彼女たちをトップアイドルに育てるのが俺が生まれた大きな理由の一つだったりするわけであり。

てたまろ

文字の大きさ
上 下
14 / 78

014 プリフォーのキャンプ合宿二日目

しおりを挟む
 キャンプ二日目の朝。

 散歩から戻ると踊っていた彗夏だけでなく臣、心、伊莉愛もコテージ前に集まっており、俺を待っていた、おはようございます、と挨拶されたのでおはようと返す。

 四人を連れてだだっ広い草原に来る、周りに人がいないので集中してレッスンが出来る、昨日のワークレッスンが楽しかったのか皆何をするのか興味津々のようだ。


 「漫画やアニメで男女が入れ替わるやつがあるだろ? あれをイメージしてほしい」


 皆きょとんとした顔になる。

 「先ずは臣と心、前に出るんだ、もうなんとなくわかるだろうが臣が心を、心が臣に入れ替わったように演じてみてくれ」

 時間は三分間、ヨーイ始め! 掛け声とともにストップウォッチのボタンを押す。

 普段は元気よく飛び回ったり走り回ったりしているイメージのある臣が心のマネなのか内またになり妙にしおらしくなって心に向かって、

 「臣ちゃん昨日のお風呂気持ちよかったね~」

 と可愛く手を振っている。

 心も負けじとケラケラと笑い、俺に向かって、

 「おいかえる、遊びにつれていけ!」

 と言ってみたり無邪気に飛び跳ねながら歌いだす、正直二人とも特徴掴んでるいな~と感心する、彗夏と伊莉愛も楽しそうに見ている。

 ピピッと三分経った合図の音が鳴る。

 演じた二人は大笑いしてお互い私ってそんな感じなの? と疑問を持っている。
 次に臣と心は見学で、彗夏が伊莉愛を、伊莉愛が彗夏を演じてもらう。
 俺はスタートの合図を送る。

 彗夏の演じる伊莉愛は、ゆっくり喋って語尾を伸ばす、体をくねくねさせながら、

 「早く~御飯が~食べたいな~」
 「今日はもう疲れたからねむねむだよ~」

 等言ってる、また普段ゆったりした口調や動きの伊莉愛は、きびきび動いて。

 「キルト社長の付髭、あれ似合ってないから取ればいいのに」

 とか、

 「燃えてきた~!」

 きりっとした表情で右手を高々と上げる、軽く噴き出したよ、臣と心も大笑いしている。

 そんな感じで次々メンバーに入れ替わりのワークレッスン、臣と彗夏ペア、心と伊莉愛ペア、伊莉愛と臣ペア、彗夏と心ペアとで一人3パターンの合計12パターン実施した。


 俺の感想としてはすげー面白かった、心は演技派だけあってメンバーの特徴をつかんでいて見ごたえあったよ、特にリルが目の前にいる時の伊莉愛になりきったやつはすげー笑った。

 「私ってこんななの?」

 それが皆の感想だ、自分がどう観られているか、自分を客観視するのも表現者としては大切だからな、良いワークレッスンになったよ。

 その後は一人ずつ前に出させて三分ずつ各メンバーになりきるワークをさせる、見ているメンバーもただ楽しむだけでなく、しっかりどう特徴をつかんでいるかなどを意識させて見学させる、ワークを終えると感想を言い合う、気づけば12時を回っていた。

 「後半は1時30分からだ、それまで各自食事を済ませておくこと」

 コテージで昼食と考えていたが天気もいいし敷物を持ってきて皆でこの場で食事することにした、前半のワークレッスンが面白かったのか食事が終わった後もメンバーになりきったり社長やリル、俺をまねるものもいた、俺ってこうなの? と思わされる、四人が感じた事と同じ感想を持った。

 後半に入る、これまでのワークレッスンはこのために行ったことだと伝え、デビュー曲の立ち位置にスタンバイさせる、音楽を流すと臣、心は歌い、彗夏、伊莉愛は踊りだす、曲が終わるとメンバー同士ばっちりだねって感じで顔を見合わす。


 「もううすうす気付いていると思うが臣と心、彗夏と伊莉愛それぞれ立ち位置を入れ替え歌と踊りをしてもらうが、ただ自分のパート違いを歌ったり踊るのではなくさっきのワークの様に各メンバーになりきって歌って欲しいんだ」


 皆の目の色が変わり、やってやろうじゃないかって感じになる。

 四人が凄いのか昨日と午前中のワークが良かったのか上手く演じながら自分と違うパートをこなしている、臣は無邪気さを抑え大人びた表情をチラホラ見せると思えば逆に心は歯を見せるように笑顔を強調し歌っている。

 彗夏は小さい体を出来るだけ大きく見せるようにダイナミックに踊り伊莉愛は体を縮めて手足を細かく動かす。

 曲が終わるとそれぞれ顔を見合わせる、あまり褒めると調子に乗るのでまずまずの出来だなと言っておく、次に前後を入れ替える、臣、心は踊りを、彗夏、伊莉愛が歌うことになるので当然皆戸惑う。


 「上手い下手は関係ない、各メンバーになりきり見様見真似でいいからやってみろ」


 午前中のワークの様に全員分のパートの歌、踊りをさせる、続けてセカンドシングル曲も同じようにさせてみた、得手不得手が明確に分かったようで、今後の課題につながる良いワークになったよ。

 今回の新曲は四人同時に歌ったり同じ振り付けで踊ったりしてもらうので全体的なレベルアップが要求される、今まで以上に四人のシンクロ率を上げる必要がある、それが出来れば必ずいいものが出来ると確信しているので後は何度も反復練習あるのみだ。

 そんなこんなであっという間に時間は経ち18時を過ぎていた、流石に皆疲れが果てていて芝生に倒れこんでいる。


 「昨日今日と今までとは違ったレッスンだったので疲れただろう、ちょっと早いけど飯にするぞ」


 するとどこから元気が出たのか臣と彗夏が飛び上がりやったーと言ってコテージに向かって走り出した、続いて心、伊莉愛もスーと起き上がり、それでは行きましょうと二人に続いて歩き出す、あれっ? これならもう1~2回させても良かったなと頭をかきながら4人の後を追った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説

宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。 美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!! 【2022/6/11完結】  その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。  そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。 「制覇、今日は五時からだから。来てね」  隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。  担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。 ◇ こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく…… ――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

便利屋ブルーヘブン、営業中。~そのお困りごと、大天狗と鬼が解決します~

卯崎瑛珠
キャラ文芸
とあるノスタルジックなアーケード商店街にある、小さな便利屋『ブルーヘブン』。 店主の天さんは、実は天狗だ。 もちろん人間のふりをして生きているが、なぜか問題を抱えた人々が、吸い寄せられるようにやってくる。 「どんな依頼も、断らないのがモットーだからな」と言いつつ、今日も誰かを救うのだ。 神通力に、羽団扇。高下駄に……時々伸びる鼻。 仲間にも、実は大妖怪がいたりして。 コワモテ大天狗、妖怪チート!?で、世直しにいざ参らん! (あ、いえ、ただの便利屋です。) ----------------------------- ほっこり・じんわり大賞奨励賞作品です。 アルファポリス文庫より、書籍発売中です!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

パーフェクトアンドロイド

ことは
キャラ文芸
アンドロイドが通うレアリティ学園。この学園の生徒たちは、インフィニティブレイン社の実験的試みによって開発されたアンドロイドだ。 だが俺、伏木真人(ふしぎまひと)は、この学園のアンドロイドたちとは決定的に違う。 俺はインフィニティブレイン社との契約で、モニターとしてこの学園に入学した。他の生徒たちを観察し、定期的に校長に報告することになっている。 レアリティ学園の新入生は100名。 そのうちアンドロイドは99名。 つまり俺は、生身の人間だ。 ▶︎credit 表紙イラスト おーい

処理中です...