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幼年期
#28 成長……??
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授業が終わり、放課後になった。
今俺とクルーゼは闘技場へ向かっているところだ。
「なぁ、俺が行っても意味ないと思うンだけど」
「なんだよ、レイラの戦ってる所とかも見てみたいだろう?」
「別に見たくねぇよ、なンだって女が戦うとこなンか見なきゃいけねぇンだよ」
「まぁ確かに言えてるな、俺も女の子が傷つくところなんかできれば見たくない」
「じゃあ何で受けたンだよ、断れば良かっただろ」
「それは……まぁ、興味本位?」
「それだけかよ、普通に可哀想だろ」
「お、着いた着いた」
「おいこら無視すンな」
無視されたことに若干キレているクルーゼを横目に俺は闘技場に目をやる
第一闘技場、いつ見てもデカい、正直決闘をするなら演習場という場所があるため、そこですれば良いのだが、なぜここを選んだのかわからない。
「とりあえず入るか」
「そうだな」
俺とクルーゼはそう言い、闘技場に入る。
長いフロアへの道を通り、フロアへ出る。
そこにはもうターシャとレイラが待ち構えており、戦闘態勢は万全のようだった。
俺がフロアに入ると小さな膜に体が包まれる。
この膜は防護魔術と呼ばれるもので、この防護魔術をかけていれば傷はフロアの外に出るときこの膜が外れるのと一緒に治るという優れ物だ。
俺に続けてクルーゼが入る、クルーゼは少々慣れない感じで入る、きっと体に膜が張られるという変な感覚が気持ち悪いのだろう。
そして俺とレイラが正対するのと同時にターシャとクルーゼが横に並ぶ。
ターシャが口を開き、始まりの合図を告げる。
「はじめ!」
瞬間、レイラは体中に魔術回路を張り巡らせ、突進してきる。
「はっ!!」
「ちょっ!?まっ……」
その華奢な体からは想像出来ないスピードで鋭く放たれた正拳突き。
それを俺はもろにガードした左手に受ける。
ビキッという音と共に左手に力が入らなくなる。
折れた……いや、砕かれた。
俺は左手を庇い応戦する。
その中でターシャに質問をする。
「おい!ターシャ……お前何教えた!?」
「ふっふっふ……私が教えたのはレンダル王国式体術と身体向上魔術式だよ」
レンダル王国式体術……それは代々レンダル王国にて受け継がれてきた最強の武術だ、使いこなせれば対人の一対一では絶対に負けることはないといわれている。
まさかの展開にクルーゼは開いた口が閉じていない。
俺はありえないことに仰天しながら口を開く。
「レンダル王国式!?なんだって女の子にそんなもの教えやがった!?ってかなんでそんなもん知ってんだよ‼」
「……なんでだろうね?」
するとターシャはとぼけるように不敵な笑顔を浮かべる。
「その顔うぜぇえええええっ‼」
「先輩、よそ見なんて、余裕……ですね‼」
「よそ見なんてしてねぇよ!」
俺は接近し、殴りかかってきたレイラに向かって、風魔法を放つ、幸い、その足は浮いている。
「[エアロアサルト全力放射]ッ‼」
「前のように行くとお思いですか?!」
彼女はそう言うと空中で身を翻し、開脚蹴りを繰り出す。
「そらそうだよね!でも、これならどうかな?[ハードエアロピアス]‼」
そう唱えた瞬間、[エアロアサルト全力放射]で放たれた風が魔力により再結合し、ただの気体から針型の風の集合体へと姿を変える。
その針の矛先はレイラに向いている。
「[発射]!」
「きゃぁあぁあ!!」
レイラに向けて一直線に放たれた針の雨は彼女にすべて直撃し、傷を作る。
その攻撃を受けたレイラは地面にぐったりと仰向けに倒れた。
するとクルーゼがレイラに近づき、抱きかかえる。
「だ、大丈夫!?」
「……んん……あなたは……だ、誰?」
「あ、そうか、そりゃ知らないよな……俺はクルーゼ=マルナード、レイの友達だ」
「あ……そうなんですね、すみません、私は……大丈夫です」
「本当に?」
「はい、大丈夫です、ご心配をおかけしてすみません」
「い、いや」
その光景を俺とターシャはヒソヒソと話しながらニヤニヤと見つめる。
気分は他人の娘と自分の息子を見ている気分だ、もちろんそんな経験などしたことがないが。
ターシャが手を叩きこう告げる。
「よっし!決闘終了‼勝者はレイくん!」
それに続けて俺が提案する。
「今日はもうお開きにしよう!あ、このあと四人……できたらクルシュも呼んでご飯でも食べに行こうか」
「さんせーい!クルーゼくん、レイラ!早く行きましょ!」
こうして、長かった一日が終わったのだった。
今俺とクルーゼは闘技場へ向かっているところだ。
「なぁ、俺が行っても意味ないと思うンだけど」
「なんだよ、レイラの戦ってる所とかも見てみたいだろう?」
「別に見たくねぇよ、なンだって女が戦うとこなンか見なきゃいけねぇンだよ」
「まぁ確かに言えてるな、俺も女の子が傷つくところなんかできれば見たくない」
「じゃあ何で受けたンだよ、断れば良かっただろ」
「それは……まぁ、興味本位?」
「それだけかよ、普通に可哀想だろ」
「お、着いた着いた」
「おいこら無視すンな」
無視されたことに若干キレているクルーゼを横目に俺は闘技場に目をやる
第一闘技場、いつ見てもデカい、正直決闘をするなら演習場という場所があるため、そこですれば良いのだが、なぜここを選んだのかわからない。
「とりあえず入るか」
「そうだな」
俺とクルーゼはそう言い、闘技場に入る。
長いフロアへの道を通り、フロアへ出る。
そこにはもうターシャとレイラが待ち構えており、戦闘態勢は万全のようだった。
俺がフロアに入ると小さな膜に体が包まれる。
この膜は防護魔術と呼ばれるもので、この防護魔術をかけていれば傷はフロアの外に出るときこの膜が外れるのと一緒に治るという優れ物だ。
俺に続けてクルーゼが入る、クルーゼは少々慣れない感じで入る、きっと体に膜が張られるという変な感覚が気持ち悪いのだろう。
そして俺とレイラが正対するのと同時にターシャとクルーゼが横に並ぶ。
ターシャが口を開き、始まりの合図を告げる。
「はじめ!」
瞬間、レイラは体中に魔術回路を張り巡らせ、突進してきる。
「はっ!!」
「ちょっ!?まっ……」
その華奢な体からは想像出来ないスピードで鋭く放たれた正拳突き。
それを俺はもろにガードした左手に受ける。
ビキッという音と共に左手に力が入らなくなる。
折れた……いや、砕かれた。
俺は左手を庇い応戦する。
その中でターシャに質問をする。
「おい!ターシャ……お前何教えた!?」
「ふっふっふ……私が教えたのはレンダル王国式体術と身体向上魔術式だよ」
レンダル王国式体術……それは代々レンダル王国にて受け継がれてきた最強の武術だ、使いこなせれば対人の一対一では絶対に負けることはないといわれている。
まさかの展開にクルーゼは開いた口が閉じていない。
俺はありえないことに仰天しながら口を開く。
「レンダル王国式!?なんだって女の子にそんなもの教えやがった!?ってかなんでそんなもん知ってんだよ‼」
「……なんでだろうね?」
するとターシャはとぼけるように不敵な笑顔を浮かべる。
「その顔うぜぇえええええっ‼」
「先輩、よそ見なんて、余裕……ですね‼」
「よそ見なんてしてねぇよ!」
俺は接近し、殴りかかってきたレイラに向かって、風魔法を放つ、幸い、その足は浮いている。
「[エアロアサルト全力放射]ッ‼」
「前のように行くとお思いですか?!」
彼女はそう言うと空中で身を翻し、開脚蹴りを繰り出す。
「そらそうだよね!でも、これならどうかな?[ハードエアロピアス]‼」
そう唱えた瞬間、[エアロアサルト全力放射]で放たれた風が魔力により再結合し、ただの気体から針型の風の集合体へと姿を変える。
その針の矛先はレイラに向いている。
「[発射]!」
「きゃぁあぁあ!!」
レイラに向けて一直線に放たれた針の雨は彼女にすべて直撃し、傷を作る。
その攻撃を受けたレイラは地面にぐったりと仰向けに倒れた。
するとクルーゼがレイラに近づき、抱きかかえる。
「だ、大丈夫!?」
「……んん……あなたは……だ、誰?」
「あ、そうか、そりゃ知らないよな……俺はクルーゼ=マルナード、レイの友達だ」
「あ……そうなんですね、すみません、私は……大丈夫です」
「本当に?」
「はい、大丈夫です、ご心配をおかけしてすみません」
「い、いや」
その光景を俺とターシャはヒソヒソと話しながらニヤニヤと見つめる。
気分は他人の娘と自分の息子を見ている気分だ、もちろんそんな経験などしたことがないが。
ターシャが手を叩きこう告げる。
「よっし!決闘終了‼勝者はレイくん!」
それに続けて俺が提案する。
「今日はもうお開きにしよう!あ、このあと四人……できたらクルシュも呼んでご飯でも食べに行こうか」
「さんせーい!クルーゼくん、レイラ!早く行きましょ!」
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