【完結】魔王を倒して元の世界に帰還した勇者パーティーの魔法使い♂が持て余した魔力を消費するために仲間の僧侶♂を頼ったら酷い目に遭っちゃった話

みやこ嬢

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第6章 2度目の異世界召喚

33話・再召喚

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 大司教ルノーから連絡が入ったのは、魔王を討伐して元の世界に戻ってから二ヶ月ほど経った頃だった。

 魔王城の奥深くに呪いの核と思しき物体を発見したが、聖騎士団の攻撃が一切通らない。恐らくは魔王の肉体と同じ物質で構成されており、勇者一行でなければ破壊できないのではないかという話だ。

 呪いに縛られたままでは日常生活に支障が出る。実際、諒真りょうま創吾そうごは三日おきに集まって魔力を発散しており、その方法が諒真にとって精神的な重荷となっている。これ以上続けるのは難しいかもしれない、と対策を考え始めた矢先の連絡。

──ここで憂いを断ち、普通の生活を取り戻す。




「久しぶり~!会いたかった~ッ!!」
「もう、毎日電話してたじゃない」
「俺は直接顔見て話したかったの!将子しょうこは違うのかよ」
「べ、別にそうは言ってないでしょ」
「将子ぉ~♡」

 再び異世界……ハイデルベルド教国の大聖堂に召喚された四人は再会を喜び合った。
 特に、恋人同士の『勇者』由宇斗ゆうとと『格闘家』将子の喜びようは違う。元の世界に帰還した後、住んでいる県が離れているため、約二ヶ月もの間一度も会えていなかったのだ。教皇や大司教、聖騎士団の面々が見守る中だというのに人目もはばからずにベタベタしている。

 一方の諒真と創吾はちょくちょく会っていたので、この場では軽く手を挙げて挨拶するだけに留めている。

「再びお手を煩わせる事態になり大変申し訳ございません。貴方がたでなければ対処出来ないらしく……」

 申し訳なさそうに大司教ルノーが眉尻を下げている。勇者一行の機嫌を損ねまいとしている様子が見てとれた。

「気になさらないでください。呪いは僕たちの問題ですから。ね、諒真くん」
「あ、ああ。むしろ聖騎士団のみんなに調査で無理をさせて悪かったと思ってる。それに、再召喚も大変だっただろうし……」

 そう言いながら諒真は膝をついて控えている聖騎士団、そして御簾みすの向こうにいる教皇へと視線を向けた。異世界から複数の人間を同時に召喚する魔法は教皇しか使えない特殊なもの。恐らく消費魔力も相当なものだろう。教皇の身体にも大きな負担となっているはずだ。

「お心遣い、誠にありがとうございます。本日は祝宴を用意しております。詳しいことはそこでお話させていただきますね」
「え、祝宴?ご馳走ある?」
「用意してございますよ、ユウト様」
「やったー!」

 無邪気にはしゃぎ、飛び回って喜びを表現する由宇斗を将子が止める。
 久々に会ったからだろうか。やけに由宇斗が浮かれているように見えた。

 勇者一行はそれぞれ割り振られた部屋で身支度を整え、再び祝宴の会場に集まることとなった。
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