破滅する悪役女帝(推し)の婚約者に転生しました。~闇堕ちフラグをへし折るため、生産魔法を極めて平穏に生きる!~

鈴木竜一

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第105話 エクリアの狙い

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 ロミーナの姉であるエクリアさんが入っていった教室はどこなのか。
 それを探るため、俺たちはひとつひとつ当たっていくことに。

 廊下にある窓の外からは、空に浮かぶ例の結界魔法が見える。
 あれを仕掛けた黒幕は、学園に俺たちを閉じ込めて一体何をする気なのか。

 敵の狙いが何ひとつ分からない中、俺たちは怪しい行動を取っているエクリアさんを追う。

 すると、カルロが何かに気づいた。

「あれ?」
「どうかしたのか、カルロ」
「い、いえ……なんだか教室の数が増えていませんか?」
「えっ?」

 そんなバカな、と思いつつ数えてみると――なんてことだ。

「本当だ……もう何度も同じ教室を探している?」

 ひとつひとつ中を確認してから移動しているつもりだったが、俺たちはずっと同じ教室の周りをウロウロとしているだけだった。

「認識阻害魔法が使われているようですな」

 モリスさんは冷静に分析しているけど、それってつまり向こうから俺たちの行動が筒抜けってことにならないか?

「エクリアさんは俺たちの行動を見抜いているのか……?」

 だとすれば、やはりあの結界魔法に関する一連の事件にエクリアさんも……その可能性はグッと高くなったな。

 そうなると、彼女の身柄さえ確保できれば事実へ迫れる。
 まずは行く手を阻む認識阻害魔法を打ち破るため、俺は事前に用意しておいてある魔道具を使用することにした。

「こいつの力を借りよう」

 胸ポケットのボタンをはずして取り出したのは指輪であった。

「もしかして、それも魔道具の一種ですか?」
「ああ。こいつがあれば認識阻害魔法の効果を打ち消せる」

 ただ、これはまだ試作段階なのでどういう結果をもたらすのか不透明な部分があった。なので、使うのをためらってきたのだが……この状況にならばそうも言っていられない。

 とにかく今は前へと進まなければ。

 指輪へと魔力を込めると、埋め込まれた宝石からひと筋の光が廊下の奥へと伸びていった。

「これを追っていけば、正しい道に出るはずだ」
「さすがはアズベル様ですな」
「うん! こんな凄いアイテムを作れるなんて、凄いですよ!」
「そ、そうかな」

 モリスさんとカルロから褒められてちょっと照れる。
 ――っと、今はこんな浮ついた気持ちでいる場合じゃない。

 俺が先頭となり、光りの指し示す方向へと進んでいく。
 しばらく歩いていると、光りはある部屋の前で止まっているのに気づいた。

「どうやら……ここが目的の部屋みたいだ」

 きっと、この奥にエクリアさんがいる。
 果たして、彼女はどんな目的でこの部屋へとやってきたのか……真実を知るため、俺は部屋のドアを開けた。
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