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第23話 まさかの出会い
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ダンスホール近くで騒いでいた赤髪の少年。
何を隠そう、彼こそがこの【ブレイブ・クエスト】の主人公であるカルロであった。
原作では十八歳という年齢でロミーナとは同い年。ということは、今の彼の年齢は十歳ということになる。
――って、そういえば子ども時代の主人公カルロってどんな感じだったのだろう。ゲーム内ではそこまで昔のことは語られていないけど、確か貧しかったという描写はあったような気がする。
その証拠と言ってはなんだけど、カルロの格好はこの場だとかなり浮いていた。
恐らく正体されたわけじゃなくて無理やり忍び込んだのだろう。
なぜそのような行動に出たのかは分からないが……彼の身につけている服装がかなりボロボロであったため、ゲームの設定どおりかなり苦労している様子はうかがえた。
「む? どうかされましたかな?」
なんとかしてカルロを救いだそうと考えていたら、兵士のひとりに声をかけられた。
「あっ、えっ、えっと……彼はどうしたの?」
「ああ、不審者ですよ。まったく、一体どこから入り込んだのか……このような事態が二度と起こらないよう警戒をより厳重にいたします」
「よ、よろしくお願いします――って、そうじゃなくて、彼はどうしてダンスホールへ侵入しようとしているんですか?」
俺が気になるのはそこだった。
彼が原作どおりの性格をしていれば、間違いなく悪さをするために侵入を試みたわけではないはず。きっと、底には深い事情があったはずなのだ。
しかし、
「どうせくだらん理由でしょう。貧民街に暮らす輩の話に耳を傾ける必要などありませんよ」
一蹴。
兵士は最初から話を聞く気などなかった。
カルロの服装から貧民街の人間であると決めつけ、何も聞かないまま追い返そうとしていたのだ。
……ただ、これがこの世界の「当たり前」なのだろう。
薄っすらと残っているアズベル・ウィドマークとしての記憶がそれを証明している。
だけど、俺はここが分岐点で感じていた。
「あの」
「っ! も、申し訳ありません! 目障りですよね! すぐに締めだしますので――」
「いや、そうじゃなくて」
貴族である俺が不機嫌になったと勘違いした兵士は慌てた様子でカルロへと掴みかかったのだが、俺はそれを止めてある提案をする。
「彼の話を聞いてみませんか?」
「「「「「えっ!?」」」」」
俺自身はそんな気など毛頭ないのだけど、どうやら兵士たちにはかなり衝撃的な発言となったようだ。
「もしかしたら、何か重要な情報を伝えるためにここまで来たのかもしれませんよ」
「し、しかし……」
「その通りだ!」
カルロもここがチャンスと思ったらしく、力いっぱい叫んだ。
「早く逃げるんだ! この舞踏会は狙われているぞ!」
居合わせた全員がその言葉を耳にした途端、思わず固まってしまった。
「はっ! 狙われているだと? 何を根拠にそんな世迷言を……」
「本当なんだ! 王都のすぐ近くにある森で複数の大型モンスターがこちらに向かって突き進んでいるんだよ!」
「何をバカな。証拠でもあるのか?」
「大体、王都の外は常に兵士たちが巡回をして見張っているんだ」
「そうだ。異変があればすぐに知らせる手筈となっている」
「ただでさえ、今日は舞踏会という大事な日でいつも以上に気を張っているんだ」
「その兵士が全員やられているんだよ!」
必死に訴える主人公カルロ。
……あれ?
なんか、これに似たイベントが原作ゲームであったような……?
何を隠そう、彼こそがこの【ブレイブ・クエスト】の主人公であるカルロであった。
原作では十八歳という年齢でロミーナとは同い年。ということは、今の彼の年齢は十歳ということになる。
――って、そういえば子ども時代の主人公カルロってどんな感じだったのだろう。ゲーム内ではそこまで昔のことは語られていないけど、確か貧しかったという描写はあったような気がする。
その証拠と言ってはなんだけど、カルロの格好はこの場だとかなり浮いていた。
恐らく正体されたわけじゃなくて無理やり忍び込んだのだろう。
なぜそのような行動に出たのかは分からないが……彼の身につけている服装がかなりボロボロであったため、ゲームの設定どおりかなり苦労している様子はうかがえた。
「む? どうかされましたかな?」
なんとかしてカルロを救いだそうと考えていたら、兵士のひとりに声をかけられた。
「あっ、えっ、えっと……彼はどうしたの?」
「ああ、不審者ですよ。まったく、一体どこから入り込んだのか……このような事態が二度と起こらないよう警戒をより厳重にいたします」
「よ、よろしくお願いします――って、そうじゃなくて、彼はどうしてダンスホールへ侵入しようとしているんですか?」
俺が気になるのはそこだった。
彼が原作どおりの性格をしていれば、間違いなく悪さをするために侵入を試みたわけではないはず。きっと、底には深い事情があったはずなのだ。
しかし、
「どうせくだらん理由でしょう。貧民街に暮らす輩の話に耳を傾ける必要などありませんよ」
一蹴。
兵士は最初から話を聞く気などなかった。
カルロの服装から貧民街の人間であると決めつけ、何も聞かないまま追い返そうとしていたのだ。
……ただ、これがこの世界の「当たり前」なのだろう。
薄っすらと残っているアズベル・ウィドマークとしての記憶がそれを証明している。
だけど、俺はここが分岐点で感じていた。
「あの」
「っ! も、申し訳ありません! 目障りですよね! すぐに締めだしますので――」
「いや、そうじゃなくて」
貴族である俺が不機嫌になったと勘違いした兵士は慌てた様子でカルロへと掴みかかったのだが、俺はそれを止めてある提案をする。
「彼の話を聞いてみませんか?」
「「「「「えっ!?」」」」」
俺自身はそんな気など毛頭ないのだけど、どうやら兵士たちにはかなり衝撃的な発言となったようだ。
「もしかしたら、何か重要な情報を伝えるためにここまで来たのかもしれませんよ」
「し、しかし……」
「その通りだ!」
カルロもここがチャンスと思ったらしく、力いっぱい叫んだ。
「早く逃げるんだ! この舞踏会は狙われているぞ!」
居合わせた全員がその言葉を耳にした途端、思わず固まってしまった。
「はっ! 狙われているだと? 何を根拠にそんな世迷言を……」
「本当なんだ! 王都のすぐ近くにある森で複数の大型モンスターがこちらに向かって突き進んでいるんだよ!」
「何をバカな。証拠でもあるのか?」
「大体、王都の外は常に兵士たちが巡回をして見張っているんだ」
「そうだ。異変があればすぐに知らせる手筈となっている」
「ただでさえ、今日は舞踏会という大事な日でいつも以上に気を張っているんだ」
「その兵士が全員やられているんだよ!」
必死に訴える主人公カルロ。
……あれ?
なんか、これに似たイベントが原作ゲームであったような……?
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