【完結】うちのお嬢様が婚約者の第2王子から溺愛されているのに真実の愛を求めて婚約破棄しそうです。

みやこ嬢

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本編

16話:お嬢様は取り巻きの令嬢と仲良く過ごされております

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 普段は婚約者と過ごしていたランチタイム。
 ここ数日は毎回取り巻きの令嬢たちと過ごすようになっていた。

 フィーリアの取り巻きは四人。

 一人目は、エマリナ・キトル・メディクム。
 先日男爵令嬢アウローラをイビり倒した張本人。名門メディクム侯爵家の長女で、気の強い悪役令嬢タイプであるが、フィーリアに心酔している。

 二人目は、クオリエ・クミル・サティオス。
 サティオス伯爵家の一人娘。穏やかな性格で、自分から口を開くことはまずない。幼馴染みのエマリナに引き摺られる形で取り巻きの一員になった。現在はフィーリアの人柄に惹かれ、自らの意志で側にいる。

 三人目と四人目は双子の姉妹、セレイラ・ラスト・ヴィラシアとシルエラ・レスト・ヴィラシア。
 ヴィラシア伯爵家の末の姉妹で、周囲から非常に可愛がられて育っているため、年齢より幼く無邪気な性格をしている。髪型が外ハネか内巻きかで区別する。

 この四人は幼少期からの付き合いで、フィーリアが自然体で居られる数少ない友人である。

「久々にフィーリア様と昼食をご一緒できて嬉しいですわ! ラシオス様はよろしいんですの?」
「え、ええ。よく考えたら卒業後には結婚するんですもの。在学中は貴女たちとの親交を深めておこうと思って」
「まあ、嬉しいお言葉!」
「そういうことなら大歓迎ですわ~!」

 婚約者であるラシオスを避けているとは言えず、フィーリアは適当に誤魔化した。だが、その言葉に四人は感激していた。
 貴族学院卒業後はそれぞれ嫁ぎ先が決まっている。王宮主催の茶会に参加すれば会えるだろうが、それでも今よりは確実に顔を合わす機会は無くなってしまう。

 そんな中でも、取り巻きのリーダー格であるエマリナは、第二王子ラシオスの側近ガロフ・ラクロ・サティウムの婚約者として結婚後もフィーリアと関わることが確定している。

「その、エマリナさん。貴女、婚約者のガロフ様とは最近どうなのかしら」

 ラシオスの側近、ガロフは三つほど歳上の青年だ。フィーリアも王宮を訪れる度に顔を合わせているが、親しく話すような間柄ではない。

「ガロフ様ですか? そうですわね、毎週のように我が家に来て共に過ごしておりますわ」
「ま、毎週……! ちなみに、何をして過ごされてますの?」
「特別なことは何も。会えなかった間のことなどを話しておりますの。ガロフ様は私の話を静かに聞いて下さって。時々声を上げて笑われたり」
「まあ! わたくし、ガロフ様が笑うところなど見たことがありませんわ」
「真面目な方ですもの。職務で殿下のお側にいる時はそうでしょうね」
「そ、それもそうね……」

 今の話だけで、エマリナと婚約者であるガロフとの揺るぎない絆が垣間見えた気がした。
 親に決められた婚約者とはいえ、きちんと交流を積み重ねていれば愛情は芽生える。

 それなのに自分は……と、フィーリアはまた気持ちが沈むのを感じていた。
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2021/03/11 完結
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