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第69話 魔法兵団の知り合い

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 俺はパルザン地方近くのどこかに潜んでいる魔法使いの居場所を特定するため、新たな魔道具づくりを始める――つもりだったが、相手の魔力がどんな質なのか分からないことには特定は難しい。

 そこで、パウリーネさんは魔法兵団にいる知り合いへ声をかけてくれるというのだが、どうもその相手は曲者らしく、モリスさんは難色を示していた。

「ど、どういうことなんですか?」
「……パウリーネの言うように、彼女ならば手は空いているでしょう――逆に言えば、これだけ魔法兵団がドタバタしている状況であっても、彼女は自由に動けるというわけです」
「? え、えっと……それって、つまりどういう?」

 ロミーナは意味を理解していないらしく、カクンと可愛らしく首を傾げている。
 まあ、さすがのモリスさんも直接的な言葉を使うのはためらわれたみたいだけど……遠慮なしに言ってしまえば、ようは使い物にならないくらい無能ってことになってしまう。

「だが、彼女なら例の魔法使いの資料を持っているはず。その写しを持ってきてもらうくらいなら大丈夫だろう」
「そうは言うがな、パウリーネ……彼女がどういう状態であるかは、同期である俺もおまえもよく理解しているはずだ」

 へぇ、その人はパウリーネさんとモリスさんの同期なんだ。そういった関係性だから、モリスさんも言葉を選んでいるんだな。
 とりあえず、俺はよく理解していないロミーナになるべく分かるように、でもひどい表現は避けてやんわりと伝える。

「っ! そ、そういう……」

 バツが悪そうに表情を引きつらせるも、「気にすることはないよ」と肩を優しく叩く。
 一方、モリスさんとパウリーネさんはまだもめていた。

「ならば他に方法があるか?」
「私かおまえが王都へ行けばいいだろう」
「相手がこちらをマークしている以上、私たちが単独で領地を出たとなったら不審に感じて動きだす可能性があるだろう」
「なるほどねぇ、パウリーネの懸念はもっともだ」
「し、しかし……」

 よほどその同期の魔法使いにお願いするのを避けたいみたいだな、モリスさん。
 一体どんな人なんだろう。
 さらに話を聞いていると――どうやら俺の予想は外れたみたいだ。

「ミリーは魔法兵団の未来を背負うエースだ。今は前の戦いで愛用していた魔法の杖が壊れてしまったので一時的に前線から離れてはいるが、いざという時は最高戦力の一角として王都を守らなければならない」
「あっ、そっちだったんですね」

 騎士団のエースがモリスさんなら、ミリーさんって人は魔法兵団のエースというわけか。
 というか、そうなるとうちに騎士団と魔法兵団のエースが集まることになる。
 ただ、モリスさんもミリーさんも負傷して本来の力を発揮できていないという。

 ――壊れた魔法の杖?
 それはパルザン地方を訪れるいい名目になるんじゃないか?
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