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第一章 風の国編

十一.むっつりエルフ

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 脱衣所で一人――エルフのアンは悶えていた・・・・・

 自身を救うため、颯爽と現れた王子様。自身を闇騎士と名乗る少年が戦う凛々しい姿。

 脳裏に焼き付いた彼の姿を思い浮かべつつ、白のチューブトップと茶色のショートパンツを脱いでいくアン。清楚な様子からは想像つかない桃色の下着上下が露わになる。

「嗚呼……レイ様……なんと凛々しい御姿。今頃はきっとお風呂に……」

 鍛え抜かれたレイの身体を想像するだけで顔が綻び、口が半開きになるアン。

「えへへ……あ、いけない涎が……」


 えっちぃのは嫌いと言いつつも、彼女はどうやら想像力豊かな・・・・・・エルフ……つまりは〝むっつりエロフ〟らしい。石鹸で泡を立て、ミルク色の肌を丁寧に洗っていく。すると彼女の背後より大人びた女性の声が聞こえる。


「お背中流しましょうか?」

「あ、ありがとうございます」
 
 あまりにも自然な流れに成すがままお湯をかけられるアン。アンを覆っていた泡が流れ落ち、ミルク色の艶々な美しい肌が露わになる。


「予想通りの素敵な肢体ね。さすがエルフの巫女・・ね」

「きゃっ……誰!?」


 突然現れた紫髪の女性に驚くアン。ルシアは優しく微笑み、産まれたままの姿でアンへ近寄る。

「誰って……視えていた筈よ? エルフの巫女は契約した精霊の姿も視える。違うかしら?」

「という事は……やはり、レイ様を覆っていた闘気オーラ、あなたのものでしたか。確かにレイ様の心核ココロ朧気おぼろげながらあなたの姿を視ていました。闇精霊ルシア様」

 自身の果実を両手で隠した状態でルシアの正体を言い当てるアン。ルシアは満足そうに頷く。

「ルシアさんでいいわよ? ねぇ、せっかくお互い裸なんだし、湯船に浸かって話しましょう? 聞きたい事もあるんでしょう?」

「え、あ……はい。わかりました」

 こうして、アンとルシア。女同士の裸の付き合いが始まるのである。


 闇精霊ルシアが自身の身体から離れた後、レイはゆっくりと湯船に浸かり、疲れを癒していた。

「これまで怒涛の日々だったな……」

 仲間に裏切られてからこれまでの、怒涛の日々を振り返るレイ。思い出すだけで沸々と湧き上がる怒り。復讐を誓い、闇騎士となった少年は負の感情を少しでも忘れるため、今はこの露天風呂の温もりに身を任せようと思う。

『ちょっとその二つの果実メロン。どうやって浮いているの? どういう原理かしら?』

『いや……どうやってと言われましても……』


「ブッフォッ――」

 高い木の柵を隔てた向こうより声が漏れ聴こえ、思わず噴き出すレイ。


(まさかルシア。本当に『果実を堪能してくる』を有言実行しているんじゃ……)


 〝湯船に二つの果実メロンが浮いている光景〟を想像したら負けだと思ったレイは、煩悩を断ち切るべく、湯船へと沈んでいく。

『ちょっ、ルシア様……!? え、えっちぃのは嫌いです』

(ダメだこいつ、早くなんとかしないと……)
 
 尚、この時ルシアは、二つの果実メロンを日々頑張って支えているアンの肩をマッサージしていただけだったらしい。そうとも知らず、暫く湯船に沈んでいたレイが、温泉でのぼせかけたのは言うまでもない。

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