25 / 100
第25話 即席パーティー(?)結成
しおりを挟む
主人公カルロを追ってきた俺をロミーナが追ってきた。
まさかの展開に慌てつつ、まずはめちゃくちゃ焦っていたカルロの話を聞くことに。ロミーナの説得は状況を把握してからにしよう。
「さっき城内で見せた君の態度……あれが嘘だとはとても思えなかったんだ」
「大型モンスターが迫っているって話ね!」
「あ、ああ、うん」
……まずいな。
ロミーナの表情がとんでもなくイキイキしている。瞳とかキラッキラに輝いているし、これはもう深くかかわる気満々だ。俺としては安全性を考慮して彼女にはダンスホールでおとなしくしていてもらいたいのだが……待てよ。
「ねぇ、ロミーナ」
「私の氷魔法ならいつでも準備万端よ!」
こちらの思考を先取りするロミーナ。
――そう。
俺が気にかけていたのは彼女が得意とする氷魔法だ。最近の鍛錬の様子から、本当に制御がうまくなってきていて、イルデさんからの太鼓判を押されるほど。迫ってくるモンスターの数は多いらしいので、俺の魔銃だけでは対応できない可能性もある。
そうなった時、ロミーナの強力な氷魔法があればこれほど心強いものはないのだ。
けど、正直彼女を巻き込むのは気が引ける。
これから間違いなくとんでもない危険が待ち構えているのだから……婚約者である俺としては何とかしてダンスホールに戻したいという気持ちがあった。
しかし、
「お城にいる人たちを逃がしている時間はないわ。私たちだけで対応しましょう」
真剣な顔つきでそう訴えかける彼女に「城内へ戻れ」とは言いづらかった。
「……分かった。カルロ、早速案内してくれないか?」
「は、はい。――って、どうして僕の名前を?」
「っ! な、何を言っているんだ。さっき自分から名乗ったじゃないか」
「そうでしたっけ?」
「そうだったよ。ほら、時間がないから急ごう」
半ば強引にカルロの背中を押して目的地へと移動開始。
怪しまれているかもしれないが、いちいち説明したり誤魔化したりしていたら大型モンスターたちが王都内に侵入してしまうからな。
俺とロミーナはカルロの案内で王都の西門へと向かう。
そこには多くの兵士が警備をしている――はずだったのだが、
「あ、あれ? 誰もいない?」
どういうわけか、兵士はおろか通行人さえもいなかった。時間的には夜なのだが、王都が寝静まるにはまだ早い。
……なるほど。
これがカルロの言っていた異変か。
「どういうことなの? なんで誰もいないの?」
「僕もそれが不思議で辺りを調べていたんです。そしたら――わわっ」
「きゃっ!?」
「な、なんだ、今の揺れは!?」
突如襲ってきた横揺れに、俺たちは思わず倒れそうになるのをなんとか踏ん張る。
これはひょっとしなくても……大型モンスターが接近している予兆ってヤツか。
俺たちは慌てて西門から外へと出た。
月明かりが照らす薄暗い道の先――わずかに見える大きな影がこちらへと近づいてくる。
「っ!? モ、モンスター!?」
ロミーナがその正体に気づいて叫ぶ。
そう。
カルロの言葉通り、十メートルクラスの大型のモンスターが群れを成して王都へと迫ってきていたのだった。
まさかの展開に慌てつつ、まずはめちゃくちゃ焦っていたカルロの話を聞くことに。ロミーナの説得は状況を把握してからにしよう。
「さっき城内で見せた君の態度……あれが嘘だとはとても思えなかったんだ」
「大型モンスターが迫っているって話ね!」
「あ、ああ、うん」
……まずいな。
ロミーナの表情がとんでもなくイキイキしている。瞳とかキラッキラに輝いているし、これはもう深くかかわる気満々だ。俺としては安全性を考慮して彼女にはダンスホールでおとなしくしていてもらいたいのだが……待てよ。
「ねぇ、ロミーナ」
「私の氷魔法ならいつでも準備万端よ!」
こちらの思考を先取りするロミーナ。
――そう。
俺が気にかけていたのは彼女が得意とする氷魔法だ。最近の鍛錬の様子から、本当に制御がうまくなってきていて、イルデさんからの太鼓判を押されるほど。迫ってくるモンスターの数は多いらしいので、俺の魔銃だけでは対応できない可能性もある。
そうなった時、ロミーナの強力な氷魔法があればこれほど心強いものはないのだ。
けど、正直彼女を巻き込むのは気が引ける。
これから間違いなくとんでもない危険が待ち構えているのだから……婚約者である俺としては何とかしてダンスホールに戻したいという気持ちがあった。
しかし、
「お城にいる人たちを逃がしている時間はないわ。私たちだけで対応しましょう」
真剣な顔つきでそう訴えかける彼女に「城内へ戻れ」とは言いづらかった。
「……分かった。カルロ、早速案内してくれないか?」
「は、はい。――って、どうして僕の名前を?」
「っ! な、何を言っているんだ。さっき自分から名乗ったじゃないか」
「そうでしたっけ?」
「そうだったよ。ほら、時間がないから急ごう」
半ば強引にカルロの背中を押して目的地へと移動開始。
怪しまれているかもしれないが、いちいち説明したり誤魔化したりしていたら大型モンスターたちが王都内に侵入してしまうからな。
俺とロミーナはカルロの案内で王都の西門へと向かう。
そこには多くの兵士が警備をしている――はずだったのだが、
「あ、あれ? 誰もいない?」
どういうわけか、兵士はおろか通行人さえもいなかった。時間的には夜なのだが、王都が寝静まるにはまだ早い。
……なるほど。
これがカルロの言っていた異変か。
「どういうことなの? なんで誰もいないの?」
「僕もそれが不思議で辺りを調べていたんです。そしたら――わわっ」
「きゃっ!?」
「な、なんだ、今の揺れは!?」
突如襲ってきた横揺れに、俺たちは思わず倒れそうになるのをなんとか踏ん張る。
これはひょっとしなくても……大型モンスターが接近している予兆ってヤツか。
俺たちは慌てて西門から外へと出た。
月明かりが照らす薄暗い道の先――わずかに見える大きな影がこちらへと近づいてくる。
「っ!? モ、モンスター!?」
ロミーナがその正体に気づいて叫ぶ。
そう。
カルロの言葉通り、十メートルクラスの大型のモンスターが群れを成して王都へと迫ってきていたのだった。
31
お気に入りに追加
1,167
あなたにおすすめの小説
田舎暮らしの魔草薬師
鈴木竜一
ファンタジー
治癒魔法使いたちが集まり、怪我や病に苦しむ人たちを助けるために創設されたレイナード聖院で働くハリスは拝金主義を掲げる新院長の方針に逆らってクビを宣告される。
しかし、パワハラにうんざりしていたハリスは落ち込むことなく、これをいいきっかけと考えて治癒魔法と魔草薬を広めるべく独立して診療所を開業。
一方、ハリスを信頼する各分野の超一流たちはその理不尽さとあからさまな金儲け運用に激怒し、独立したハリスをサポートすべく、彼が移り住んだ辺境領地へと集結するのだった。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
救世主パーティーを追放された愛弟子とともにはじめる辺境スローライフ
鈴木竜一
ファンタジー
「おまえを今日限りでパーティーから追放する」
魔族から世界を救う目的で集められた救世主パーティー【ヴェガリス】のリーダー・アルゴがそう言い放った相手は主力メンバー・デレクの愛弟子である見習い女剣士のミレインだった。
表向きは実力不足と言いながら、真の追放理由はしつこく言い寄っていたミレインにこっぴどく振られたからというしょうもないもの。
真相を知ったデレクはとても納得できるものじゃないと憤慨し、あとを追うようにパーティーを抜けると彼女を連れて故郷の田舎町へと戻った。
その後、農業をやりながら冒険者パーティーを結成。
趣味程度にのんびりやろうとしていたが、やがて彼らは新しい仲間とともに【真の救世主】として世界にその名を轟かせていくことになる。
一方、【ヴェガリス】ではアルゴが嫉妬に狂い始めていて……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる