上 下
52 / 57
学園パロ

理科室コーヒー精製(グロピとB)

しおりを挟む
 Bが廊下を歩いていると、何やらいい香りが漂ってきた。
 ……コーヒーだ。すぐにわかった。香りを辿ると、それは理科室から漂ってきていた。
 ………理科室……コーヒー……。Bは、すぐにピンときた。
 
「アルコールランプとビーカーで、コーヒーを作ってますねぇえ!?」
 
 ガラァッと理科室の扉を開けると、そこには一部の人にしか知名度がないであろう、グロピーがいた。
 
「………あぁ、あの黒髪赤瞳の腰巾着か」

 グロピーはメガネの奥の瞳を細くして、フン、と鼻で笑った。白衣姿からして“理科の先生”という立ち位置であろう。
 彼は、アルコールランプの上に金網台を乗せ、ビーカー内に入れた黒褐色の液体をくつくつと沸かしていた。
 
 腰巾着、と揶揄されたBは「うっせ!」と怒りながらも、「……お~ぉ……。理科室コーヒーとか、青春みてぇだなぁ~」と、ズカズカと黒褐色の液体を混ぜているグロピーに近づいた。
 
「んで、チキンラーメン作ったりガスバーナー使って焼きおにぎり作ったりな! いいな! で、匂いがすごくて先生がやってきて『お前、何やっているんだぁっ!』て、怒るんだよな!」

 Bが満面の笑みで、漫画や小説で見た『自分の体験したことのない“学園青春模様”』を語り出す。
 グロピーは、ただ「うっせぇ」を連呼した。
 
「飲んでいーいー?」
「……別に構わんが、恩を売るぞ」
「1コくらいなら、買ってやらぁ」
 
 グロピーは厚手の手袋をした手で熱々のビーカーを掴み、更に小さいビーカーに、とぽとぽと黒褐色の液体を注ぎ入れた。
 いただきまぁす、とBがビーカーにフゥフゥ息を吹きかけ、ちまちまと“ソレ”をすすり始めた。
 
 ────刹那、Bの眉が若干歪んだ。

「どうした?」
 グロピーが訊く。

「………いや、熱いから味がまだよくわからない、のかな……?」
 
 再度、Bは“ソレ”をすすり始めた……が、やはり表情は浮かない。

「………コレ、コーヒーだよね……?」
「さぁ? “そう見えるように作っただけ”だから、知らん」

 Bはすぐそばにあった流しにコーヒー(?)を捨て、すぐさま水道の水をがぶ飲みした。
 
「何!? お前、何作ってんの!?」
「“コーヒーにパッと見、見えるようになんかいろいろ混ぜたモノ”だ。……“コーヒーの匂い”はついているからコーヒーだと思えば、別に……飲めるだろ?」
 グロピーが吐き捨てる。
 
「手間のこんだイタズラしてんじゃねぇよ!」
「………さて。そんな訳でお前は俺に借りができた」
「は、あぁぁぁぁぁ!?!?」
 Bが、素晴らしいリアクションをする。
 
「コーヒー、のようなモノをくれてやったろうが。……そこのゴミ箱の中のゴミ、捨ててこいよ」
 グロピーが教室の奥の、今にもゴミが溢れ出しそうなゴミ箱を指差す。

「………お前、まさか………」
 
「まぁ、“コーヒーの匂いにつられて、挙げ句の果てにソレを要求した”自分の厚かましさを恨むんだな。ちなみに、断ったら具体的には何も考えていないのだが、とにかく何かと恨むんでヨロシク36」
 
******
 
 Bは言われるがまま、重いゴミ箱を校庭の隅の処理場に持って行き、しかもヤキソバパンを買ってこさせられた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

コントな文学『合法的な露出狂』

岩崎史奇(コント文学作家)
大衆娯楽
夜桜を楽しみながら夜道を1人で歩いていると目の前にトレンチコートを着た男が…

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

処理中です...