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012 環ちゃん人形千個完売おめでとう!
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「あ~、いたたたた、いたたたたた、痛い痛い痛い~」
車内、後部座席で社長がうごめいてる。
「ダンスなんてここ数年まともに踊っとらんのにむちゃしちまった」
等とぶつくさ言っている、少しでもカッコイイと思った自分がバカだったと思ったよ。
「あの二人にダンスを指導されるんですか?」
「私は人に教えるなど出来ん、指導者としては不適合者だ」
「でもレッスン代持って来いって言っていませんでしたか?」
「誰がレッスン代って言った、あれは環ちゃん人形の代金だ、あいつらに買ってもらって最後にお前が買えば無事1000個完売だ」
「あ~、なるほど、でも二人はダンスの指導をしてもらえると思っていますよ」
「シローに頼むさ」
「えっ、シローさんってニューヨークに居る?」
「ここに来る前電話していただろう、相手はシローだ、近々日本に帰って来るらしい、二週間程いるとの事だ」
「ひょっとしてキャッスルズって社長ともう一人はシローさんですか?」
「ああ、そうだ」
「ちょっと、何で教えてくれないんですか、社長がダンス出来るなんて聞いていませんよ」
「フッ、出来る男はミステリアスにしておくものさ」
相変わらずキザなことを言う人だ。
「しかし還流よ、この前入所した心といい、お前は良い人材を引き寄せるな」
「あの子は芝居がしたくて入所したわけで、俺は何もしていませんよ」
「お前が言うならそういう事にしておくさ」
その後、臣、心、彗夏、伊莉愛の4人でアイドルグループを結成させ、CDデビューをさせることや事務所をどう今後発展させるかの話で盛り上がった。
そして、次の日。
彗夏から電話が有り、伊莉愛と二人、事務所近くのファミレスで落ち合うことになった。
「待たせたかな?」
「いえ、今来たところです」
夏休みだし私服で良いのに二人とも制服姿で待っていた、学校は違う様で別々の制服だ。
「それぞれ1万円持ってきました、是非ダンスの指導お願いします」
それだけどな、と俺は紙袋の中から環ちゃん人形を2つ取り出しテーブルに並べる。
「1万円はこの人形の代金として受け取るよ」
彗夏は眉をひそめるが伊莉愛は目を輝かせ、
「あー! 環ちゃん! これって本物ですよね!? 譲ってもらっていいんですか!」
偽物ってあるの? と思ったが、
「ああ、そのために持ってきた」
伊莉愛は直ぐに環ちゃん人形を抱き寄せる、ず~と欲しかったんですよ~と嬉しそうに頬ずりしている。
彗夏も人形を買うことでダンスを指導してくれるなら、という事で999個目の環ちゃん人形を購入した。
「やっと達成だ~!」
ついファミレス内で人目も気にせず雄叫んでしまった。
目の前の二人は唖然としている、環ちゃん人形のエピソードを話してやると興味深そうに聞いてくれた、俺も嬉しくなりついついチョコレートパフェをご馳走してやる、彗夏は最初、環ちゃん人形に興味なさげだったが、999個目が自分の元に来たことに縁を感じ喜んでいだ。
閑話休題
本題に戻ろう、二人はダンスのレベルアップのために、社長に指導してもらいたくて今日ここに来た、将来はダンスで生計を立てたいとの事、今はSNSでの動画の反応しかないがチャンスがあればもっと大きな場で勝負したいとの事だ、中学時代はチアリーディングでの大会で全国3位と良い成績も収めていて自信があるのはわかった。
実際ダンスのクオリティーは高いと素人の俺もわかるぐらいだ、昨日帰りの車内で社長が言った言葉、 『ダンスを教えることはない』 という事を伝えた。
二人はがっかりするがキャッスルズのもう一人、シローさんが指導してくれるとい言うと前のめりになる。
「シローって本当ですか!」
「キルトに会えたのもびっくりだけどシローにも会えるなんて~」
ダンスの指導するのは事務所に入ることが大前提、社長が二人を見て合格だと言っていたので君たち次第だけどどうする? と伝えると二人そろってお願いしますと頭を下げた。
「一度会ってはいるけど改めて社長、臣と心を紹介するからこれから事務所に行こう」
ファミレスから徒歩10分程度の場所にある轟和荘、歩きながら向かう、彗夏、伊莉愛ともに緊張しているようなので適当に話をして和ませる。
あっ! っと伊莉愛が声を出す。
「ひょっとしてリルさんも事務所にいるんですか?」
ああ居るよ、と答える。
「え~、聞いてないのですよ、私ちょっと行けません行きません!」
わかったわかった、といって背中を押す、彗夏も観念しろと言って伊莉愛の手を引っ張る。
轟和荘の目の前、社長には連絡済み、事務所に全員そろっているとの事だ。
事務所のドアをコンコンコンと3回ノックをして入ると。
パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! とクラッカーの鳴る音が事務所に響く。
「還流、環ちゃん人形1000個完売達成おめでと~!」
社長、リル、臣、心と声を揃え祝いの言葉をくれる。
社長が1000個目の環ちゃん人形を俺に手渡し無事やり遂げたなと称賛してくれた、最後の環ちゃん人形を抱いてじっと見る、社長との初めての出会いで見せてもらった大きな環ちゃん、その日の晩に夢の中で人形の姿で現れた幼馴染の水ノ森環ちゃんとの出会い、それから千個売れと言われ必死で売りまわった日々、それらの出来事がまるで昨日のように思い出される、恥ずかしいけどちょっと涙ぐんだよ。
車内、後部座席で社長がうごめいてる。
「ダンスなんてここ数年まともに踊っとらんのにむちゃしちまった」
等とぶつくさ言っている、少しでもカッコイイと思った自分がバカだったと思ったよ。
「あの二人にダンスを指導されるんですか?」
「私は人に教えるなど出来ん、指導者としては不適合者だ」
「でもレッスン代持って来いって言っていませんでしたか?」
「誰がレッスン代って言った、あれは環ちゃん人形の代金だ、あいつらに買ってもらって最後にお前が買えば無事1000個完売だ」
「あ~、なるほど、でも二人はダンスの指導をしてもらえると思っていますよ」
「シローに頼むさ」
「えっ、シローさんってニューヨークに居る?」
「ここに来る前電話していただろう、相手はシローだ、近々日本に帰って来るらしい、二週間程いるとの事だ」
「ひょっとしてキャッスルズって社長ともう一人はシローさんですか?」
「ああ、そうだ」
「ちょっと、何で教えてくれないんですか、社長がダンス出来るなんて聞いていませんよ」
「フッ、出来る男はミステリアスにしておくものさ」
相変わらずキザなことを言う人だ。
「しかし還流よ、この前入所した心といい、お前は良い人材を引き寄せるな」
「あの子は芝居がしたくて入所したわけで、俺は何もしていませんよ」
「お前が言うならそういう事にしておくさ」
その後、臣、心、彗夏、伊莉愛の4人でアイドルグループを結成させ、CDデビューをさせることや事務所をどう今後発展させるかの話で盛り上がった。
そして、次の日。
彗夏から電話が有り、伊莉愛と二人、事務所近くのファミレスで落ち合うことになった。
「待たせたかな?」
「いえ、今来たところです」
夏休みだし私服で良いのに二人とも制服姿で待っていた、学校は違う様で別々の制服だ。
「それぞれ1万円持ってきました、是非ダンスの指導お願いします」
それだけどな、と俺は紙袋の中から環ちゃん人形を2つ取り出しテーブルに並べる。
「1万円はこの人形の代金として受け取るよ」
彗夏は眉をひそめるが伊莉愛は目を輝かせ、
「あー! 環ちゃん! これって本物ですよね!? 譲ってもらっていいんですか!」
偽物ってあるの? と思ったが、
「ああ、そのために持ってきた」
伊莉愛は直ぐに環ちゃん人形を抱き寄せる、ず~と欲しかったんですよ~と嬉しそうに頬ずりしている。
彗夏も人形を買うことでダンスを指導してくれるなら、という事で999個目の環ちゃん人形を購入した。
「やっと達成だ~!」
ついファミレス内で人目も気にせず雄叫んでしまった。
目の前の二人は唖然としている、環ちゃん人形のエピソードを話してやると興味深そうに聞いてくれた、俺も嬉しくなりついついチョコレートパフェをご馳走してやる、彗夏は最初、環ちゃん人形に興味なさげだったが、999個目が自分の元に来たことに縁を感じ喜んでいだ。
閑話休題
本題に戻ろう、二人はダンスのレベルアップのために、社長に指導してもらいたくて今日ここに来た、将来はダンスで生計を立てたいとの事、今はSNSでの動画の反応しかないがチャンスがあればもっと大きな場で勝負したいとの事だ、中学時代はチアリーディングでの大会で全国3位と良い成績も収めていて自信があるのはわかった。
実際ダンスのクオリティーは高いと素人の俺もわかるぐらいだ、昨日帰りの車内で社長が言った言葉、 『ダンスを教えることはない』 という事を伝えた。
二人はがっかりするがキャッスルズのもう一人、シローさんが指導してくれるとい言うと前のめりになる。
「シローって本当ですか!」
「キルトに会えたのもびっくりだけどシローにも会えるなんて~」
ダンスの指導するのは事務所に入ることが大前提、社長が二人を見て合格だと言っていたので君たち次第だけどどうする? と伝えると二人そろってお願いしますと頭を下げた。
「一度会ってはいるけど改めて社長、臣と心を紹介するからこれから事務所に行こう」
ファミレスから徒歩10分程度の場所にある轟和荘、歩きながら向かう、彗夏、伊莉愛ともに緊張しているようなので適当に話をして和ませる。
あっ! っと伊莉愛が声を出す。
「ひょっとしてリルさんも事務所にいるんですか?」
ああ居るよ、と答える。
「え~、聞いてないのですよ、私ちょっと行けません行きません!」
わかったわかった、といって背中を押す、彗夏も観念しろと言って伊莉愛の手を引っ張る。
轟和荘の目の前、社長には連絡済み、事務所に全員そろっているとの事だ。
事務所のドアをコンコンコンと3回ノックをして入ると。
パンッ! パンッ! パンッ! パンッ! とクラッカーの鳴る音が事務所に響く。
「還流、環ちゃん人形1000個完売達成おめでと~!」
社長、リル、臣、心と声を揃え祝いの言葉をくれる。
社長が1000個目の環ちゃん人形を俺に手渡し無事やり遂げたなと称賛してくれた、最後の環ちゃん人形を抱いてじっと見る、社長との初めての出会いで見せてもらった大きな環ちゃん、その日の晩に夢の中で人形の姿で現れた幼馴染の水ノ森環ちゃんとの出会い、それから千個売れと言われ必死で売りまわった日々、それらの出来事がまるで昨日のように思い出される、恥ずかしいけどちょっと涙ぐんだよ。
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