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第57話 素材つくり
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一から素材を作るとなると、これまでとはまた違った難しさを感じる。
というか、条件がだいぶ厳しいからなぁ。
軽くて頑丈。
シンプルながら両立が難しいふたつの要素をバランスよく配合した素材でなければ、モリスさんの失われた右腕は再現できない。
何度も失敗し、そのたびに改善策を打ちだして試行錯誤を繰り返していく――そして、ようやく理想の素材(金属)が完成した。
「な、長かった……」
日数で言えば二日くらいなんだけど……なんか数年はこの素材づくりに費やしていたような感覚がある。
とにもかくにも、こうして素材はできあがったのだから、あとはこれを素材にして義手をつくるだけだ。しかし、これだけ苦労したのにもし理想とする義手が完成しなかったら……そう考えると、少しためらいが生まれる。
「うーん……」
「ど、どうかしたの、アズベル」
本番を前に唸っていると、心配したロミーナが声をかけてくれた。
「いや、もし失敗したらどうしようって……正直、あれを超える素材はもう作れそうにないからさ」
「大丈夫だよ。あんなに頑張っていたし、そのおかげでこだわり抜いた素材も完成したんだから、本番の義手づくりだってきっとうまくいくよ」
笑顔で元気づけてくれるロミーナ。
さすがは俺の婚約者で推し。
こんな優しい彼女を絶対に闇堕ちなんてさせちゃいけないな。
「ありがとう、ロミーナ。やってみるよ」
「うん!」
お礼を言ってから、俺は生産魔法を発動させる。
直後、出現した魔法庫の中に素材を放り込んでいく。そして、最後に苦労の末に完成させたオリジナルの金属も入れて準備は万端だ。
「さて……ここからが勝負だぞ……」
ここまでの工程に大きな変化はない。
あとは、オリジナルの素材とその他の素材を魔法庫の中でうまく融合することができればいいのだが……緊張しつつも作業を開始。すると、
「む?」
すぐに違和感が。
原因は間違いなく俺の作ったオリジナルの素材だろう。本来、あのような性質を持つ金属はこの世界に存在していない。それがこれまでにない反応となって表れていた。
まさかここまでとは……拒絶反応に近いな。
それでもまったく不可能って感じじゃない。
完成した金属自体はこの世界に存在していない物かもしれないけど、素材となっている物はキチンと存在している。だから、落ち着いて融合させていけばきっと俺の思い描いていた完成品となってくれるはずだ。
「落ち着け……冷静に……」
呪文のように呟いて、俺は意識を集中させる。
それから約一時間後。
「――よしっ!」
確かな手応えを感じ、魔法庫を開ける。
そこには想像した通りの義手が完成していた。
「アズベル!」
「ああ! 完成だ!」
俺とロミーナは手を取り合って喜ぶ――が、浮かれるのはまだ早かった。
問題はモリスさんが装着してから。
果たして、今度の義手は彼のスピードに耐えられるのだろうか。
というか、条件がだいぶ厳しいからなぁ。
軽くて頑丈。
シンプルながら両立が難しいふたつの要素をバランスよく配合した素材でなければ、モリスさんの失われた右腕は再現できない。
何度も失敗し、そのたびに改善策を打ちだして試行錯誤を繰り返していく――そして、ようやく理想の素材(金属)が完成した。
「な、長かった……」
日数で言えば二日くらいなんだけど……なんか数年はこの素材づくりに費やしていたような感覚がある。
とにもかくにも、こうして素材はできあがったのだから、あとはこれを素材にして義手をつくるだけだ。しかし、これだけ苦労したのにもし理想とする義手が完成しなかったら……そう考えると、少しためらいが生まれる。
「うーん……」
「ど、どうかしたの、アズベル」
本番を前に唸っていると、心配したロミーナが声をかけてくれた。
「いや、もし失敗したらどうしようって……正直、あれを超える素材はもう作れそうにないからさ」
「大丈夫だよ。あんなに頑張っていたし、そのおかげでこだわり抜いた素材も完成したんだから、本番の義手づくりだってきっとうまくいくよ」
笑顔で元気づけてくれるロミーナ。
さすがは俺の婚約者で推し。
こんな優しい彼女を絶対に闇堕ちなんてさせちゃいけないな。
「ありがとう、ロミーナ。やってみるよ」
「うん!」
お礼を言ってから、俺は生産魔法を発動させる。
直後、出現した魔法庫の中に素材を放り込んでいく。そして、最後に苦労の末に完成させたオリジナルの金属も入れて準備は万端だ。
「さて……ここからが勝負だぞ……」
ここまでの工程に大きな変化はない。
あとは、オリジナルの素材とその他の素材を魔法庫の中でうまく融合することができればいいのだが……緊張しつつも作業を開始。すると、
「む?」
すぐに違和感が。
原因は間違いなく俺の作ったオリジナルの素材だろう。本来、あのような性質を持つ金属はこの世界に存在していない。それがこれまでにない反応となって表れていた。
まさかここまでとは……拒絶反応に近いな。
それでもまったく不可能って感じじゃない。
完成した金属自体はこの世界に存在していない物かもしれないけど、素材となっている物はキチンと存在している。だから、落ち着いて融合させていけばきっと俺の思い描いていた完成品となってくれるはずだ。
「落ち着け……冷静に……」
呪文のように呟いて、俺は意識を集中させる。
それから約一時間後。
「――よしっ!」
確かな手応えを感じ、魔法庫を開ける。
そこには想像した通りの義手が完成していた。
「アズベル!」
「ああ! 完成だ!」
俺とロミーナは手を取り合って喜ぶ――が、浮かれるのはまだ早かった。
問題はモリスさんが装着してから。
果たして、今度の義手は彼のスピードに耐えられるのだろうか。
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