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第42話 船づくり
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新たな交易路開拓のため、みんなが集めてくれた素材をもとに、魔力で動く船の完成を目指す。
この湖はかなり大きいので湖岸を沿って来るにはだいぶ時間がかかる上、そちらのルートはかなり道が険しい。こちらを整備するより船で直進した方が時間を大幅に短縮できるのだ。
幸い、かつて使用されていた桟橋が残っているので、こちらは修正をすることで問題なくやっていけるだろう。
さて、船をつくるとなったら一番気にかけなくてはいけないのが安全性だ。
移動時間が短くなるのはいいことだが、そのせいで危険性が増していては意味がない。今回は普通の造船ではなく生産魔法によって船をつくるため、素材の強度を高めていく必要があった。
ここがひとつの分岐点だな。
うまく船を作れたら当面の間は交易路に苦労しない。こちらはあくまでも緊急用という扱いだが、あちらの復旧作業が困難だと分かればこちらをメインにしていってもいいだろう。
どちらにせよ、俺が船をうまく作りだせなくては意味がない。
「よぉし……」
俺は深呼吸を挟んでから、集めた素材を魔法庫に入れていく。
ここまでは今までと何ら変わらない。
問題はこの先だ。
目を閉じ、意識を集中させる。
思い描くのは大量の荷物を一度に運搬できるサイズの船。それでいて操縦は魔力を扱える物であるなら簡単にできるくらいの構造がいい。
今までよりもこちら側の注文が多いというのがネックだな……冷蔵庫や魔銃のように、構造がシンプルであればもっと早くできるのだが、今までの物と比べて大きく複雑なので時間がかかってしまう。
それだけならまだいいのだが……
「うっ!」
俺の魔力量が尽きかけたことで、思わず膝をついてしまう。まさかここまで消耗するなんて想定外だ。――けど、ここであきらめるわけにはいかない。
「アズベル!? 大丈夫!?」
「大丈夫だ。まだまだやれる……」
駆け寄ろうとしたロミーナやパウリーネさんを制止し、ゆっくりと立ち上がって再び生産魔法を発動させる。さっきはこちらの想定以上の魔力消費が起きたので面食らったところはあったけど、事前にそれが分かっていれば対処はできる。
少しずつゆっくりと……より確実に理想の形を描いていく。
それを現実の物とするため、俺はなんとか踏ん張って魔法を続けていく。
魔法庫の中で素材が徐々に思い描いた形へと変化していくのが分かった。時間はかかるけど確実に理想へと近づいていっているのだ。
「あと少し……あと少しだ……」
だんだんと手応えを感じてきた。
俺自身と……そして、ロミーナやみんなの暮らすパルザン地方の未来ため、初めて挑んだ結果は――
この湖はかなり大きいので湖岸を沿って来るにはだいぶ時間がかかる上、そちらのルートはかなり道が険しい。こちらを整備するより船で直進した方が時間を大幅に短縮できるのだ。
幸い、かつて使用されていた桟橋が残っているので、こちらは修正をすることで問題なくやっていけるだろう。
さて、船をつくるとなったら一番気にかけなくてはいけないのが安全性だ。
移動時間が短くなるのはいいことだが、そのせいで危険性が増していては意味がない。今回は普通の造船ではなく生産魔法によって船をつくるため、素材の強度を高めていく必要があった。
ここがひとつの分岐点だな。
うまく船を作れたら当面の間は交易路に苦労しない。こちらはあくまでも緊急用という扱いだが、あちらの復旧作業が困難だと分かればこちらをメインにしていってもいいだろう。
どちらにせよ、俺が船をうまく作りだせなくては意味がない。
「よぉし……」
俺は深呼吸を挟んでから、集めた素材を魔法庫に入れていく。
ここまでは今までと何ら変わらない。
問題はこの先だ。
目を閉じ、意識を集中させる。
思い描くのは大量の荷物を一度に運搬できるサイズの船。それでいて操縦は魔力を扱える物であるなら簡単にできるくらいの構造がいい。
今までよりもこちら側の注文が多いというのがネックだな……冷蔵庫や魔銃のように、構造がシンプルであればもっと早くできるのだが、今までの物と比べて大きく複雑なので時間がかかってしまう。
それだけならまだいいのだが……
「うっ!」
俺の魔力量が尽きかけたことで、思わず膝をついてしまう。まさかここまで消耗するなんて想定外だ。――けど、ここであきらめるわけにはいかない。
「アズベル!? 大丈夫!?」
「大丈夫だ。まだまだやれる……」
駆け寄ろうとしたロミーナやパウリーネさんを制止し、ゆっくりと立ち上がって再び生産魔法を発動させる。さっきはこちらの想定以上の魔力消費が起きたので面食らったところはあったけど、事前にそれが分かっていれば対処はできる。
少しずつゆっくりと……より確実に理想の形を描いていく。
それを現実の物とするため、俺はなんとか踏ん張って魔法を続けていく。
魔法庫の中で素材が徐々に思い描いた形へと変化していくのが分かった。時間はかかるけど確実に理想へと近づいていっているのだ。
「あと少し……あと少しだ……」
だんだんと手応えを感じてきた。
俺自身と……そして、ロミーナやみんなの暮らすパルザン地方の未来ため、初めて挑んだ結果は――
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