105 / 108
第105話 エクリアの狙い
しおりを挟む
ロミーナの姉であるエクリアさんが入っていった教室はどこなのか。
それを探るため、俺たちはひとつひとつ当たっていくことに。
廊下にある窓の外からは、空に浮かぶ例の結界魔法が見える。
あれを仕掛けた黒幕は、学園に俺たちを閉じ込めて一体何をする気なのか。
敵の狙いが何ひとつ分からない中、俺たちは怪しい行動を取っているエクリアさんを追う。
すると、カルロが何かに気づいた。
「あれ?」
「どうかしたのか、カルロ」
「い、いえ……なんだか教室の数が増えていませんか?」
「えっ?」
そんなバカな、と思いつつ数えてみると――なんてことだ。
「本当だ……もう何度も同じ教室を探している?」
ひとつひとつ中を確認してから移動しているつもりだったが、俺たちはずっと同じ教室の周りをウロウロとしているだけだった。
「認識阻害魔法が使われているようですな」
モリスさんは冷静に分析しているけど、それってつまり向こうから俺たちの行動が筒抜けってことにならないか?
「エクリアさんは俺たちの行動を見抜いているのか……?」
だとすれば、やはりあの結界魔法に関する一連の事件にエクリアさんも……その可能性はグッと高くなったな。
そうなると、彼女の身柄さえ確保できれば事実へ迫れる。
まずは行く手を阻む認識阻害魔法を打ち破るため、俺は事前に用意しておいてある魔道具を使用することにした。
「こいつの力を借りよう」
胸ポケットのボタンをはずして取り出したのは指輪であった。
「もしかして、それも魔道具の一種ですか?」
「ああ。こいつがあれば認識阻害魔法の効果を打ち消せる」
ただ、これはまだ試作段階なのでどういう結果をもたらすのか不透明な部分があった。なので、使うのをためらってきたのだが……この状況にならばそうも言っていられない。
とにかく今は前へと進まなければ。
指輪へと魔力を込めると、埋め込まれた宝石からひと筋の光が廊下の奥へと伸びていった。
「これを追っていけば、正しい道に出るはずだ」
「さすがはアズベル様ですな」
「うん! こんな凄いアイテムを作れるなんて、凄いですよ!」
「そ、そうかな」
モリスさんとカルロから褒められてちょっと照れる。
――っと、今はこんな浮ついた気持ちでいる場合じゃない。
俺が先頭となり、光りの指し示す方向へと進んでいく。
しばらく歩いていると、光りはある部屋の前で止まっているのに気づいた。
「どうやら……ここが目的の部屋みたいだ」
きっと、この奥にエクリアさんがいる。
果たして、彼女はどんな目的でこの部屋へとやってきたのか……真実を知るため、俺は部屋のドアを開けた。
それを探るため、俺たちはひとつひとつ当たっていくことに。
廊下にある窓の外からは、空に浮かぶ例の結界魔法が見える。
あれを仕掛けた黒幕は、学園に俺たちを閉じ込めて一体何をする気なのか。
敵の狙いが何ひとつ分からない中、俺たちは怪しい行動を取っているエクリアさんを追う。
すると、カルロが何かに気づいた。
「あれ?」
「どうかしたのか、カルロ」
「い、いえ……なんだか教室の数が増えていませんか?」
「えっ?」
そんなバカな、と思いつつ数えてみると――なんてことだ。
「本当だ……もう何度も同じ教室を探している?」
ひとつひとつ中を確認してから移動しているつもりだったが、俺たちはずっと同じ教室の周りをウロウロとしているだけだった。
「認識阻害魔法が使われているようですな」
モリスさんは冷静に分析しているけど、それってつまり向こうから俺たちの行動が筒抜けってことにならないか?
「エクリアさんは俺たちの行動を見抜いているのか……?」
だとすれば、やはりあの結界魔法に関する一連の事件にエクリアさんも……その可能性はグッと高くなったな。
そうなると、彼女の身柄さえ確保できれば事実へ迫れる。
まずは行く手を阻む認識阻害魔法を打ち破るため、俺は事前に用意しておいてある魔道具を使用することにした。
「こいつの力を借りよう」
胸ポケットのボタンをはずして取り出したのは指輪であった。
「もしかして、それも魔道具の一種ですか?」
「ああ。こいつがあれば認識阻害魔法の効果を打ち消せる」
ただ、これはまだ試作段階なのでどういう結果をもたらすのか不透明な部分があった。なので、使うのをためらってきたのだが……この状況にならばそうも言っていられない。
とにかく今は前へと進まなければ。
指輪へと魔力を込めると、埋め込まれた宝石からひと筋の光が廊下の奥へと伸びていった。
「これを追っていけば、正しい道に出るはずだ」
「さすがはアズベル様ですな」
「うん! こんな凄いアイテムを作れるなんて、凄いですよ!」
「そ、そうかな」
モリスさんとカルロから褒められてちょっと照れる。
――っと、今はこんな浮ついた気持ちでいる場合じゃない。
俺が先頭となり、光りの指し示す方向へと進んでいく。
しばらく歩いていると、光りはある部屋の前で止まっているのに気づいた。
「どうやら……ここが目的の部屋みたいだ」
きっと、この奥にエクリアさんがいる。
果たして、彼女はどんな目的でこの部屋へとやってきたのか……真実を知るため、俺は部屋のドアを開けた。
67
お気に入りに追加
1,158
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

聖樹の村で幸せなスローライフを! ~処刑宣告された少年は辺境の地で村長になる~
鈴木竜一
ファンタジー
幼い頃に両親を亡くし、貧しいながらも懸命に生きていた少年ルディ。だが、ある日彼は育ての親の神父やシスターたちを殺害したという無実の罪を着せられ、処刑宣告を受けてしまう。絶望する中、教会を支援してくれていた貴族の手助けを得ることでなんとか牢獄から脱出することができた。無実が証明されるまで隠れているよう、その貴族は住まいも用意してくれたのだが――実はそれ自体が事件の黒幕である貴族の仕組んだ罠であり、逃亡中に彼が雇った者たちによってルディは無実の罪を着せられたまま殺されそうになる。かろうじて生き延びたルディが行き着いたのは小さな農村。そこで、死ぬ間際に神父から渡された「ある物」の存在を思い出し、取りだしてみると、それは小さな種だった。何の変哲もない種だが……実は強大な魔力を秘めた聖樹の種であった。ひょんなことからその聖樹の「育成者」に選ばれたことで、ルディの人生は大きく変わり始めていく。


婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

豊穣の巫女から追放されたただの村娘。しかし彼女の正体が予想外のものだったため、村は彼女が知らないうちに崩壊する。
下菊みこと
ファンタジー
豊穣の巫女に追い出された少女のお話。
豊穣の巫女に追い出された村娘、アンナ。彼女は村人達の善意で生かされていた孤児だったため、むしろお礼を言って笑顔で村を離れた。その感謝は本物だった。なにも持たない彼女は、果たしてどこに向かうのか…。
小説家になろう様でも投稿しています。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

学園長からのお話です
ラララキヲ
ファンタジー
学園長の声が学園に響く。
『昨日、平民の女生徒の食べていたお菓子を高位貴族の令息5人が取り囲んで奪うという事がありました』
昨日ピンク髪の女生徒からクッキーを貰った自覚のある王太子とその側近4人は項垂れながらその声を聴いていた。
学園長の話はまだまだ続く……
◇テンプレ乙女ゲームになりそうな登場人物(しかし出てこない)
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げています。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる