彼女たちをトップアイドルに育てるのが俺が生まれた大きな理由の一つだったりするわけであり。

てたまろ

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010 くねくね動くよ環ちゃん♡

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 轟和荘とどろきわそうに到着、事務所内、社長が奥の席で電話している。

 そして、先ほどまで話題にしていた人物が自分専用のデスクでパソコンを操作している、マウスから手を放す、俺たちが帰って来たのに気づいた様だ。


 「還流、お帰り、臣ちゃん、心ちゃんも撮影お疲れさま」


 小柄で前髪パッツン、やや長めのピンク色のおかっぱ頭、この見た目は女の子に見える男が宝城リル、22歳、小学校からの俺の友人だ。


 「リル先生、ただいま戻りましたー」

 臣がリルにじゃれつくようにくっついている。

 「臣ちゃんいい加減先生はつけなくていいよ」

 「いえ、リル先生はず~っと先生です!」


 こうしてみると仲のいい年の離れた姉妹に見えなくもない。 

 「仲のいい姉妹のようですね」
 と心が俺の心を読んだのかとドキッとした、しかし心が心をって紛らわしいな。

 「何か言いました?」

 
 そこはなんでもないって答えておいた。

 「ねーねーリル先生何しているの~」
 臣がリルの操作していたパソコン画面をのぞき込む。

 「あー! 環ちゃん! 環ちゃんが動いてるー! かえる、心お姉ちゃん見て見て!」


 俺と心もデスクトップをのぞき込む、おー、確かに我が事務所のマスコットキャラクターの環ちゃんがくねくね動いている。

 「環ちゃんもキャラクターとして人気出てきたから動かしたいなと思ってね、兄さんが紗那さなちゃんに頼んで作ってもらったんだ」


 リルの言う紗那ちゃんと言うのはこの轟和荘の3号室に住んでいる漫画家志望の女の子だ、パソコンでイラストを描いたり動画を作ったりもしている、クリエイティブなことが得意なので社長が仕事を依頼することがある。

 動く環ちゃんを見てリル、臣、心が嬉しそうだ、俺も嬉しく思う、この環ちゃんが存在しなければ臣や心と出会うことはなかったかもしれないからだ。

 ちなみに1000個あった環ちゃん人形はあれから売れに売れ完売した! ・・・・と言いたいところだが残り3個となっていた、売ろうと思えば直ぐ売れるのだが社長が残りは、


 「私が決めたやつに売る!」


 との事で残してある、最後の1000個目は俺が買うことになっているので正確には残り2個だな、早く売り切りたい。


 社長は未だ電話している、会話の内容から親しい人みたいだな、彗夏と伊莉愛のダンス動画を見て欲しいのだけど・・・・。

 リルと臣と心は紗那の作った動画、くねくね動く環ちゃんを夢中で見ている。

 俺は今日撮影した画像をPCに入れたり、彗夏と伊莉愛のダンス動画をUSBメモリーに入れる、ふと背後に気配を感じたので振り向くと社長が立っていた、彗夏と伊莉愛のダンスの動画を興味深く見ている、二人とのいきさつを説明すると、直接会いたいとの事だ、実は今、社長と俺とであるプロジェクトを構想中だったりする、それがアイドルグループを作り売り出すことだ。


 そのきっかけが去年一昨年と臣が出演していた、教えてリル先生の番組内で行われた企画で、生徒の中で一番人気ある子に番組テーマ曲を歌う事が決まり、視聴者投票で臣が一位で歌うことになった、耳に残る曲ともあって人気が出て反響もあった、しかし、CD販売はされなかった、希望の声が多かったのにだ。

 なので社長がインディーズ(自主出版)でいいからCDデビューさせようと動き、臣一人ではインパクトが弱いと、5か月前まで轟和荘四号室に住んでいた、社長の友人でダンサーの天城てんじょうシローの一人娘天城二夜てんじょうにやとユニットを組ませデビューさせた、二夜は臣と同じ年という事もありお互い息の合ったコンビとなる、ユニット名『おみ☆にや』でデビュー、CDを一万枚限定で出し一週間で売り切る。

 続いてセカンドシングルと販売したかったのだがシローさんが仕事で二夜を連れてニューヨークへ行ったことで自然消滅した感じになり、幻のユニットとして姿を消した。


 おみ☆にやが成功したことで社長はこの勢いを止めたくなかったのだろう、先月入所したばかりの心をボイトレに通わせて臣と組ませることを考えていたが身長差など絵的にバランスが悪いので人数を増やしてデビューさせたいと考えていたのだ、臣と心が歌う後ろでダンスを踊れる娘を探していたのである。

 なので、彗夏と伊莉愛のダンスを見て興味を持ったようだ、また二人ともそこらのアイドルに負けず劣らず容姿も良いので気になったのだろう、いつも着けている口ひげの先をちょいちょいと引っ張り、

 「還流よ、今からこの子たちに会うのだろう、私も行く、直接踊っている所を見たい」

 俺は直ぐ彗夏に連絡し先ほどの公園に待ち合わせをした、二人のダンスを社長が見たいと伝えると快く承諾してくれた。

 リル、臣、心は事務所に残り俺と社長は先ほどの公園に向かった。
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