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アルビノ族の“黒髪赤目”

③結局、死ぬ

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 ある日、女物の髪飾りを外で拾った。
 名前が書いてあったので見てみると、それは村の権力者の娘の名前だった。
 
 正直に届けに行くと、娘本人は大層喜んでくれたが、父親のほうは「お前が盗んだのだろう」と言いがかりをつけてきた。
 違います違います、と否定したが、権力者は信じず、彼を掴まえて地下室で鞭打った。
 娘の方は、彼を心配して食べ物や水を持ってきてくれた。
 
 以降、これをきっかけに娘と仲良くなっていくのだが、権力者である娘の父親と周りのやっかみ共が

「ここ最近の度重なる狼の群れの襲来はお前のせいだ」
「作物が枯れるのはあいつのせいだ」
 等と、村中に言いふらした。

 じわじわと広がらせた“不安”という毒は、迷信深い、純朴な村人達を混乱させるのに、充分なものであった。
 


 気がつけば、村人達は「あの黒髪野郎を殺せ!」と騒ぎ立てるようになった。
 靴の底が抜けたのも、お鍋のシチューが焦げたのも、お腹周りが太ったのも、牛が乳を出さなくなったのも、1日中釣りをして何も釣れなかったのも、都合の悪い事は、全て全て黒髪赤瞳の青年のせいにした。
 
 青年は捕らえられた。さすがに、俺が何をした、やめろ、このわからず屋共め、と罵倒するも「ついに本性を現したか」と唾を吐かれた。
 
 青年は磔にされ、足元から火を焚かれた。
 そこに至るまでに、すでにさんざん暴行されて息も絶え絶えだったが、火の熱さで目が覚めた。
 まだ、こんなに大きな声が出せるのかと自分で驚いた。
 しかし、すぐに力尽き、青年はただぼんやりと目の前を一望した。
 村人共の顔など見たくもなかったので、空を見上げた。
 
 最期に見るせっかくの空だというのに、天気は気持ちの全く晴れない“曇天”であった。
 下半身の焼けつく痛みが、次第に“羽毛でフワフワとくすぐられているような”心地よい感覚になっていった。
 思わず、くすりとした。
 
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