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第6章 2度目の異世界召喚
35話・慣れない正装
しおりを挟むなんとか湯浴みと着替えを済ませた勇者一行は祝宴会場で再び顔を合わせた。心なしか疲れた顔をしている諒真を見て、創吾がすぐに駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「単なる気疲れだから平気だよ」
会場内では招かれた高位貴族や有力者たちが歓談している最中だった。勇者一行が入場する際には誰もが話すのを中断し、視線が集まる。彼らの前で不機嫌な顔をするわけにもいかず、諒真は下手な作り笑いを浮かべてみせた。
隣に立ち、同じく愛想笑いを振りまきながら、創吾は小さな声で諒真に問い掛ける。
「……もしかして襲われました?」
「それはおまえもだろ」
「久々だったので油断しました」
「なんかされた?」
「いえ、すぐに締め出しましたけど」
生体感知魔法で様子を見たから知ってる、とは諒真は言わないでおいた。
不意打ちのようなやり方に驚いて逃げてしまったが、侍女に扮した者たちはみな魅力的だった。他の三人に遣わされた者も恐らくそうなのだろう。交際相手がいる由宇斗たちはともかく、フリーだというのに据え膳状態の異性に対し何も感じないのか、と諒真は思った。
「それにしても、何の心配もなく人前で魔法使えるのやっぱいいなぁ。元の世界じゃおまえの前でしか使えなかったからさ」
「そうですか」
笑顔で話し掛ければ創吾も笑顔で返す。
しかし、どこか普段と態度が違うように思えた。
「うーん、服が違うからかな。なんか久々にこーゆー格好すると恥ずかしい」
「似合ってますよ」
「ええ、でもコスプレみたいじゃね?」
「会場全体がこうですから、いつもの服のほうが逆に目立ちますよ」
「それもそっか」
今日は勇者一行の再召喚を祝っての宴である。凱旋でも出発の式典でもないため、四人とも貴族の正装のような衣服を着せられている。
堅苦しい服装が苦手な由宇斗は早々に上着を脱ぎ、タイを外してしまっているが、咎める者はいない。彼が世界の危機を救った勇者だからだ。早速立食形式の料理を食べまくっている。
将子は肩と膝下を露出したドレスを身に纏っている。一般的なドレスは袖も裾も長いが、動きにくいからとその場で丈を切って仕立て直しさせたらしい。髪の毛はいつものポニーテールに編み込みを足してアレンジされている。
戸惑ってばかりの諒真と違い、創吾はきちんとした正装がよく似合う。精緻な刺繍が施された高貴な衣装に全く負けていない。華やかな会場や貴族たちにも臆することなく堂々と振る舞い、受け答えや物腰もサマになっている。
「おまえ貴族とか似合いそうだな」
「柄じゃありませんよ。……あれ、なんか良い匂いしますね諒真くん」
「風呂に花が浮かべられてたんだよ」
「へえ、香水かと思いました」
「こら嗅ぐな」
四人は一緒に祝宴会場を回りながら、次から次に挨拶に訪れる招待客の相手をした。
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