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004 プリフォーのキャンプ合宿初日
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AM9時。
俺たち5人はキャンプ場に到着した。
山に近い場所は空気がきれいでいいな、受付を済ませ寝泊まりするコテージへ案内された。
コテージから徒歩5分の場所には露天風呂も用意されている。
このキャンプ場には臣だけは2回来たことあるので勝手がわかっていて3人を案内している、どうも皆ピクニック気分でいるので檄を入れる。
「お前達、今日は遊びに来たんじゃないんだからな」
山登りのための準備をさせて出発した。
AM10時。
本日は晴天、実に登山日和だ、山のふもとにはちらほら登山客がいて賑わいを見せている、標高550m程で初心者にも気軽に登れる高さの山だ。
「アイドルは歌や踊り必須だからな、体力づくりは必要不可欠だ、楽しみながら頂上を目指そう」
4人に声をかける、皆笑顔で元気のいい返事が返ってくる。
登り始めて1時間30分程たった、サスペンスドラマだったらここらで突然天気が崩れ大雨になり足を滑らせ誰かひとり崖に落ちて事件事故が起こったりするんだろうがそんな心配をよそに無事頂上まで来て各自持参の弁当を食べる所だよ。
AM11時50分。
臣
「頂上で食べる御飯は美味しい!」
心
「天気もいいし風がとても気持ちいいね」
彗夏
「時間が許すなら大の字に寝そべって昼寝したいな」
伊莉愛
「わかる~、お腹が満たされると眠気くるね、朝早かったし~」
皆が食事を済ませたのを確認してから片づけ後にペンとノートを出すよう指示する。
「お前達、素直な今の気持ちを口にしてもらっていいか?」
臣→ 心→ 彗夏→ 伊莉愛の順にそれぞれ一言ずつ自由に言わせることにする。
「楽しい!」
「キレイ」
「解放」
「涼しい~」
「賑やか!」
「美しい」
「絶景」
「まぶしい~」
「ヤッホーって叫びたくなる!」
「鮮やか」
「自由」
「眠りた~い」
等々。
「よし、それくらいでいい、今言った言葉と感覚をしっかり持って、イメージトレーニングをするぞ」
自分とメンバーから出た言葉をノートに書かせた後で4人を立たせ、自分の言った言葉を思い浮かべるように指示して何が映像として浮かんだかをお互いシェアさせる。
楽しい、賑やか、ヤッホーって叫びたくなる等の言葉が出た臣はライブ中に空に浮かんで飛んでいくようなのがイメージできたと言っている。
他の三人もそれぞれ自由に意見を出して感心、興味、疑問、発見等メンバー同士で盛り上がっていた。
俺はここからが大事だと言ってから、
「今度は臣の言葉を心がイメージする、心の出した言葉はキレイ、美しい、鮮やか等を彗夏が思い浮かべ、彗夏の言葉を伊莉愛が、伊莉愛のを臣がイメージするんだ」
4人に円になるよう向かい合わせ手を握らせる、それを順番に全員分同じワークをさせる、その後もたっぷり1時間して感想もノートに書かせる。
山を下りながらお互い感じた事、思ったことをアウトプットさせた。
今のワークはメンバーの感じ方、自分との違いを明確化させる、そこのずれがライブでの歌やパフォーマンスで上手くいく、いかないを左右するからだ、正し無理に合わせる必要はない、自分との違い、各メンバーのイメージが理解出来ればいい。
PM15時30分。
山のふもとの川のほとりに到着した、10分程自由時間を作り、四人それぞれに好きなことをさせる、ただし10分やり続けることが出来ること限定でだ、すると、裸足になって川に足をつけ水をけって遊んだり、写真を撮ったり、水切り(石を川に投げる遊び)したり、ノートに風景画を描いたりしている。
10分経ったので集合させ山でやったようにメンバーのやっていたことを各10分ずつそれぞれ順番にさせる、普段自分がしない行動をするという事で戸惑っている子もいるがそれはそれで楽しそうだった。
PM17時。
来た道を行くのではなく道沿いに歩いてコテージに戻る、再度山を登るわけではないので体力的には楽だ、帰りは皆疲れていた感じではあったが充実した顔をしていた。
PM19時。
コテージに到着後、バーベキューの準備に取り掛かった、と言うかすでに準備はされていたので焼いて食べるだけだ、肉、魚、野菜、等並べる、パチパチと火花が散る、串にささった肉を彗夏が豪快にかみついたら負けじと臣もむしゃむしゃ食べる、心と伊莉愛も今日のワークを振り返り賑やかな夕食の時間になった。
PM20時10分。
食事も終え、コテージ内、中央のテーブルで今日体験したこと、気付いたこと、反省点、明日の課題などを4人に書かせる、俺は一人用の机で明日のやることをまとめていた。
「私たちもそろそろ露天風呂に行きましょう」
心が声をかけてきた、周りを見渡すと他のメンバーがいない、俺が不思議そうな顔をしていると、
「皆5分前に出ましたよ」
とのこと、思ったより集中していたようで3人が出ていくのを気付けなかったようだ、俺と心は並んで露天風呂へと向かう。
「今日のレッスンは面白いですね、メンバーの考え方と言うか同じ体験しているのに違う感じ方をしていて、それを共感する、とても勉強になります」
「あのワークはリルが考えたんだよ、あいつ教えてリル先生をやっていた時、子供の悩みを聞くコーナーがあっただろう、番組終了後、振り返ってみて的確に悩みを答えることが出来たのだろうかと、あんな答えで良かったのだろうかと悩むこともあったみたいでね、で、番組も終わったことで時間もあるし心理カウンセリングの資格を取るために勉強始めたんだよね、本当凄いやつだよ」
「還流さんも凄いですよ、ちゃんとワークを理解していないと私たちは何をして良いのかわかりません」
「俺は書かれていることをそのまま伝えているだけださ」
心はやや強めの口調で
「いえ、還流さんの指導のおかげです」
何に対しての返答だったかは忘れたが前も心に対して同じようなセリフで返事したような気がしたが、
「ありがとよ」
と伝える。
その後お互い暫く無言で歩いている、そこには緊張感はなく無理にしゃべる必要はない、少なくても俺は自然体なままでいられた。
沈黙を破ったのは心だった。
「初めて出会った時のことを思うと還流さんとこんな風に話せるとは思っていませんでした」
俺は苦笑いをしながら、
「そうだな」
と答える。
「私男性恐怖症になりかけたんですからね!」
「えっ本当か?」
「あ~、いや、これはまぁ大袈裟な言い方ですが、でもしばらく年上の男性に対して恐怖心はありました」
俺がすまなさそうな顔をしていると、
「ごめんなさい、困らせてみたいで、今は何とも思っていないので気にしないでください」
気にするなって言われてもなぁ・・・・。
「ですから」
「心おねぇちゃ~ん! 早く早く~!」
臣が露天風呂の入り口で手を振っている、彗夏と伊莉愛も待っていた、じゃあまた後でなと別れ間際に、
「責任取ってくださいね」
笑顔でそう言うと三人の元へ走って行った。
責任か・・・・女優業、アイドル業を成功させてくれってことだろうな・・・・。
露天風呂、足を湯に入れるとポカポカして暖かい、そのまま奥の方へ進む、すると狭い通路があり人気がなくシーンとしていている、どこまで続くのだろうかと進んでいくと、一人で入るには十分な広さの場所へと到着した、ちょっとした隠れ湯的な場所だろうか、誰もいないのでまったりくつろぐ、パチャッっと音がしたので振り返ると煙で良く見えないが女性のシルエットが映る、ひょっとしてここは混浴場所に繋がっているのか! ドキドキと心臓の鼓動を感じる、煙が晴れるとそこに綺麗な女性の姿がはっきりと・・・・、なんて展開はないから期待するなよ。
ここは男湯、連休ともあり結構人がいるよ、俺は隅の方でまったりお湯の暖かさを楽しむ、空を見上げているとふと先ほどの心との会話から俺たちの初めて出会った時の事を思い出していた。
俺たち5人はキャンプ場に到着した。
山に近い場所は空気がきれいでいいな、受付を済ませ寝泊まりするコテージへ案内された。
コテージから徒歩5分の場所には露天風呂も用意されている。
このキャンプ場には臣だけは2回来たことあるので勝手がわかっていて3人を案内している、どうも皆ピクニック気分でいるので檄を入れる。
「お前達、今日は遊びに来たんじゃないんだからな」
山登りのための準備をさせて出発した。
AM10時。
本日は晴天、実に登山日和だ、山のふもとにはちらほら登山客がいて賑わいを見せている、標高550m程で初心者にも気軽に登れる高さの山だ。
「アイドルは歌や踊り必須だからな、体力づくりは必要不可欠だ、楽しみながら頂上を目指そう」
4人に声をかける、皆笑顔で元気のいい返事が返ってくる。
登り始めて1時間30分程たった、サスペンスドラマだったらここらで突然天気が崩れ大雨になり足を滑らせ誰かひとり崖に落ちて事件事故が起こったりするんだろうがそんな心配をよそに無事頂上まで来て各自持参の弁当を食べる所だよ。
AM11時50分。
臣
「頂上で食べる御飯は美味しい!」
心
「天気もいいし風がとても気持ちいいね」
彗夏
「時間が許すなら大の字に寝そべって昼寝したいな」
伊莉愛
「わかる~、お腹が満たされると眠気くるね、朝早かったし~」
皆が食事を済ませたのを確認してから片づけ後にペンとノートを出すよう指示する。
「お前達、素直な今の気持ちを口にしてもらっていいか?」
臣→ 心→ 彗夏→ 伊莉愛の順にそれぞれ一言ずつ自由に言わせることにする。
「楽しい!」
「キレイ」
「解放」
「涼しい~」
「賑やか!」
「美しい」
「絶景」
「まぶしい~」
「ヤッホーって叫びたくなる!」
「鮮やか」
「自由」
「眠りた~い」
等々。
「よし、それくらいでいい、今言った言葉と感覚をしっかり持って、イメージトレーニングをするぞ」
自分とメンバーから出た言葉をノートに書かせた後で4人を立たせ、自分の言った言葉を思い浮かべるように指示して何が映像として浮かんだかをお互いシェアさせる。
楽しい、賑やか、ヤッホーって叫びたくなる等の言葉が出た臣はライブ中に空に浮かんで飛んでいくようなのがイメージできたと言っている。
他の三人もそれぞれ自由に意見を出して感心、興味、疑問、発見等メンバー同士で盛り上がっていた。
俺はここからが大事だと言ってから、
「今度は臣の言葉を心がイメージする、心の出した言葉はキレイ、美しい、鮮やか等を彗夏が思い浮かべ、彗夏の言葉を伊莉愛が、伊莉愛のを臣がイメージするんだ」
4人に円になるよう向かい合わせ手を握らせる、それを順番に全員分同じワークをさせる、その後もたっぷり1時間して感想もノートに書かせる。
山を下りながらお互い感じた事、思ったことをアウトプットさせた。
今のワークはメンバーの感じ方、自分との違いを明確化させる、そこのずれがライブでの歌やパフォーマンスで上手くいく、いかないを左右するからだ、正し無理に合わせる必要はない、自分との違い、各メンバーのイメージが理解出来ればいい。
PM15時30分。
山のふもとの川のほとりに到着した、10分程自由時間を作り、四人それぞれに好きなことをさせる、ただし10分やり続けることが出来ること限定でだ、すると、裸足になって川に足をつけ水をけって遊んだり、写真を撮ったり、水切り(石を川に投げる遊び)したり、ノートに風景画を描いたりしている。
10分経ったので集合させ山でやったようにメンバーのやっていたことを各10分ずつそれぞれ順番にさせる、普段自分がしない行動をするという事で戸惑っている子もいるがそれはそれで楽しそうだった。
PM17時。
来た道を行くのではなく道沿いに歩いてコテージに戻る、再度山を登るわけではないので体力的には楽だ、帰りは皆疲れていた感じではあったが充実した顔をしていた。
PM19時。
コテージに到着後、バーベキューの準備に取り掛かった、と言うかすでに準備はされていたので焼いて食べるだけだ、肉、魚、野菜、等並べる、パチパチと火花が散る、串にささった肉を彗夏が豪快にかみついたら負けじと臣もむしゃむしゃ食べる、心と伊莉愛も今日のワークを振り返り賑やかな夕食の時間になった。
PM20時10分。
食事も終え、コテージ内、中央のテーブルで今日体験したこと、気付いたこと、反省点、明日の課題などを4人に書かせる、俺は一人用の机で明日のやることをまとめていた。
「私たちもそろそろ露天風呂に行きましょう」
心が声をかけてきた、周りを見渡すと他のメンバーがいない、俺が不思議そうな顔をしていると、
「皆5分前に出ましたよ」
とのこと、思ったより集中していたようで3人が出ていくのを気付けなかったようだ、俺と心は並んで露天風呂へと向かう。
「今日のレッスンは面白いですね、メンバーの考え方と言うか同じ体験しているのに違う感じ方をしていて、それを共感する、とても勉強になります」
「あのワークはリルが考えたんだよ、あいつ教えてリル先生をやっていた時、子供の悩みを聞くコーナーがあっただろう、番組終了後、振り返ってみて的確に悩みを答えることが出来たのだろうかと、あんな答えで良かったのだろうかと悩むこともあったみたいでね、で、番組も終わったことで時間もあるし心理カウンセリングの資格を取るために勉強始めたんだよね、本当凄いやつだよ」
「還流さんも凄いですよ、ちゃんとワークを理解していないと私たちは何をして良いのかわかりません」
「俺は書かれていることをそのまま伝えているだけださ」
心はやや強めの口調で
「いえ、還流さんの指導のおかげです」
何に対しての返答だったかは忘れたが前も心に対して同じようなセリフで返事したような気がしたが、
「ありがとよ」
と伝える。
その後お互い暫く無言で歩いている、そこには緊張感はなく無理にしゃべる必要はない、少なくても俺は自然体なままでいられた。
沈黙を破ったのは心だった。
「初めて出会った時のことを思うと還流さんとこんな風に話せるとは思っていませんでした」
俺は苦笑いをしながら、
「そうだな」
と答える。
「私男性恐怖症になりかけたんですからね!」
「えっ本当か?」
「あ~、いや、これはまぁ大袈裟な言い方ですが、でもしばらく年上の男性に対して恐怖心はありました」
俺がすまなさそうな顔をしていると、
「ごめんなさい、困らせてみたいで、今は何とも思っていないので気にしないでください」
気にするなって言われてもなぁ・・・・。
「ですから」
「心おねぇちゃ~ん! 早く早く~!」
臣が露天風呂の入り口で手を振っている、彗夏と伊莉愛も待っていた、じゃあまた後でなと別れ間際に、
「責任取ってくださいね」
笑顔でそう言うと三人の元へ走って行った。
責任か・・・・女優業、アイドル業を成功させてくれってことだろうな・・・・。
露天風呂、足を湯に入れるとポカポカして暖かい、そのまま奥の方へ進む、すると狭い通路があり人気がなくシーンとしていている、どこまで続くのだろうかと進んでいくと、一人で入るには十分な広さの場所へと到着した、ちょっとした隠れ湯的な場所だろうか、誰もいないのでまったりくつろぐ、パチャッっと音がしたので振り返ると煙で良く見えないが女性のシルエットが映る、ひょっとしてここは混浴場所に繋がっているのか! ドキドキと心臓の鼓動を感じる、煙が晴れるとそこに綺麗な女性の姿がはっきりと・・・・、なんて展開はないから期待するなよ。
ここは男湯、連休ともあり結構人がいるよ、俺は隅の方でまったりお湯の暖かさを楽しむ、空を見上げているとふと先ほどの心との会話から俺たちの初めて出会った時の事を思い出していた。
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