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アンタレスの心臓
しおりを挟むイオ「アンタレスの心臓はピピリとレフィリアと言う兄妹がカブトムシに乗って星になったと言う話がある」
イオ「誰にも邪魔されない2人の、2人だけの、誰もいない楽園を目指して、飛んで行ったんだ」
イオ「兄妹は今は幸せに暮らしているのだろう」
イオ「自分達で手に入れた楽園にいるのだから」
イオ「僕にも空を飛べる術(すべ)が有れば、ほんの少しの勇気が有れば」
イオ「僕は自由を手に入れて」
イオ「星に成れたのかもしれない」
星空が見える岩に座るイオ
リオン「おい」
イオの肩に手を置く
イオ「リオン…。」
リオン「やっぱりここに居たか。また何か考えているのか?」
イオの隣に座る
リオン「考えたって何も変わらないぞ」
イオ「分かってるよ。分かってるけどさ…。」
リオン「…考えちゃう気持ちも分かるけどさ」
リオン「そんなに明日が不安か?」
イオ「…。」
リオン「大丈夫だって。訓練でやったことをそのままやるだけだって」
イオ「それでも…。怖いよ…」
リオン「…」
リオン「まぁ、長時間やるわけじゃないからさ。サクッと終わらせて帰ろうぜ」
リオン「終わったらクッキー焼いてやるからさ」
リオン「それに、そのままだと俺にも影響が出る。悪いけど、それは勘弁してくれ」
イオ「…そうだね」
リオン「ほら、戻ろうぜ。あと5分で訓練時間だ」
イオ「分かった…」
訓練場へ行く
天井まで真っ白い部屋
2人の耳に指示が入る
SE:無線の音(ザーッなどの)
リオン「ツィンズ・ディーツヴァング」
イオ「コール・エディション」
リオン「3・2・1(スリー、ツー、ワン)Go!!」
2人同時に模擬戦闘人形に向かって走ってく
SE:走る音
100体ほどの人形から一斉射撃が行われる
SE:複数の銃声(ガトリングなどの)
イア「コールド・オープン。ライト3、レフト5」
リオン「カタストロフィ・起動」
リオンが腕に着けた装置を起動させ、その間にイオが次々に人形を切り裂いていく
(SE:金属音)
リオン「オール・シット」
イオ「ラジャー」
イオ上に飛び、リオンの後ろに着地する
リオン「ファイア」
爆発音が鳴る
SE:爆発音
イオ「目標の消滅を確認しました」
電子音信号から「部屋に戻れ」というシグナルが送信される
SE:電子音
(セリフを言っても言わなくても良い、言う場合でしたら、ボイスチェンジャーなどで機械音に変える)
リオン「ラジャー」
イオ「ラジャー」
部屋に戻る最中
イオ「……。」
リオン「おっと!イオ、大丈夫か?」
イオ「……うん。ちょっとふらつくけど……」
リオン「最近多いな…。明日、大丈夫か?」
イオ「うん…。少し横になれば大丈夫だから」
リオン「そうか、今日は一緒に寝るか?」
イオ「そう、したいな…」
リオン「分かった。先に部屋に行っててくれ。俺は報告をしてから行くよ」
イオ「…分かった」
部屋に入りシャワーを浴びる
SE:シャワー音
イオ「いてて…、さっきのシンクロで目の奥が…」
イオ「……遂に明日か……」
SE:シャワー音終わり
イオ『僕達が生まれてから続いている戦いが有る。僕が生まれて初めて手にしたものは確か銃だった。それで物を撃った時、あまりの衝撃で体が吹っ飛んだことを思い出す』
幼少期
四方全てが真っ白の部屋の中で数名の子供達が遊んでいる
部屋の隅でうずくまってるイオ
リオン「なぁ、お前が俺のツィンズか?」
イオ「え…?」
リオン「だって首に付いてる番号が俺と一緒だもん」
イオ「ああ…、そう、なの、かな?」
リオン「そうだよー。絶対そうだ」
リオン、隣に座る
リオン「俺はリオンって言うんだ。お前は?」
イオ「……イオ」
リオン「イオか、よろしくな」
イオ「……ねぇ、ツィンズって何するんだろう」
リオン「なんか、しゅじゅつ?ってやつであたま?に何か入れるって、あの白い服の人が言ってたぞ」
イオ「しゅじゅつってなんだろう…?」
リオン「わっかんねー。でも、今日やるって言ってたな」
イオ「そっか…」
白い服の人「まぁまぁ、もう仲良くなったのかい?」
リオン「うん」
白い服の人「それは良かった。じゃ、2人とも、こっちにおいで」
イオ「リオンは初めてできた僕と話をしてくれる人。僕は部屋の隅で座っているだけだけど、リオンは部屋のみんなと沢山お話をする人だ」
手術室に入って隣で寝転がる
白い服の人「じゃ、これから少し眠るよ」
リオン「えー、いつまで寝るのー?」
白い服の人「時間が来れば起きれるから眠ってね~」
リオン「はーい」
白い服の人「イオ、ほらあなたも寝なさい」
イオ「……僕、怖い」
白い服の人「大丈夫よ。少し眠るだけだから」
リオン「イオ、怖いの?じゃ、俺の手、握ってなよ」
イオ「……」
白い服の人「イオ、リオンが手を繋いでくれるって。安心だね」
イオ「……分かった」
白い服の人「じゃ、眠るよ」
SE:シューと言う煙が出る音
イオ「目が覚めると、僕達の腕には腕輪のような模様が付いていた。そして」
リオン「う……ん」
イオ「……ッ」
リオン「(いってて、頭がずきずきする…)」
イオ「?!」
リオン「(全く、一体なんなんだよ、早く遊びたいのに)」
イオ「え?リオン?」
リオン「?どうしたイオ?」
イオ「え…?今、喋った?」
リオン「え?今は喋ったよ」
イオ「違う、そうじゃ無くて」
リオン「(何いってんだ?)」
イオ「ほら!今も、喋ったじゃん!」
リオン「え?喋ってないよ」
イオ「でも、でも、ぼ、僕に声が聞こえるんだ、リオンの声が!」
白い服の人「まぁまぁ、声が聞こえるのね。成功だよ2人とも」
リオン「どういう事?」
イオ「(僕の声は聞こえないのかな?)」
リオン「え?イオ、今喋った?」
イオ「え?ううん」
リオン「え…、イオの声が聞こえる…」
白い服の人「うん。これで2人は見事にツィンズになったね。おめでとう!!」
イオ「あの日から、僕達はいつも一緒になった。楽しい事も、悲しい事も、痛い事も。腕のスイッチを押すと、2人の考えている事、見ているものが一緒になった」
イオ「どうやら『セイコウ』したみたい。どういう事かは分からないけど」
イオ「その日から僕達は『白い部屋』に行かなくなった。その代わりに『白い場所』に行くことになった」
イオ「その場所は『訓練』を行う場所だった」
イオ「毎日訓練をした。凄く痛かったし、凄く苦しかった」
SE:金属音などのはじかれる音
リオン「うわぁ!!!」
イオ「リオン!!」
【管理者のセリフは読むか危険信号などのSE:電子音等でお願いします】
管理者「情けないぞ。たかだか30体の戦闘人形に手こずるんじゃない」
イオ「で、でも!リオンの肩から血が」
管理者「黙れ」
イオの顔を殴る
SE:殴る音
床に叩きつけられる
SE:叩きつけられる音
イオ「うぁ…!!グッ……」
管理者「黙って言うとおりに従え。さっさと立て。50体を倒すまで終わらんからな」
イオ「で、でも…」
リオン「(イオ)」
イオ「!!」
イオ「リオン」
リオン「(俺は、大丈夫だから、続けて)」
イオ「で、でも」
管理者「イオ、リオンは何と言ってる」
イオ「……」
リオン「(早く言え)」
イオ「だ、大丈夫だって」
管理者「宜しい。続けよう」
イオ「リ、リオン…」
リオン「落ち着け。相手をよく見ろ。俺達なら大丈夫だ」
イオ『その日、リオンは倒れてしまった』
イオ『僕はそれが悔しくてリオンが治療を受けている間に訓練を続けた』
イオ『リオンから流れてくる声を聞きたくなかったから』
一週間後
イオ、訓練後自室に戻る途中でリオンに合う
リオン「よっ」
イオ「…!リオン!もう怪我は大丈夫なの?」
リオン「ああ、この通り、全快だぜ。……悪かったな。心配かけちまって」
イオ「え?僕は大丈夫だよ」
リオン「嘘だろ。ずっと聞こえてた」
イオ「…。」
リオン「俺のせいで訓練も増えたんだよな。……ありがとな」
イオ「ううん。僕がお願いしてやって貰ったんだ」
リオン「…………」
イオ「それにね、もう少しであれが使えるかもしれないんだ」
リオン「え、本当か?!」
イオ「うん。明日からリオンも訓練をするでしょ?その時に一緒にやろう」
リオン「そうだな。じゃあ、今日は早く休むか」
イオ『僕達はお互いの心の声が聞こえる。と言っても全部じゃない』
イオ『これは聞かせたくないなって事は伝わらない』
イオ『だから、僕は今日は何個か本当の事は言わなかった』
イオ『言ったら』
イオ『リオンは悲しむと思うから』
次の日
訓練の部屋にて
SE:高速で動く音風の音等
リオン「うわ!っとっとっと!」
イオ「リオン?!な、何今の速度?!」
リオン「分かんねぇ、最短距離で動こうと思ったら急に体が…」
管理者「リオン」
リオン「はい」
管理者「完成だ。それがお前の能力「神速」だ。大いに役立てろ」
リオン「神速…」
イオ「凄い!凄いよリオン!」
イオ「…僕は、今日も駄目だった」
管理者「イオ」
イオ「っ、はい…」
管理者「明日から人形の数を倍に増やす」
リオン「!、おい!それは!」
管理者「ならば迅速に開放させよ、以上だ」
リオン「おい!待て…」
イオ「(被せて)リオン辞めて」
リオン「っ…けどよ!」
イオ「本当の事だから、仕方ないよ」
リオン「だからって!数を倍だなんて!今でもやっと倒せるかなんだぞ!」
イオ「だったら、僕が早く能力を覚醒させればいいだけだから…」
リオン「っ…。…………分かったよ」
イオ「え…?」
リオン「付き合ってやるよ。俺はお前のツィンズだからな。ただ、約束がある」
イオ「約束?」
リオン「絶対に一人で行こうとするな。絶対だ」
イオ「え、でも、これは僕の問題であって」
リオン「俺は関係無いってか?」
イオ「そ、そう言う訳じゃ…けど、あ…足を…」
リオン「引っ張るかって?そんな訳ねーだろ?」
イオ「だけど…」
リオン「あのなぁ、イオ。お前、自分の事低く見過ぎだぞ?」
イオ「え?」
リオン「確かに、俺達の能力は、何時、何が覚醒するかなんてわからない。俺だって、たまたまだと思うぜ。けど、ここに居る人間は全員何かしらの能力を持っている。けど、「何時」ってのは皆バラバラだ。焦ることは無い」
イオ「…………」
リオン「それに、能力が無くたって、お前は十分強いぜ?あんな難しいプシカを狙いを外さずに撃てるんだからさ」
イオ「そう、なのかな…」
リオン「ま、大丈夫だよ。ほら、今日は飯食って寝ようぜ」
イオ「う、うん」
イオ「結局、あの日から僕の能力が覚醒することは無かった」
イオ「人形の数は沢山増えて、毎日痛かったし、へとへとになっていた。そして」
イオ「出撃の日が来た」
激しい爆発音が鳴り響く、空は灰色で何も見えない
微かに、人間の声らしきものも聞こえる
SE:爆発音連続で何度か
リオン「…………行くぜ」
イオ「…………わかった」
リオン「ツィンズ・ディーツヴァング」
イオ「コール・エディション」
リオン「3・2・1(スリー、ツー、ワン)Go!!」
SE:走る音
イオ「合図と共に僕達は煙の中に走って行った。」
イオ「前方には動く者が見える」
イア「コールド・オープン。ライト40、レフト80」
リオン「カタストロフィ・起動」
イオ「数を確認し、リオンが動く者を切っていく」
SE:斬撃音(血が出る音があるとなおよし)
切ったものから、赤い液体が噴出する
リオン「え…」
イオ「あ…」
イオ「リオンは神速が発動しているため、一定の時間は止まれない」
リオン「うぁ、うわあああああああ!!!なんだよこれぇえええ!!!」
イオ「リオンの体が赤い液体で覆われておく」
リオン「て、鉄…の……?ち、血だ!血だぁあああ!!」
リオン「い、嫌だ!!止めてくれぇえええ!!!」
イオ「リオーーーン!!!」
リオン「嫌だ!!嫌だ!!嫌だ!!嫌だぁあああ!!」
SE:連続で切る音
イオ「あ、あああ!!」
イオ「リオンは叫びながら次々と切っていく。」
ーボトッ
SE:何かが落ちる音
イオ「ヒッ!!!」
イオ「空から何か降って来た」
イオ「ッ…………!!う、う、腕!!!!ま、まさか…………」
リオン「あ、ああ…………ああ…………」
イオ「ハッ!!リオン!リオーーン!!」
SE:走る音
イオ「赤い水たまりの上を走ってリオンの所へ走る。リオンは膝をついていて動かない」
SE:走る音終わり
イオ「ハァ、ハァ!!リオン!!大丈夫?!」
リオン「あ、ああ…」
イオ「リオン!!しっかりして!!」
リオン「イ、オ……、お、俺…俺達が………切った、のは…………に」
銃声が聞こえる
SE:銃声音1回
リオンのこめかみを貫通し
リオンが倒れる
イオ「え」
後ろから怒号が聞こえる
SE:大勢の声
イオ「リオン」
イオ「リオン」
イオ「リオンったら」
いくら揺すっても起きない
イオ「リ…オ…ン」
目の前に大勢押し寄せ、イオに向かって銃を構えている
SE:銃を構える音
イオ「リオン…」
銃がセットされる音が聞こえる
イオ「リオン…」
「撃て」と言う声が響く
イオ「許さない」
声が聞こえた瞬間イオの体から紫色の液体が溢れ出す
SE:水があふれるような音
イオ「許さない」
液体はイオの体を覆い、弾をはじき返す
驚いた大勢は逃げ出す
SE:金属をはじく音
イオ「許さない…」
イオは液体を大勢に向けて纏わせる
その瞬間、もがき苦しみながら死亡する
SE:水が広がるような音
イオ「許さない…ッ」
自分の後方にも液体を溢れさせる
1がイオに向かって銃を構える
SE:水が広がるような音
イオ「許さなーーーい!!!!」
眼からも紫色の液体を溢れさせ、辺りに噴出させていく
液体に巻き込まれ者が死亡していく
SE:水があふれる音
イオ、叫びながら液体を広げていく
(叫ばなくても大丈夫です)
煙の向こうから、高速で何かが飛んでくる
それは、イオの肩を貫いた
SE:銃声音
イオ「う」
その声の瞬間
無数の弾がイオの体を貫いた
SE:銃声の連射音
イオ「銃声が止んだ時、僕の目に移ったのは、灰色の空だった」
イオ「…………(何かを喋ろうとしている)」
―グチャッ
SE:何かがつぶれる音
イオだった肉体は、崩れて落ちた
イオ「アンタレスの心臓はピピリとレフィリアと言う兄妹がカブトムシに乗って星になったと言う話がある」
イオ「誰にも邪魔されない2人の、2人だけの、誰もいない楽園を目指して、飛んで行ったんだ」
イオ「兄妹は今は幸せに暮らしているのだろう」
イオ「自分達で手に入れた楽園にいるのだから」
イオ「僕にも空を飛べる術(すべ)が有れば、ほんの少しの勇気が有れば」
イオ「僕は自由を手に入れて」
リオン「おーーい!イオーー!!」
イオ「リオン!あれ?なんで…?」
リオン「なんでって何が?」
イオ「え、だって今、僕達…あれ?僕、何言おうとしたんだっけ…?」
リオン「なんだよそれ。それよりも、あっちに面白そうな光が有るんだよ!」
イオ「光…?あ、本当だ」
リオン「行ってみようぜ!!!」
イオ「あ、待ってよ!リオン!!」
イオ「僕は星に成れたのかもしれない」
――ピッ、ピッと無機質な機械音が流れる
液体が満ちたカプセルケースに2人の少年が入ってる
一つには頭に傷を負った少年が
一つには体中穴だらけになり、顔が分からない少年が
――ピッ、ピッ、ピッ…………
無機質な機械音が木霊していた
終わり
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