1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。

尾道小町

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刺された男。11

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粉雪が幻想的に舞い落ちて積もり、寒々しい光景の中2人の男女が抱き合っている姿に遭遇している。

映画のワンシーンを見ているようだ。

悪気はないし彼らに気づかれる前に大木に身を隠していた。


俺は目撃者になっていた。


秘密の関係だと悟ったが俺はもう、この地へ戻ることはないだろう誰かに話すことも無い、それでも愛した景色を眺めながら、情を通じてしまった。彼女は、若くて美しい女性で俺に恋をするなんて信じられなかった。


もう、これ以上同じ部屋で過ごすのは無理だ・・・。


俺は妻と子が待つ隣国の屋敷に戻ろうとしているのだ。


愛する家族が待つ我が屋敷へ・・・。


コッ コッ


靴音が背後から・・・誰かが近づいてくる気配で振り向くと見知っている人物だ。挨拶をする前に抱きつかれた!


グサ


何か刃物で布と肉を刺したような音だ。


俺は自分が刺されたことに気づき思わず刺された脇腹に手を当て見たら、己れの血が大量に流れ出している自分の手が真っ赤に染まっていることを理解したのだ。


助からないと、悟り妻子に会うことは無理だと知ると今まで妻に何も話さず死んでいく我が身を呪った。
倒れて妻と子に戻れなくなり、すまないと呟きながら光る物が落ちているのに気づいた。


うすぼんやりしながらも刺した相手が落としたと、思われる耳飾りだ。


見覚えのある小さな宝石・・・右手を伸ばし手に取り飲み込んでいた。


刺した相手を庇うのは愛情とは違う仕事上、仕方ない、彼女が捕まれば俺の身元が知れて組織に迷惑が掛かるだろう・・・。


意識は、なくなるが幸せだった頃の記憶が脳内でめぐっていて気分はとても幸せだ。


そのまま意識をなくしていた。


この男が誰で、なぜ刺されたのかは今のところ解っていない。





シェーン・ロングベルク公爵は執務室で仕事をこなしながら書状に目を通すと、友人であるルーク・ダルシュール侯爵からの、お茶会の招待状を読んでいる、明日、昼過ぎ夫婦で参加してほしいと書かれてある!


この国の俺の知り合いは何故!皆、突然招待状を送ってくるんだ!?何様だ!


せめて1週間前に届けろよ!


「ユリシリーズ悪いが、ヴィヴィアンに明日ルーク・ダルシュール侯爵からのお茶会に招待されたので君も参加してほしいと伝えてくれるか?」


ユリシリーズ補佐官は、シェーンに何時も、こき使われている、彼は普通に執事がする雑用もこなしているのだ。

それも、城ではなくシェーン・ロングベルク公爵の屋敷でだ。

「はい」



コンコン 


ユリシリーズ補佐官は、シェーン公爵に頼まれていたので、ヴィヴィアン公爵夫人に、お茶会の話しにきたのだ。

ヴィヴィアン公爵夫人は苦手な、刺繍の練習をしていたが休むことにした。


「はい、どうぞ」


「シェーン様が、ルーク・ダルシュール侯爵様からの、お茶会に一緒に参加してほしいとのことです」
ユリシリーズ補佐官は、シェーンは上司であり親友で、シェーンの方が爵位は上だが普通に話していた。


だが、妻であるヴィヴィアン公爵夫人には礼節をもって接しております。


「・・・お茶会ね・・・それも明日ですか・・・!」
普通は怒るところですが、我慢しています久しぶりの旦那様との、お出かけ楽しみだわ。


私が返事をしに行きましょうね、ドレスは買ったばかりの、あれを着て行きましょう。














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