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第89話 ふたりの想い
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俺とロミーナのもとへやってきた学園見学の案内。
その日の夜、俺は興奮してなかなか寝付けなかった。
王立学園――原作ゲーム【ブレイブ・クエスト】に何度も登場している場所だが、その全体像はハッキリとしていない。まあ、ユーザーからすればイベントメインになってしまうのでどうしてもビジュアル面はスルーされがちだが、俺としては一体どんな場所なのかと想像するだけでテンションが上がってしまう。
とはいえ、これではいつまで経っても寝られない。
俺はトイレに行きつつ、少し夜風に当たろうと廊下へと出た。
窓から差し込む淡い月明かりのみが照らす廊下を歩いていると、前方に人影を発見する。
「こんな時間に……誰だろう」
魔法やモンスターがいる世界なのだから幽霊のひとりやふたりいてもまったく不思議ではないのだが、恐怖心というものはなかった。
その理由についてはすぐに判明する。
「あら? アズベル?」
「ロミーナ?」
廊下にいたのはロミーナだった。
「どうしたんだい、こんな夜中に」
「私は……なんだか眠れなくって」
「もしかして、学園のことを考えていたの?」
「っ! よ、よく分かったわね」
「俺も同じなんだ。だからちょっと外を歩こうと思って」
「ふふっ、そうだったのね」
それから場所を俺の部屋に移し、ベッドに腰を下ろして学園への思いを口にした。
女の子とふたりきりで夜中にベッドの上――普通ならいろいろとよろしくない考えが浮かんでしまうが、お互いにまだ子ども。ロミーナにはそういう気持ちは一切なく、純粋に俺と話がしたかっただけだ。
しばらく話していると、
「ふあぁ……」
さすがに眠くなってきたのか、ロミーナは小さくあくびをしてからベッドへ横になった。
「部屋へ戻る?」
「うぅん……今日はここで寝る。一緒に寝よ?」
「えっ!?」
突然のお誘いに動揺しつつも、俺は差しだされたロミーナの手を取った。
こんな幸せな時間がいつまでも続いてくれますように――そんな願いを込めつつ、俺たちは揃ってベッドの中に。
学園に入ったら、さすがにこれほど堂々といちゃつけはしないかもしれないが、ロミーナを想う気持ちは誰にも負けない。
これだけはずっと変わりはしないだろう。
――ちなみに、翌朝になって俺を起こしに来たメイドさんが一緒に寝ている場面を目撃して騒然となったのはまた別の話だ。
その日の夜、俺は興奮してなかなか寝付けなかった。
王立学園――原作ゲーム【ブレイブ・クエスト】に何度も登場している場所だが、その全体像はハッキリとしていない。まあ、ユーザーからすればイベントメインになってしまうのでどうしてもビジュアル面はスルーされがちだが、俺としては一体どんな場所なのかと想像するだけでテンションが上がってしまう。
とはいえ、これではいつまで経っても寝られない。
俺はトイレに行きつつ、少し夜風に当たろうと廊下へと出た。
窓から差し込む淡い月明かりのみが照らす廊下を歩いていると、前方に人影を発見する。
「こんな時間に……誰だろう」
魔法やモンスターがいる世界なのだから幽霊のひとりやふたりいてもまったく不思議ではないのだが、恐怖心というものはなかった。
その理由についてはすぐに判明する。
「あら? アズベル?」
「ロミーナ?」
廊下にいたのはロミーナだった。
「どうしたんだい、こんな夜中に」
「私は……なんだか眠れなくって」
「もしかして、学園のことを考えていたの?」
「っ! よ、よく分かったわね」
「俺も同じなんだ。だからちょっと外を歩こうと思って」
「ふふっ、そうだったのね」
それから場所を俺の部屋に移し、ベッドに腰を下ろして学園への思いを口にした。
女の子とふたりきりで夜中にベッドの上――普通ならいろいろとよろしくない考えが浮かんでしまうが、お互いにまだ子ども。ロミーナにはそういう気持ちは一切なく、純粋に俺と話がしたかっただけだ。
しばらく話していると、
「ふあぁ……」
さすがに眠くなってきたのか、ロミーナは小さくあくびをしてからベッドへ横になった。
「部屋へ戻る?」
「うぅん……今日はここで寝る。一緒に寝よ?」
「えっ!?」
突然のお誘いに動揺しつつも、俺は差しだされたロミーナの手を取った。
こんな幸せな時間がいつまでも続いてくれますように――そんな願いを込めつつ、俺たちは揃ってベッドの中に。
学園に入ったら、さすがにこれほど堂々といちゃつけはしないかもしれないが、ロミーナを想う気持ちは誰にも負けない。
これだけはずっと変わりはしないだろう。
――ちなみに、翌朝になって俺を起こしに来たメイドさんが一緒に寝ている場面を目撃して騒然となったのはまた別の話だ。
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