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第23話:マーキング
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*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*
突然の告白に、終始混乱していた龍之介は深く考える前に承諾させられた。
元々関係をはっきりさせたいと思っていた。謙太から好意を寄せられているならば、こちらから拒否しない限り出ていかない。この暮らしがまだ続くのならいいか、と龍之介は安堵した。
しかし、今までとは変わる部分もある。
「リュウ、もう寝ようぜ」
「ね、寝る……?」
同居して以来ほとんど毎日同じベッドで寝ていたが、相手が自分に好意を持っていて、更に「抱きたい」とまで言われたのだ。一緒でないと眠れないことを差し引いても躊躇うのは当たり前。龍之介は完全に警戒していた。
「なんもしないって。ホラ早く」
そう言いながら謙太は先にベッドで横になって手招きした。先ほどまでの真面目な顔から普段の緩んだ表情に戻っている。告白を済ませて気がラクになったのだろう。
そんな謙太を見ていたら自分だけが警戒しているのが馬鹿らしくなって、龍之介もベッドに入った。枕の位置をずらして端のほうで横になる。
「なんでそんな隅っこで寝んの」
「なんとなく」
以前交わした会話と全く同じやり取りだが、あの時とは立場が逆になっている。
「リュウ、一緒に寝るのイヤ?」
「い、イヤじゃない」
「じゃあもっとこっち来いよ」
「いや、いい」
頑なに端から動かない龍之介を見て、謙太は小さく息をついた。自分の枕を抱えて身体を起こし、ベッドから降りる。
「オレ、仕事部屋のベッド行くよ」
「なんで」
「オレが居たら落ち着かないだろ?」
いかにも傷付いたという寂しげな表情を見せる謙太に龍之介の心が痛んだ。
出て行ってほしくないと思っている癖に警戒してしまった。どちらにせよ一人では眠れないのに。
「ごめん。悪かった。だから行くな」
龍之介も身体を起こし、立ち去りかけた謙太を引き止めた。
「ホントに? 居てもいい?」
何度も念を押すように確認すると、龍之介は頷いた。それを見て、謙太はパッと笑顔に戻った。
「良かった。じゃあ一緒に寝よ」
ベッドに入り直し、龍之介の身体を正面から抱き締めて横になる。あっと言う間に腕の中に捕らわれて、龍之介は唖然とした。
「何もしないって言ったろ!」
「これくらい前からしてたし」
「なっ……そ、そうだけど」
確かに、告白以前からハグ程度はしていた。
「あ、キスはしていいんだっけ」
「は???」
それも先ほど言質を取ったばかりだ。
あまり一度に要求しては許容範囲を超えてしまう。取り敢えずこれまで通り一緒に眠れたらいいと謙太は考えていた。
「今日はしない」
「そ、そっか」
あからさまにホッとする龍之介に対し、謙太は少しだけムッとした。意識してくれるのは構わないが、やはり友人以上の行為を嫌がられると傷付く。
「痛っ! ちょ、なにやってんだ!」
抱きつくついでに肩口に顔を埋める。
鏡を見る度に思い出せ、と念じながら謙太は柔らかな首筋に歯を立てた。
突然の告白に、終始混乱していた龍之介は深く考える前に承諾させられた。
元々関係をはっきりさせたいと思っていた。謙太から好意を寄せられているならば、こちらから拒否しない限り出ていかない。この暮らしがまだ続くのならいいか、と龍之介は安堵した。
しかし、今までとは変わる部分もある。
「リュウ、もう寝ようぜ」
「ね、寝る……?」
同居して以来ほとんど毎日同じベッドで寝ていたが、相手が自分に好意を持っていて、更に「抱きたい」とまで言われたのだ。一緒でないと眠れないことを差し引いても躊躇うのは当たり前。龍之介は完全に警戒していた。
「なんもしないって。ホラ早く」
そう言いながら謙太は先にベッドで横になって手招きした。先ほどまでの真面目な顔から普段の緩んだ表情に戻っている。告白を済ませて気がラクになったのだろう。
そんな謙太を見ていたら自分だけが警戒しているのが馬鹿らしくなって、龍之介もベッドに入った。枕の位置をずらして端のほうで横になる。
「なんでそんな隅っこで寝んの」
「なんとなく」
以前交わした会話と全く同じやり取りだが、あの時とは立場が逆になっている。
「リュウ、一緒に寝るのイヤ?」
「い、イヤじゃない」
「じゃあもっとこっち来いよ」
「いや、いい」
頑なに端から動かない龍之介を見て、謙太は小さく息をついた。自分の枕を抱えて身体を起こし、ベッドから降りる。
「オレ、仕事部屋のベッド行くよ」
「なんで」
「オレが居たら落ち着かないだろ?」
いかにも傷付いたという寂しげな表情を見せる謙太に龍之介の心が痛んだ。
出て行ってほしくないと思っている癖に警戒してしまった。どちらにせよ一人では眠れないのに。
「ごめん。悪かった。だから行くな」
龍之介も身体を起こし、立ち去りかけた謙太を引き止めた。
「ホントに? 居てもいい?」
何度も念を押すように確認すると、龍之介は頷いた。それを見て、謙太はパッと笑顔に戻った。
「良かった。じゃあ一緒に寝よ」
ベッドに入り直し、龍之介の身体を正面から抱き締めて横になる。あっと言う間に腕の中に捕らわれて、龍之介は唖然とした。
「何もしないって言ったろ!」
「これくらい前からしてたし」
「なっ……そ、そうだけど」
確かに、告白以前からハグ程度はしていた。
「あ、キスはしていいんだっけ」
「は???」
それも先ほど言質を取ったばかりだ。
あまり一度に要求しては許容範囲を超えてしまう。取り敢えずこれまで通り一緒に眠れたらいいと謙太は考えていた。
「今日はしない」
「そ、そっか」
あからさまにホッとする龍之介に対し、謙太は少しだけムッとした。意識してくれるのは構わないが、やはり友人以上の行為を嫌がられると傷付く。
「痛っ! ちょ、なにやってんだ!」
抱きつくついでに肩口に顔を埋める。
鏡を見る度に思い出せ、と念じながら謙太は柔らかな首筋に歯を立てた。
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