41 / 100
第41話 視察
しおりを挟む
土砂崩れの撤去作業が終わるまでの期間限定で、新たな交易路づくりをすることになった。 その案として俺が父上に提案したのはガナス村近くの湖を船で横断するというものだ。
こちらの計画も少しずつ進めていきたいのだが、まずは土砂崩れの様子を見てみようと父上と一緒に現場を訪れた。
もちろんロミーナもいるし、パウリーネさんやイルデさんもついてきてくれた。
ちなみに、パウリーネさんとイルデさんはすっかり仲良しとなっている。最初はロミーナの近衛騎士という立場もあるのだろうが、イルデさんの実力を疑っている節があった。
しかし、イルデさんが魔女としてしっかりとした実力があり、その指導のおかげでロミーナは着実に氷魔法の制御ができるようになってきた。
パウリーネさんは日々成長していくロミーナの姿を見て、イルデさんへの信頼度は日々増していったようだ。
このふたりが手を組めば、相当な戦力になる。
だから、今は理想的な関係が築けているなって思うのだ。
――そんなことを思っているうちに目的地へ到着。
「うわぁ……こりゃ酷い」
現場を目の当たりにした俺の第一声はそれだった。前世でも土砂崩れの場に居合わせた経験はないのでハッキリとしたことは言えないけど、かなり大規模じゃないか?
こいつをすべてどかして元通りにするにはかなりの日数がかかりそうだ。おまけに国としては隣国との関係を優先して橋の建設に力を入れている。なので、協力を仰ぐのは難しい状況といえた。
俺たちだけでどうにかしなければいけない。
そういう厳しい状況であるというのは重々承知していたが……まさかここまでとは思わなかった。
こうなると、湖をわたる船だけじゃなく、この土砂崩れの撤去も急がなくてはならないだろう。つまり、俺の生産魔法をこちらでも生かせないかどうか考える必要があるのだ。
「あれだけの土砂を短時間で撤去する方法か……」
重機でもあれば作業は捗るのだろうが、さすがにそこまでの物を生産魔法で生みだすのは難しいか。
「まあ、ここは地道に根気強くやるしかないな」
父上はため息を交えながら語る。
現状ではそれが最善の策なんだろうけど……どうにかしてもうちょっとスピードアップできないものか。
考えているうちに、父上は集まっている者たちへ指示を飛ばして撤去作業が始まる。方法はとにかく人力で砂をかき集め、それを別の場所へ運搬していくという実にシンプルなものだった。
工程が単純だから、みんなそれぞれにやるべき分担がハッキリとしており、それぞれの場所で全力をだしている。これについてはいい傾向だ。
ただ、やはり作業時間の遅さが気になる。
ここを改善していく案も練っていかないとな。
撤去作業に勤しむ人々を見送った後、俺たちは自分たちの仕事場でもある湖へと移動する。
しばらくあちらは父上に任せて、俺は俺で任された仕事に力を入れよう。
「よし。まずは素材集めからだ。みんなも手伝ってくれ」
「「「「「おおぉ!」」」」」
ロミーナ、パウリーネさん、イルデさん、そしてメイドさんたちなど、協力を申し出てくれた人たちと協力してまずは素材集めから始める。
こちらの計画も少しずつ進めていきたいのだが、まずは土砂崩れの様子を見てみようと父上と一緒に現場を訪れた。
もちろんロミーナもいるし、パウリーネさんやイルデさんもついてきてくれた。
ちなみに、パウリーネさんとイルデさんはすっかり仲良しとなっている。最初はロミーナの近衛騎士という立場もあるのだろうが、イルデさんの実力を疑っている節があった。
しかし、イルデさんが魔女としてしっかりとした実力があり、その指導のおかげでロミーナは着実に氷魔法の制御ができるようになってきた。
パウリーネさんは日々成長していくロミーナの姿を見て、イルデさんへの信頼度は日々増していったようだ。
このふたりが手を組めば、相当な戦力になる。
だから、今は理想的な関係が築けているなって思うのだ。
――そんなことを思っているうちに目的地へ到着。
「うわぁ……こりゃ酷い」
現場を目の当たりにした俺の第一声はそれだった。前世でも土砂崩れの場に居合わせた経験はないのでハッキリとしたことは言えないけど、かなり大規模じゃないか?
こいつをすべてどかして元通りにするにはかなりの日数がかかりそうだ。おまけに国としては隣国との関係を優先して橋の建設に力を入れている。なので、協力を仰ぐのは難しい状況といえた。
俺たちだけでどうにかしなければいけない。
そういう厳しい状況であるというのは重々承知していたが……まさかここまでとは思わなかった。
こうなると、湖をわたる船だけじゃなく、この土砂崩れの撤去も急がなくてはならないだろう。つまり、俺の生産魔法をこちらでも生かせないかどうか考える必要があるのだ。
「あれだけの土砂を短時間で撤去する方法か……」
重機でもあれば作業は捗るのだろうが、さすがにそこまでの物を生産魔法で生みだすのは難しいか。
「まあ、ここは地道に根気強くやるしかないな」
父上はため息を交えながら語る。
現状ではそれが最善の策なんだろうけど……どうにかしてもうちょっとスピードアップできないものか。
考えているうちに、父上は集まっている者たちへ指示を飛ばして撤去作業が始まる。方法はとにかく人力で砂をかき集め、それを別の場所へ運搬していくという実にシンプルなものだった。
工程が単純だから、みんなそれぞれにやるべき分担がハッキリとしており、それぞれの場所で全力をだしている。これについてはいい傾向だ。
ただ、やはり作業時間の遅さが気になる。
ここを改善していく案も練っていかないとな。
撤去作業に勤しむ人々を見送った後、俺たちは自分たちの仕事場でもある湖へと移動する。
しばらくあちらは父上に任せて、俺は俺で任された仕事に力を入れよう。
「よし。まずは素材集めからだ。みんなも手伝ってくれ」
「「「「「おおぉ!」」」」」
ロミーナ、パウリーネさん、イルデさん、そしてメイドさんたちなど、協力を申し出てくれた人たちと協力してまずは素材集めから始める。
31
お気に入りに追加
1,167
あなたにおすすめの小説
田舎暮らしの魔草薬師
鈴木竜一
ファンタジー
治癒魔法使いたちが集まり、怪我や病に苦しむ人たちを助けるために創設されたレイナード聖院で働くハリスは拝金主義を掲げる新院長の方針に逆らってクビを宣告される。
しかし、パワハラにうんざりしていたハリスは落ち込むことなく、これをいいきっかけと考えて治癒魔法と魔草薬を広めるべく独立して診療所を開業。
一方、ハリスを信頼する各分野の超一流たちはその理不尽さとあからさまな金儲け運用に激怒し、独立したハリスをサポートすべく、彼が移り住んだ辺境領地へと集結するのだった。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる