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アルビノ族の“黒髪赤目”

②ぷっつん編

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(どうして皆、“髪が黒い”というだけで、こんなにも僕を非難するのか)
 
 周りに迎合しようと髪に小麦粉をまぶしてみても、誰よりも成績優秀になっても、狩りが上手くなっても、少年は誰からも認められない事に疲れ始めた。
 その疲労は、だんだん怒りへと変わっていった。
 
 しかし、表にはそんな感情を一切出さず、ただ頑張った。
 態度も笑顔も、一分の隙のないくらい、誰からも嫌われることがないよう、細心の注意をはらった。
 
 帰宅して、祖母の前でだけはわんわん泣いた。祖母は少年をあやしながら、相変わらず、卵と小麦粉で何やら美味しい焼き菓子を作ってくれた。
 
********
 
 ある日、誰かにこう言われた。
「石っころで母親殺されてんのに、よくもまぁ、そんなにヘラヘラしてられんなァ。薄汚いカラスとの相の子め」
 
 自分の中の、何かが切れた。
 その場に落ちていた何か、堅い物でその相手を殴った。ただ、ひたすら殴った。
 鈍い音が、粘着質なものを叩く音に変化していってから、やっと我に返った。
 相手の顔面は、まるでミンチのようになっていた。自分が何を持っているのか、ふと右手を見てみると、それはただの木の枝だった。
 
 どうでもよくなった。全てがどうでもよくなった。
 1人殺してしまうと、何もかもがどうでもよくなるらしい。
 少年は、目についた“今までさんざ自分や家族の事を罵倒してきた村人達”を殺害した。老若男女問わなかった。
 斧で叩っ切ったり、石で殴りつけたりした。
 アルビノ共が自慢していた白い髪が汚らしい赤に染まっていくのは、とても気分がよかった。
 
 
 
 と、背中に鋭い痛みが走った。自分の胸元から、飛び出た矢が見えた。
 どうやら、矢を射られたらしい。
 
 口からごぼり、と血を吐いたが、特に不快でもなんでもなかった。足元で息絶えているアルビノ共の白髪頭に吐血してやった。
 少年は矢が飛んできた方向にじろりと向き、遠方にいる、弓を持った男をねめつけた。
 
 2本目の矢が腹を貫通した。
 はいはい。当たりましたね、良かったね。早く殺せば?
 
 少年は不敵な笑みを浮かべたが、弓男のほうを見て、笑顔が消えた。
 
 誰かが祖母を連行してきた。祖母は黄色い、可愛らしいエプロンをつけたそのままの姿だった。
 
 あ、と駆け寄ろうと声を上げた時にはもう遅く、祖母の首は宙を舞った。
 
 今までの高揚感は一瞬で消え失せた。もう、少年の中には後悔しかなかった。
 
 ごめんなさいごめんなさい
 そうだよね、黒髪に生まれてきた自分が悪いのだから、何を言われようがされようが無抵抗が当然だったよね ごめんなさい
 
 
 3本目の矢が、少年の頭を貫通した。
 
*********
 ~BAD END~
 
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