破滅する悪役女帝（推し）の婚約者に転生しました。～闇堕ちフラグをへし折るため、生産魔法を極めて平穏に生きる！～

第９５話 魔法科の校舎

　俺とロミーナが続いて訪れたのは魔法科の校舎だった。

「「おぉ！」」

　ここでも思わず声が重なる。
　想像以上に大きく、スケール抜群。そして何より美しい。前世だったら世界遺産に登録されていてもおかしくないくらいだ。

「君たちは一年生だから一階が教室になるよ」

　スチュワート先生の案内で校舎へと入っていく。
　中も凄いな……まるで高級ホテルのロビーにいるようだ。
　うちも貴族の屋敷ではあるんだけど、ここまで調度品に溢れているわけじゃなかったからなぁ。ちょっと新鮮に映るよ。

　その後、毎日通うことになる教室へ。
　ここもまた広い。
　年齢的には初等部――つまり、前世でいう小学生になるのだが、これはもう大学の講義堂に匹敵する大きさだ。ゆったりとしたスペースで勉強に励めるのはいいのだが、逆にちょっと落ち着かないかも。

「この校舎の裏側には演習場もあります。魔法や剣術を実際に体を動かして学ぶための場所ですね」

　そう説明してくれたスチュワート先生が指さす先は窓の外。
　美しい庭園がある一方で、その横には広大なスペースが広がっている。他校舎に囲まれる形になっているが、それが気にならないくらいの広さだ。

「あそこなら思いっきり魔法を使っても大丈夫そうね」
「そうだな」

　ロミーナの氷魔法は威力凄いからなぁ。
　最近はイルデさんとの特訓の成果もあってか、以前よりもさらに増している。パウリーネさんやモリスさんもあれほど凄い魔法は見たことがないって絶賛していたな。

「では、外に出て近くから見てみましょう」

　ここで一度校舎の外へ。
　まだ中もすべてを案内されたわけじゃないが、生徒たちの関心が演習場に集中していたのでスチュワート先生が機転を利かせたのだろう。

　俺たちも後をついていこうとしたら、

「アズベル様！　ロミーナ様！」

　突然背後から声をかけられる。
　……あれ？
　この声って、もしかして――

「っ！　カルロか！」
「お久しぶりです！」

　そこにいたのは制服に身を包んだ主人公カルロだった。

「君も来ていたのか」
「えぇ。おかげでこちらに通えることになったんです」

　カルロは原作である【ブレイブ・クエスト】の主人公で、本来なら俺たちとは敵対関係となる存在。
　だけど、舞踏会での一件からすっかり仲良くなっていた。
　彼は騎士団に入るため、日夜努力をしていると聞いていたが……まさかここで再会できるなんて夢にも思わなかったよ。