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宝石館カナカの守り人
しおりを挟む山の奥地にひっそり佇んでいる、ステンドグラスでできた小さな邸。
周りには色とりどりの花が咲いている。
扉を開けると眩しいくらいの宝石が飾られている。
奥の席に目を向けると、美しい女性が宝石を見ながら座っている。
レナ「こんにちは。」
レナ「ようこそ、宝石館「カナカ」へ。」
レナ「ここには、世界中からやってきた様々な宝石達が暮らしているの。」
レナ「こんなお話は知っているかしら」
レナ「とある花は、とても美しい石に恋をしました。」
レナ「そして、その石と同じになりたいと願った花は、」
レナ「自分の持っている美しい花びらも、みずみずしい体も捧げて祈り、」
レナ「綺麗な宝石になりました。」
レナ「このお花の物語はここで終わり。」
レナ「でも、物語が終わるわけじゃないの。」
レナ「宝石になったあとも物語は続いていく。」
レナ「ここは、美しくも不変な宝石憩いの場。」
レナ「私は、この宝石達の管理者。」
レナ「キラキラと光る場所を、」
レナ「守っているの。」
レナ「ここに来るお客さんは」
レナ「その物語を紡ぎたくて来るか。」
レナ「覗きたくて来るか。」
レナ「はたまた、己が宝石になったから来るか…。」
レナ「貴方は…?」
レナ「ああ、あなたは」
レナ「石化が始まってるのね。」
レナ「私の所に来る者たちはね、」
レナ「体にその反応が現れてから来るの。」
レナ「でも、ごめんなさい。」
レナ「石化が始まってしまったら元には戻らないの。」
レナ「その場所を破壊するか、受け入れるか。」
レナ「その二択になってしまうの。」
レナ「受け入れれば、美しい宝石となって永遠に生き続ける。」
レナ「破壊は、命の終わりを意味するの。」
レナ「でも、それ以外の選択もあるわ。」
レナ「貴方が石化となった原因を無くすこと。」
レナ「…。」
レナ「そう。その記憶を消すの。」
レナ「宝石はね、」
レナ「記憶を閉じ込めておきたいから」
レナ「その瞬間の、一番綺麗な時を止めるために」
レナ「宝石になるの。」
レナ「貴方の、そこまで残したい想いは何?」
レナ「そして、それを分かったうえで」
レナ「どうしたい?」
少し考えて、記憶を消すことを選択する
レナ「分かったわ。」
レナ「目を瞑って。」
レナ「「風は温かく包み、柔らかな眠りへ誘う」」
レナ「「流れる川は全てを洗い、繰り返す」」
レナ「「月夜に旅立つウサギたち」」
レナ「「眠りにいざないなさい」」
眠りに落ちる。
レナ「目が覚めれば、元通りですよ。」
レナの手に一つの宝石が握られる。
店の棚の一つに飾る。
レナ「この宝石達は、宿主の記憶そのものなの。」
レナ「そして、その宝石達は忘れられてしまう。」
レナ「彼の想いの正体は、恋人。」
レナ「…辛かったね。」
頭を撫でる。
レナ「思いが入っている宝石は」
レナ「忘れられてしまうと」
レナ「灰になり、消えてしまう。」
レナ「私は、そんな宝石達の憩いの場を作る。」
レナ「カナカの守り人、レナ」
レナ「あなたも、宝石達の物語、覗いてみませんか?」
終
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