたデザイナーにも申し訳起たないの、洋服達には恥をかかせないで頂戴、あなたも人前に出る仕事をしているんでしょう、プロとしてしっかりやってもらわなくちゃ困るわけ、以上、お説教はこのくらいにして後半のステージ楽しみにしているわよ」

 紅葉さんは軽く伊莉愛の方を叩き厳しくも温かい言葉をかけてくれてた。


 しかし、伊莉愛はひどく落ち込んでしまい楽屋の外の人気のない廊下で膝を抱えうずくまってしまった。
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