Black Daiamond

Ray

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10, 夜食と自分の部屋

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「ブラック姉様!同じクラスになれて良かったですワ!」
    ルナの方に歩いていくと早足で駆け寄り抱き締められた。…いや、だから力が地味に強いって。
「…ハッ!
    ブラック。クラスは決まったのか?」
    ティアがどうやら気がついたらしい。
    てか、君ってワンテンポ遅れてるよな。色々と。
「あぁ、同じクラスだ」
「良かったー」
    そうホッとしたように息をはいた。
「ブラック姉様のクラスが決まるときに何をやっていますノ」
「いや、あの状況であれですんだ僕を誉めてほしいくらいだよ」
「…野郎の癖に意気地無しですワ」
「男って関係ないと思うよ!いや、関係はあるはあるんだけどさ…」
「しっかりしてくださいまセ」
「いや…そもそも君がさ……」
「そこまでにしておけ。仲が良いのもいいことだが…ほら、全員終わったぞ」
    新入生のクラス決めが終わったらしい。そのため、2人を止めることにした。しかし本当に仲が良いな。



「校長先生の挨拶です」
    ルーの声が聞こえ、何もないところから50歳ぐらいだろうか。まるでダイヤモンドのような銀色に近い髪に瞳を持った女の人が現れた。
     服装は、絵本とかに出てくる魔女そのものだ。黒い三角帽子をかぶり、所々刺繍があった真っ黒なローブを着ている。しかし、絵本の魔女よりも凛としている。50歳ぐらいなのにそうとは思えない若さのようなものがある。
「あまり、堅苦しいことは言いません。
    新入生の方々。よく学び、成長していきましょう。3年間はとっくに終わってしまいますが、悔いのないようにしてください」
    黒い三角帽子から溢れるような銀色に近い長いストレートの髪を揺らしながら、澄んだ綺麗な声でそう言った。
「この後は夜食です。新入生は長い時間汽車に揺られていたためお腹が空いているでしょう。多いに食べ、飲み、先輩との親交を深めてください」
    そしてさっきのデスクとは別のデスクみたいな机の所に移動した。そこには様々な髪色、服装の先公、かな?がズラッと並んで座っていた。本当にいつの間に来たんだろう?全く気が付かなかった。
    それより、食事?
    どこにあるのかぐるりと見渡すと、さっき出てきた机の上には様々な種類の料理が大皿に盛られ、湯気をたて並んでいた。椅子の近くに小皿が並んでいるところをみると、バイキング式なのか?
    先輩らしき人達を先頭に皆が椅子に座る。私達もその波に乗っていき、席に座った。どうやらクラス別に分かれているらしい。
    ルナ、私、ティアの順に席に座る。──が誰も手をつけない。ティアがキョロキョロと周りを落ち着きなく見渡したが、ルナにパシッと、叩かれている。所々そういう人達がいる。…さて、これはどうするべきなのか?
    静まり返った大広間でどうするべきか考える。



グーー



    そんな音が響いたのと同時に主に新入生がワーーと、効果音がつきそうなほど声をあげて、(主に男子)手元にあるフォークやスプーン、ナイフ、箸などをつかみ、置いてある調理に飛び付いた(言葉通りに飛び付いた者もいた)。まさに動物園騒ぎだ。
    なんだったのかよく分からなかったが、あれが合図だったのだろうか?
    私も目の前にある皿を手に取り、箸を握った。様々な国の料理が並んでいてどれも美味しそうだ。



「この後寮に行くんだってさ。クラス別で」
    ティアが先輩達から聞いたらしい情報を教えてくれる。何しろ、ルナと私は(悪い意味で)目立ってしまったからか誰も近寄ろうとしないからな。
「…そうか」
    大皿にのっている天ぷらを箸で自分の小皿に移しながらそう答える。
    出てきた料理は様々な国の料理だった。中国料理もあれば、インド料理もある。勿論、日本料理もあった。色々な国の人が集まっているからだろうか。そして、どの料理も文句のつけようのないくらいとても美味しい。
    ティアも食べ始めた。ただ、食べ方が豪快だ。またルナに叩かれている。
    私はその2人の様子を見ながら料理の他並べてあったスープを飲み、苦笑した。



    粗方食べ終わったところで山のようなスイーツが出てきた。第2の歓声だ。(主に女子)スイーツには目がないのか?
    「よくそんなにたべれるね…」「甘いものは別バラよ別バラ!」そう話す声が聞こえる辺り、女子にとっては山のようなスイーツも苦ではないらしい。
「ブラックは食べないの?」
    そう様々な種類のケーキを山のように積んだ皿からまたもや豪快に食べているティアに聞かれた。
「……あぁ、食べるよ」
    …例外もいたらしい。






「後、1時間で消灯です。新入生は各クラスの先輩方の指示に従ってください」
    そんな声が聞こえてきて、思わず大きく欠伸をする。さっきも寝たのに何故、眠くなるのだろうか?緊張したからだろうか?
「ブラック姉様行きましょウ」
    ルナに声をかけられ、いつの間にか消えていた食事を見て、椅子から立ち上がる。
「【ダイヤモンド】こっちだよー」
    大きな声で先輩らしき人が指示を出しているのが聞こえた。
    また大きく欠伸をし、同じクラスの人達の後ろについていった。



    暫く歩いていると、行き止まりに着く。レンガ積みの壁だ。
    あ、やべ、ぼーとしていて此所につくまでの道覚えてないや。そんなことを思いながら、先輩らしき人の様子を見る。その先輩は迷うことなくそのまま壁に歩いていった。先輩の体は壁の中にすーと入っていった。…今さら、驚きはしない。本当に何でもアリだな。魔法って。
「おーい、早くおいでよー」
    上半身だけ壁から出しながら言っている先輩を見ながらこの先輩ってお茶目なんじゃないか?そう考える。



    壁を抜けると広い空間に出た。大きな暖炉と幾つかのソファー、大きな机、ずっしりとした本棚があるヴィクトリアン調の部屋だ。見た目的に談話室か?その中央にカーブ階段があり、2階に続いているようだ。他の人もゾロゾロと上がっていくのに乗って、私も着いていく。
    2階はあえて言うならばホテルみたいになっている。
    様々な形、色、大きさのドアが並んでいてそれ一つ一つにネームプレートが掛けられている。寮と言っても個室みたいだ。
    学年別に別れているらしいから、先輩にお礼を言って自分の部屋を探す。
「何処でしょうネ」
「近いと良いな」
「どこだろー?」
    そんなことを話ながら、自分の名前が書かれているネームプレートを探すため足を進める。



「…あった」
    そこには『ブラックダイヤモンド』と書かれたネームプレートが掛けてある黒いドア。
「ありましたワ」
    フィリピン語で書かれているネームプレートが掛けてある白いピンクの彫刻がしてあるドア。
「あった。あった」
    アラビア語で書かれているネームプレートが掛けてある透明感のある青いドア。
「……隣同士だな」
    左から私、ルナ、ティアの部屋が並んでいる。
「「「…………」」」
     1つ思った。いくら個室と言えど、男子と隣同士の部屋位置はどうなのだろうか?と。





「お休みなさいまセ」
「ブラック、おやすみー」
「おやすみ」
    挨拶をし、黒いドアをゆっくりと開け、部屋を見る。部屋は思ったより広かった。私の家の子供部屋より少し、広いくらいか?汽車と同じように数室ある。
    入ってすぐの部屋のインテリアスタイルはモダンクラシックテイストだ。黒を基準とした感じで、黒いソファとガラステーブル、私の買った懐中時計と似た時計、壁には姿見が置いてある。
    玄関の近くの扉はトイレと1人用で1人でも足を伸ばし、悠々と寛げるような大きさの黒い風呂。
    入ってすぐの部屋、(リビングだろうか?)の左の扉は台所。一通り…にしては些か豪華だと思えるほどの機能を持つ全体的に黒い台所。見た所だが、使い勝手は良さそうだ。すぐ側に4人ほどが座れる程のテーブルと椅子が置いてある。
    右の扉は、寝室。落ち着いた黒と白を基準にしたモダンクラシックテイストな天蓋ベッド。それに何故かピアノも置かれている。
     一通り軽く見て見たが、この部屋は全体的にモダンクラシックテイストのようだ。
    ベッドを見ていたら物凄く眠くなり、1つ欠伸をする。そして、リビングに置かれていたトランクからパジャマを取りだし、手早く着替え、倒れ込むように眠った。

















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