Black Daiamond

Ray

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14, 昨晩の話

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    窓から差し込んでくる日光で今日も目が覚め、天蓋ベッドから降り、時計を見てみると6時40分だった。大体6時30分から7時には必ず目を覚ますのって何でなんだろう?生物時計なのか?これは。そんなことを考えながら洗面台に行き、顔を洗い、手早く制服に着替える。
    6時50分に起こしに行こうと思い、それまで家から持ってきた本を読みながら時間を潰す。



    さて、もうそろそろ起こしに行くか。
    読んでいた本を閉じ、軽く身だしなみを整える。

    ルナの前に一応ティアを起こしに行くか。
    ティアの部屋の扉をノックする。
「………」
    待ってみたが返事もないため、入ろうと扉のドアノブに手をかけた瞬間、バタバタと足音が聞こえてきて、やや乱暴に扉が開けられた。
「…ティア、扉が壊れる」
    一応忠告する。
「ご、ごめん」
    出てきたティアは緩いパジャマを着ていて、髪をおろしている。こうやって見てみるとやはり女に見えてくるな。
「朝御飯食べに行くの?」
「あぁ。先にルナも起こしに行くがな」
    そう言うと、ティアはやや顔をこわばらせた。
「…ちょっと待てて。急いで着替えてくるから」
「別に急がなくてもいいが…前はティアは起きるのが私より早かったよな?どうしたんだ?」
「…………………、……昨日の夜、いろいろあって…」
    そう言うなり扉をバタンッと閉め、部屋に引っ込んでしまった。
    随分溜めがあったな。顔がまるで思い出したくないものを思い出したような顔をしていた。まぁ、あえて深追いはしないが。
    ティアの仕度が終わるまで廊下の壁にもたれ掛かる形で待つことにする。



「おまたせー」
    そう言い、仕度が終わったティアが出てきた。

    ルナの扉をノックする。
「………」
    今回も返事なし。本当に低血圧なんだな。
    扉開けて真っ直ぐルナの寝室に向かう。
「ルナ、ルナ、起きろ。もう朝だ」
    軽く揺さぶる。

「…おはようございまス」
「あぁ、おはよう」
    やっと起きたルナに朝食前だが台所を借り、紅茶を出す。
「今日は… 5時間だな」
「えぇ。歴史と科学に基本の魔法学、魔法薬、それと従魔についての授業ですワ」
「うぇーー」
    そんなことを話しながら紅茶を飲み、朝食を食べに大広間に向かう。

    向かう途中、視線はともかく誰にも文句を言われなかった。…ただし、皆何処かおびえた様子で此方を見ている。何やら土下座みたいのをやっている人もいた。
    ティアは、胃が痛いのか胃のあるところらへんを手で抑え、ルナは、涼しい顔をしている。
「………ルナ、何をした?」
    十中十九原因はルナだろう。
「…何のことでしょウ」
    にっこりと笑っている。いっそ清々しい程に。
「………流石にやりすぎだと思うが…」
    すっとぼけているがその間が物語ってるぞ。
「ブラック姉様を侮辱したんですもノ」
    当然と、でも言いたげに迷うことなく言い切るあたり、これは悪いとも何とも思ってもいないな。
「…やりすぎだ」
    と、すると朝おかしかったティアは…巻き込まれたのか。
    チラリとティアの方を向くと、「分かってくれた?」と、でも言いたげな顔で激しく頷かれた。

    大広間で朝食を食べながらティアが話してくれる。
「…昨日の夜、物音が聞こえたから廊下を見たら、ルナがいたんだ。それで『手伝ってくださいまセ』って言われて…。
    ねぇ、ブラックは各寮の談話室の他に全ての寮の人が学年関係なく集まる談話室って知ってる?」
「いや、知らないが」
    急に話が変わって少し驚きながらそう答える。
「【ダイヤモンド】の場合は壁だけど、他の寮は小さな観賞用の滝の先だったり窓だったり色々あるんだけどね、その寮に入るにはクラス決めの時に渡されたバングルがあるでしょ?これ、取れないんだけどさこれがないとその各寮に入れないんだよ」
    そう、自分の腕についているバングルを見せながらそう説明してくれる。
    そう言えば、部屋の風呂に入ろうとした時もどうしてもバングルだけは外せなかったな。そう思い出す。
    同時にまるで囚人みたいだな。と思ったのも思い出す。別に取れないほどキツいわけじゃないし、むしろ少し緩いぐらいなんだけど全く取れなかったな。
    ふと、自分の腕についているバングルとティアのバングルを見て気づく。
「ティアのと私の少しデザインが違わないか?」
    私のバングルは2本の金属が絡み合ったようなデザインに真ん中にダイヤモンドが嵌め込んであるのに対してティアのは細い長方形の金属をそのまま腕に巻き付けるようなデザインに真ん中にダイヤモンドが嵌め込んである。
「わたくしのは、こんなデザインですワ」
    そう見せてくれたルナのはレースのような細かい装飾のデザインに真ん中にダイヤモンドが嵌め込んである。
「皆、違うんだな」
「はじめは皆同じなんだけどいつの間にか変わってるんだってさ」
    面白いな。
「話が逸れたね。それでそれとは別でどのクラスの人も集まれる談話室があるんだ。まぁ、扉があってそれぞれの寮によって入るところは違うらしいけど。
    先生も知らない“秘密の談話室”って呼ばれていて、先輩から後輩に受け継がれていく一種の伝統だね。僕は、兄さんから聞いたんだ。昔、悪戯好きの生徒が造ったって言われているけど実際どうなんだろう?」
    一区切り話し、ジュースを一気飲みした。
「それでそれをルナが何処で知ったのか知っていたんだけど、その談話室ってあまりいいようには扱われてないんだよね。素行の悪い先輩や後輩達が溜まり間にしてるんだよ。それで、そこには、えっと…ブラックの悪口を言っていた人達も殆ど集まってたんだよね。それで、ルナが…」
「…大体分かった」
    ティアの話を途中で止める。
「大方、ルナがそこで一暴れしたんだろ?」
「……ご名答…」
    そう言いティアは、気を取り直したように自分の皿に手前にあった料理を片っ端から盛っていき豪快に食べ始めた。
「……ルナ」
「…はイ」
「他人を簡単に巻き込むな。ティアのようなヤツもいる。
    それにルナは、ティアに会わなかったら1人で行っていただろ?今回のは原因は間違いなく私だ。1人でやろうとするな。これから、そんなことがあったら私も誘え」
「そう言う…問題じゃないだろ……!」
    さっきまで食べていたのを無理矢理飲み込み、ティアがそう叫んだ。大広間にいる人達の話し声でまわりには聞こえなかったから良かったが、あまり叫ぶのは良くないな。
「…汚いですワ」
    ルナが、顔を歪ませそう呟いた。
「…いや、そうじゃ…なくて!」
「ティア、少し声のボリュームを下げろ」
    不味くはないが、まわりに聞こえられると面倒くさい。
「っあ、ごめん…じゃ、なくてどうしてそうなるのさ」
「今回のは私が原因だったし、それに私は基本的に喧嘩は好きだ」
「……最後のが本音じゃんか」
「…まぁ、そうだな」
    1つ、肩を竦めて見せて笑った。




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