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第56話 打開策
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モリスさんの義手づくりは暗礁に乗りあげた。
当初、俺は彼が得意とするスピードを生かした戦い方を再現するべく、義手である違和感をなくそうとまず軽量化を目指す――が、これは失敗に終わる。
軽くしようとするあまり義手の強度がおろそかになってしまい、このままでは激しい戦闘では使えないと判断されたのだ。
ワイバーンを討伐するほどの腕前を持つモリスさんに、かつての実力を取り戻してもらうためには生半可な義手ではダメだ。軽量かつ頑丈なものでなくては。
……一応、前世の世界ではそういった金属も存在していた。とはいえ、そちらの情報に詳しいというわけじゃないので「なんとなく」程度の知識しか持ち合わせてはいないが、探せばそういう物もある。
ただ、こちらの世界で入手できるかというとそれは別問題。
ここまでの記憶をたどる限り、そういった都合のいい金属は発見されていないだろう。
となればどうするか――答えは簡単だ。
一夜明け、俺はこの日も素材探しのために近くの森を訪れていた。
護衛役としてパウリーネさんとイルデさんに同行してもらい、屋敷からあまり離れないという条件のもとで素材集めを行った。
「うーん……とりあえず、手当たり次第に持っていくか」
素材になりそうな石や木の枝などなど、目についた物を魔法庫へと放り投げていく。どれが適しているか分からないから、とにかく実験を重ねていく必要があるからな。
いつも以上に警備が厳重で、尚且つ行動範囲も狭いことから、ロミーナのリフレッシュとまではいかなくても、外に出たことで少しは彼女の気分転換にもなったようだ。さっきから森を流れる小川でメイドさんたちと戯れており、自然な笑顔がこぼれている。
一方、俺の素材集めに関心を持ったのはイルデさんだった。
「第一弾は不評だったようだけど……どうやら改善策が見つかったようだね。よければどんな点に注目したのか、教えてくれないかい?」
「一番はやっぱり素材ですね」
俺の言葉に、イルデさんは首を傾げた。
「なるほど……しかし、その割には集めている素材のどれもがいつもと変わらないように思うのだが?」
「これはいわば準備段階ですよ」
「準備段階?」
「はい。今回は――素材を作るための素材集めなんです」
そう。
これが俺の考えだした答えだった。
素材がないなら、その素材から作ればいいじゃないかという発想。
昨晩、ロミーナが発した何気ない言葉が大きなヒントとなり、この答えに至ったのだ。
「適した素材がないから自分で作ってしまおうというわけか……理屈は分かるが、本当に実現できそうなのかい?」
「これを成功させなくちゃ、モリスさんの義手は完成しませんよ」
他に素材がない以上、俺自身が作りだすしかない。
やれるかどうかの自信は正直言ってないけど、何もしないよりはずっとマシだ。
それから、ロミーナやメイドさん、さらにはパウリーネさんも一緒になって素材集めに力を入れていった。
みんなも期待してくれているようだし、頑張らないとな。
当初、俺は彼が得意とするスピードを生かした戦い方を再現するべく、義手である違和感をなくそうとまず軽量化を目指す――が、これは失敗に終わる。
軽くしようとするあまり義手の強度がおろそかになってしまい、このままでは激しい戦闘では使えないと判断されたのだ。
ワイバーンを討伐するほどの腕前を持つモリスさんに、かつての実力を取り戻してもらうためには生半可な義手ではダメだ。軽量かつ頑丈なものでなくては。
……一応、前世の世界ではそういった金属も存在していた。とはいえ、そちらの情報に詳しいというわけじゃないので「なんとなく」程度の知識しか持ち合わせてはいないが、探せばそういう物もある。
ただ、こちらの世界で入手できるかというとそれは別問題。
ここまでの記憶をたどる限り、そういった都合のいい金属は発見されていないだろう。
となればどうするか――答えは簡単だ。
一夜明け、俺はこの日も素材探しのために近くの森を訪れていた。
護衛役としてパウリーネさんとイルデさんに同行してもらい、屋敷からあまり離れないという条件のもとで素材集めを行った。
「うーん……とりあえず、手当たり次第に持っていくか」
素材になりそうな石や木の枝などなど、目についた物を魔法庫へと放り投げていく。どれが適しているか分からないから、とにかく実験を重ねていく必要があるからな。
いつも以上に警備が厳重で、尚且つ行動範囲も狭いことから、ロミーナのリフレッシュとまではいかなくても、外に出たことで少しは彼女の気分転換にもなったようだ。さっきから森を流れる小川でメイドさんたちと戯れており、自然な笑顔がこぼれている。
一方、俺の素材集めに関心を持ったのはイルデさんだった。
「第一弾は不評だったようだけど……どうやら改善策が見つかったようだね。よければどんな点に注目したのか、教えてくれないかい?」
「一番はやっぱり素材ですね」
俺の言葉に、イルデさんは首を傾げた。
「なるほど……しかし、その割には集めている素材のどれもがいつもと変わらないように思うのだが?」
「これはいわば準備段階ですよ」
「準備段階?」
「はい。今回は――素材を作るための素材集めなんです」
そう。
これが俺の考えだした答えだった。
素材がないなら、その素材から作ればいいじゃないかという発想。
昨晩、ロミーナが発した何気ない言葉が大きなヒントとなり、この答えに至ったのだ。
「適した素材がないから自分で作ってしまおうというわけか……理屈は分かるが、本当に実現できそうなのかい?」
「これを成功させなくちゃ、モリスさんの義手は完成しませんよ」
他に素材がない以上、俺自身が作りだすしかない。
やれるかどうかの自信は正直言ってないけど、何もしないよりはずっとマシだ。
それから、ロミーナやメイドさん、さらにはパウリーネさんも一緒になって素材集めに力を入れていった。
みんなも期待してくれているようだし、頑張らないとな。
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