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第26話 迫りくるモンスター
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ヤバい。
デカい。
モンスターたちを前にして浮かび上がるのはそんな単調な思考ばかり。
いつまでもこうしているわけにはいかない。
早くしなければ、あのモンスターたちは王都内へと雪崩れ込んでくる。そうなれば、オルメド王国は壊滅的なダメージを負うことになってしまう。
それこそまさにロミーナ破滅への大きなフラグ。
ここはなんとしても阻止しなくては。
「ここは俺が食い止める! ふたりは城へ戻って状況を伝えてくれ!」
「で、でも、さっきはそれで――」
「ロミーナも一緒に証言すれば、兵士たちは信頼してくれるはずだ!」
原作【ブレイブ・クエスト】では人々を助ける勇敢な英雄として知られるカルロだが、ストーリー開始の八年前である現在ではまだ貧民街で苦しむ少年――兵士たちから信頼を得るのは難しい。
けど、ロミーナは違う。
辺境領主のド田舎貴族と婚約したとはいえ、公爵家令嬢である事実は変わらない。彼女が兵士たちに声をかければすぐに動きだすだろう。
正直、現段階では俺ひとりであれだけの数の大型モンスターを倒しきれない。できることといえば足止めくらいだ。だから、すぐにでも援軍が欲しかった。
「さあ、行ってくれ!」
「わ、分かりました」
「無茶はしないでね、アズベル」
「もちろん!」
俺は明るく笑ってふたりを送りだした。
「さて、と……」
魔銃を手にし、迫りくるモンスターたちへと銃口を向ける。
ヘマはできない。
俺がしっかりやらなくちゃ、この国の――そして俺とロミーナの未来も閉ざされてしまうから。
「こんなことになるなら、もっと強力な魔弾を用意しておくべきだったな……」
そう後悔をしつつ、まずは一発。
牽制の意味も込めて炎の魔弾を放った。
「「「「「っ!?!?!?」」」」」
突然目の前に現れた炎を前に、モンスターたちは足を止める。魔法は見慣れていても、こういった攻撃手段は慣れていないのだろうな。
――だが、所詮はコケ脅しだ。
弾数を考えたら、一体一体に撃ち込んではいられない。少ない弾数でいかに複数の相手の動きを止めるのかが鍵になる。俺がヤツらを全員倒す必要はないんだ。あくまでも事態に気づいて騎士団や魔法兵団が万全の状態で迎え撃てる時間を稼げばいい。
頃合いを見計らって、俺もここから撤退しなくちゃな。
そう思いつつ、距離を取ろうとした――その時、
「グオオオオオオオオッ!」
一体の大猿型モンスターが凄まじい跳躍力で炎を飛び越え、俺のすぐ目の前に着地した。
「なっ!?」
まさかこんなヤツがいたなんて……迂闊だった。
俺はすぐに反撃しようと銃を構えるが、それより先に敵の拳が振り下ろされる。
死ぬ。
そんな言葉が脳裏をよぎった瞬間、急に辺りが冷えだした。
直後、大猿型モンスターは一瞬にして氷像と化したのだ。
「こ、これは……」
こんな芸当ができる人物なんて――限られている。
「アズベル!」
俺のすぐ後ろには兵士を呼びに行ったはずのロミーナが立っていた。
デカい。
モンスターたちを前にして浮かび上がるのはそんな単調な思考ばかり。
いつまでもこうしているわけにはいかない。
早くしなければ、あのモンスターたちは王都内へと雪崩れ込んでくる。そうなれば、オルメド王国は壊滅的なダメージを負うことになってしまう。
それこそまさにロミーナ破滅への大きなフラグ。
ここはなんとしても阻止しなくては。
「ここは俺が食い止める! ふたりは城へ戻って状況を伝えてくれ!」
「で、でも、さっきはそれで――」
「ロミーナも一緒に証言すれば、兵士たちは信頼してくれるはずだ!」
原作【ブレイブ・クエスト】では人々を助ける勇敢な英雄として知られるカルロだが、ストーリー開始の八年前である現在ではまだ貧民街で苦しむ少年――兵士たちから信頼を得るのは難しい。
けど、ロミーナは違う。
辺境領主のド田舎貴族と婚約したとはいえ、公爵家令嬢である事実は変わらない。彼女が兵士たちに声をかければすぐに動きだすだろう。
正直、現段階では俺ひとりであれだけの数の大型モンスターを倒しきれない。できることといえば足止めくらいだ。だから、すぐにでも援軍が欲しかった。
「さあ、行ってくれ!」
「わ、分かりました」
「無茶はしないでね、アズベル」
「もちろん!」
俺は明るく笑ってふたりを送りだした。
「さて、と……」
魔銃を手にし、迫りくるモンスターたちへと銃口を向ける。
ヘマはできない。
俺がしっかりやらなくちゃ、この国の――そして俺とロミーナの未来も閉ざされてしまうから。
「こんなことになるなら、もっと強力な魔弾を用意しておくべきだったな……」
そう後悔をしつつ、まずは一発。
牽制の意味も込めて炎の魔弾を放った。
「「「「「っ!?!?!?」」」」」
突然目の前に現れた炎を前に、モンスターたちは足を止める。魔法は見慣れていても、こういった攻撃手段は慣れていないのだろうな。
――だが、所詮はコケ脅しだ。
弾数を考えたら、一体一体に撃ち込んではいられない。少ない弾数でいかに複数の相手の動きを止めるのかが鍵になる。俺がヤツらを全員倒す必要はないんだ。あくまでも事態に気づいて騎士団や魔法兵団が万全の状態で迎え撃てる時間を稼げばいい。
頃合いを見計らって、俺もここから撤退しなくちゃな。
そう思いつつ、距離を取ろうとした――その時、
「グオオオオオオオオッ!」
一体の大猿型モンスターが凄まじい跳躍力で炎を飛び越え、俺のすぐ目の前に着地した。
「なっ!?」
まさかこんなヤツがいたなんて……迂闊だった。
俺はすぐに反撃しようと銃を構えるが、それより先に敵の拳が振り下ろされる。
死ぬ。
そんな言葉が脳裏をよぎった瞬間、急に辺りが冷えだした。
直後、大猿型モンスターは一瞬にして氷像と化したのだ。
「こ、これは……」
こんな芸当ができる人物なんて――限られている。
「アズベル!」
俺のすぐ後ろには兵士を呼びに行ったはずのロミーナが立っていた。
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