17 / 49
刺された男。11
しおりを挟む粉雪が幻想的に舞い落ちて積もり、寒々しい光景の中2人の男女が抱き合っている姿に遭遇している。
映画のワンシーンを見ているようだ。
悪気はないし彼らに気づかれる前に大木に身を隠していた。
俺は目撃者になっていた。
秘密の関係だと悟ったが俺はもう、この地へ戻ることはないだろう誰かに話すことも無い、それでも愛した景色を眺めながら、情を通じてしまった。彼女は、若くて美しい女性で俺に恋をするなんて信じられなかった。
もう、これ以上同じ部屋で過ごすのは無理だ・・・。
俺は妻と子が待つ隣国の屋敷に戻ろうとしているのだ。
愛する家族が待つ我が屋敷へ・・・。
コッ コッ
靴音が背後から・・・誰かが近づいてくる気配で振り向くと見知っている人物だ。挨拶をする前に抱きつかれた!
グサ
何か刃物で布と肉を刺したような音だ。
俺は自分が刺されたことに気づき思わず刺された脇腹に手を当て見たら、己れの血が大量に流れ出している自分の手が真っ赤に染まっていることを理解したのだ。
助からないと、悟り妻子に会うことは無理だと知ると今まで妻に何も話さず死んでいく我が身を呪った。
倒れて妻と子に戻れなくなり、すまないと呟きながら光る物が落ちているのに気づいた。
うすぼんやりしながらも刺した相手が落としたと、思われる耳飾りだ。
見覚えのある小さな宝石・・・右手を伸ばし手に取り飲み込んでいた。
刺した相手を庇うのは愛情とは違う仕事上、仕方ない、彼女が捕まれば俺の身元が知れて組織に迷惑が掛かるだろう・・・。
意識は、なくなるが幸せだった頃の記憶が脳内でめぐっていて気分はとても幸せだ。
そのまま意識をなくしていた。
この男が誰で、なぜ刺されたのかは今のところ解っていない。
❆
シェーン・ロングベルク公爵は執務室で仕事をこなしながら書状に目を通すと、友人であるルーク・ダルシュール侯爵からの、お茶会の招待状を読んでいる、明日、昼過ぎ夫婦で参加してほしいと書かれてある!
この国の俺の知り合いは何故!皆、突然招待状を送ってくるんだ!?何様だ!
せめて1週間前に届けろよ!
「ユリシリーズ悪いが、ヴィヴィアンに明日ルーク・ダルシュール侯爵からのお茶会に招待されたので君も参加してほしいと伝えてくれるか?」
ユリシリーズ補佐官は、シェーンに何時も、こき使われている、彼は普通に執事がする雑用もこなしているのだ。
それも、城ではなくシェーン・ロングベルク公爵の屋敷でだ。
「はい」
コンコン
ユリシリーズ補佐官は、シェーン公爵に頼まれていたので、ヴィヴィアン公爵夫人に、お茶会の話しにきたのだ。
ヴィヴィアン公爵夫人は苦手な、刺繍の練習をしていたが休むことにした。
「はい、どうぞ」
「シェーン様が、ルーク・ダルシュール侯爵様からの、お茶会に一緒に参加してほしいとのことです」
ユリシリーズ補佐官は、シェーンは上司であり親友で、シェーンの方が爵位は上だが普通に話していた。
だが、妻であるヴィヴィアン公爵夫人には礼節をもって接しております。
「・・・お茶会ね・・・それも明日ですか・・・!」
普通は怒るところですが、我慢しています久しぶりの旦那様との、お出かけ楽しみだわ。
私が返事をしに行きましょうね、ドレスは買ったばかりの、あれを着て行きましょう。
17
お気に入りに追加
245
あなたにおすすめの小説

女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…

私のことが大嫌いらしい婚約者に婚約破棄を告げてみた結果。
夢風 月
恋愛
カルディア王国公爵家令嬢シャルロットには7歳の時から婚約者がいたが、何故かその相手である第二王子から酷く嫌われていた。
顔を合わせれば睨まれ、嫌味を言われ、周囲の貴族達からは哀れみの目を向けられる日々。
我慢の限界を迎えたシャルロットは、両親と国王を脅……説得して、自分たちの婚約を解消させた。
そしてパーティーにて、いつものように冷たい態度をとる婚約者にこう言い放つ。
「私と殿下の婚約は解消されました。今までありがとうございました!」
そうして笑顔でパーティー会場を後にしたシャルロットだったが……次の日から何故か婚約を解消したはずのキースが家に押しかけてくるようになった。
「なんで今更元婚約者の私に会いに来るんですか!?」
「……好きだからだ」
「……はい?」
いろんな意味でたくましい公爵令嬢と、不器用すぎる王子との恋物語──。
※タグをよくご確認ください※

新婚なのに旦那様と会えません〜公爵夫人は宮廷魔術師〜
秋月乃衣
恋愛
ルクセイア公爵家の美形当主アレクセルの元に、嫁ぐこととなった宮廷魔術師シルヴィア。
宮廷魔術師を辞めたくないシルヴィアにとって、仕事は続けたままで良いとの好条件。
だけど新婚なのに旦那様に中々会えず、すれ違い結婚生活。旦那様には愛人がいるという噂も!?
※魔法のある特殊な世界なので公爵夫人がお仕事しています。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。
朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」

溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。
ふまさ
恋愛
いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。
「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」
「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」
ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。
──対して。
傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。

妹を溺愛したい旦那様は婚約者の私に出ていってほしそうなので、本当に出ていってあげます
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族令嬢であったアリアに幸せにすると声をかけ、婚約関係を結んだグレゴリー第一王子。しかしその後、グレゴリーはアリアの妹との関係を深めていく…。ある日、彼はアリアに出ていってほしいと独り言をつぶやいてしまう。それを耳にしたアリアは、その言葉の通りに家出することを決意するのだった…。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる