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第34話 来訪者
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ロミーナの部屋へやってきたマドリガル騎士団長。
――よく見ると、彼の大きな体の後ろに隠れるような形でもうひとつ人影が。
その正体は……
「えっ!? カ、カルロ!?」
貧民街にいるはずのカルロだった。
というか、どうして城の中に?
そもそもなんでマドリガル騎士団長と一緒に――って、まさか!
「もしかして……夜の間ずっとカルロを捜していたんですか?」
「えぇ。夜の貧民街――いや、あそこの場合はいつ行っても決して治安が良いと呼べる場所ではないのですが、ともかくややこしい連中が多くて見つけるのに苦労しました」
お、驚いた。
騎士団長が動きだすのは早くても次の日の朝だと思っていたのに。俺とパウリーネさんが部屋を出てからすぐ捜しに出たっていうのか!
「城に入れるのも苦労しました。説得が難しくて」
「あ、あの、僕は……」
恐る恐る顔をのぞかせるカルロは、どうやら事情をしっかりと把握しているわけではなさそうだ。まあ、かなり急いで連れてきたのだろうな。何せ、次の日の午前中には勲章の授与式を始めるなんて言いだすんだから。
ともかく、カルロにその授与式について話をすると、
「あばばばばばばば……」
彼は白目をむき、今にも死んでしまいそうなくらい動揺していた。
「ど、どうしたんだ!?」
「い、いえ、勲章の授与式なんて……そんな大それた舞台に僕みたいな虫けらが呼ばれるなんて信じられなくて……」
卑屈だなぁ。
原作【ブレイブ・クエスト】でも控えめな性格ではあったけど、ここまでひどくはなかったと思う。もしかしたら、何かがきっかけとなって性格が変わったのだろうか。
……いや、そのきっかけってこの勲章授与式じゃないか?
今のカルロに足りないのは明らかに「自信」だ。
まだ幼い子どものため、原作のように秀でた剣術の腕を持っているわけじゃない。ここから何かのきっかけを経由して剣術に目覚め、そこから覚醒していく――今回の授与式こそ、そのきっかけに相応しいと俺は感じていた。
とにかく、この授与式が彼にとって好影響を及ぼすのは間違いないだろう。
「胸を張るんだ、カルロ。君は誇れる仕事をしたんだ」
「ほ、誇れる仕事……?」
「そうさ。君がいなかったら、誰もモンスターの襲撃には気づかなったんだから」
「アズベル様……」
最初は緊張していたカルロも、徐々に落ち着いた表情を見せるようになってきた。俺の言葉を受けて、肩の力が抜けたようだな。
「そうと決まったら、授与式へ参加するのに相応しいコーディネートが必要でしょう」
そう告げたのはパウリーネさんだった。
確かに、今の格好のままではまずいか。
「パウリーネさん、確か俺の予備の服を何着か持ってきていましたよね?」
「え、えぇ、それは……ま、まさか」
「そのまさか、さ」
パウリーネさんは俺の狙いに気づいたらしい。
ただ、他のみんなはまだ分かっていないようなので俺の口から直接伝えておく。
「カルロ、君に俺の服を貸すよ」
「そ、そんな!? 貧民街育ちの僕がアズベル様の服を着るなんて!?」
「関係ないよ。パウリーネさん、よろしく」
「ほ、本当によろしいのですか?」
「もちろん」
パウリーネさんやメイドさんたちは困惑していたが、俺が本気だと理解してすぐに準備へと取りかかる。
さて、ここから主人公カルロには心身ともに生まれ変わってもらわないとな。
――よく見ると、彼の大きな体の後ろに隠れるような形でもうひとつ人影が。
その正体は……
「えっ!? カ、カルロ!?」
貧民街にいるはずのカルロだった。
というか、どうして城の中に?
そもそもなんでマドリガル騎士団長と一緒に――って、まさか!
「もしかして……夜の間ずっとカルロを捜していたんですか?」
「えぇ。夜の貧民街――いや、あそこの場合はいつ行っても決して治安が良いと呼べる場所ではないのですが、ともかくややこしい連中が多くて見つけるのに苦労しました」
お、驚いた。
騎士団長が動きだすのは早くても次の日の朝だと思っていたのに。俺とパウリーネさんが部屋を出てからすぐ捜しに出たっていうのか!
「城に入れるのも苦労しました。説得が難しくて」
「あ、あの、僕は……」
恐る恐る顔をのぞかせるカルロは、どうやら事情をしっかりと把握しているわけではなさそうだ。まあ、かなり急いで連れてきたのだろうな。何せ、次の日の午前中には勲章の授与式を始めるなんて言いだすんだから。
ともかく、カルロにその授与式について話をすると、
「あばばばばばばば……」
彼は白目をむき、今にも死んでしまいそうなくらい動揺していた。
「ど、どうしたんだ!?」
「い、いえ、勲章の授与式なんて……そんな大それた舞台に僕みたいな虫けらが呼ばれるなんて信じられなくて……」
卑屈だなぁ。
原作【ブレイブ・クエスト】でも控えめな性格ではあったけど、ここまでひどくはなかったと思う。もしかしたら、何かがきっかけとなって性格が変わったのだろうか。
……いや、そのきっかけってこの勲章授与式じゃないか?
今のカルロに足りないのは明らかに「自信」だ。
まだ幼い子どものため、原作のように秀でた剣術の腕を持っているわけじゃない。ここから何かのきっかけを経由して剣術に目覚め、そこから覚醒していく――今回の授与式こそ、そのきっかけに相応しいと俺は感じていた。
とにかく、この授与式が彼にとって好影響を及ぼすのは間違いないだろう。
「胸を張るんだ、カルロ。君は誇れる仕事をしたんだ」
「ほ、誇れる仕事……?」
「そうさ。君がいなかったら、誰もモンスターの襲撃には気づかなったんだから」
「アズベル様……」
最初は緊張していたカルロも、徐々に落ち着いた表情を見せるようになってきた。俺の言葉を受けて、肩の力が抜けたようだな。
「そうと決まったら、授与式へ参加するのに相応しいコーディネートが必要でしょう」
そう告げたのはパウリーネさんだった。
確かに、今の格好のままではまずいか。
「パウリーネさん、確か俺の予備の服を何着か持ってきていましたよね?」
「え、えぇ、それは……ま、まさか」
「そのまさか、さ」
パウリーネさんは俺の狙いに気づいたらしい。
ただ、他のみんなはまだ分かっていないようなので俺の口から直接伝えておく。
「カルロ、君に俺の服を貸すよ」
「そ、そんな!? 貧民街育ちの僕がアズベル様の服を着るなんて!?」
「関係ないよ。パウリーネさん、よろしく」
「ほ、本当によろしいのですか?」
「もちろん」
パウリーネさんやメイドさんたちは困惑していたが、俺が本気だと理解してすぐに準備へと取りかかる。
さて、ここから主人公カルロには心身ともに生まれ変わってもらわないとな。
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