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第15話 ガナス村の悩み事
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季節は巡り、風は少しずつ熱気を帯びるようになってきた。
ロミーナと一緒に暮らすようになってからそろそろ一ヵ月になるか。
当初は慣れない環境ということもあって緊張気味だったロミーナだが、時が経つにつれて少しずつ馴染んでいき、今ではガナス村の人たちともすっかり打ち解けた。まあ、あそこの人たちは昔から穏やかで優しいから問題ないだろうと思っていたけど、その通りになってくれて俺もホッとしている。
この時期は村も野菜の収穫で忙しい。
村の人たちは朝早くから畑に出て、日が暮れるまで作業をしている。林業に従事している人たちも同じように働き詰めだ。
特に最近は王都の職人たちから新しい橋の建設で使用する木材を注文されたらしく、いつにも増して忙しそうだ。
あまりにも量が多いものだから父上もずっと心配しているんだよなぁ。
そこで、なんとか俺の生産魔法でお助けはできないものかと思い立ち、鍛錬終わりのロミーナを連れて森を訪ねてみることに。
ちなみに、当然ながらパウリーネさんも同行している。
「おぉ! アズベル様! ようこそいらっしゃいました!」
迎えてくれたのは木こりのまとめ役をしているゲイリーさんだった。
エンペラー・スパイダーの一件以降、俺はゲイリーさんたち「森が職場」という立場の人たちからとても感謝されていた。俺としては魔銃のいいテスト対象という感じだったが、結果としてこのパルザン地方における主力産業のひとつである林業の未来を守ったという事実が広まり、今もそれが続いている。
「今日はどのようなご用件で?」
「ちょっと仕事を見させてもらおうかなって。ロミーナもこういう仕事を間近で見たことがないっていうからね」
「よろしくお願いします」
「それは勉強熱心ですな!」
豪快に笑い飛ばすゲイリーさんに案内役を頼み、俺たちは森へと足を踏み入れた。
「私から離れないようにしてくださいね」
「分かりました」
あちこちから木に斧をぶつけるいい音が響いてくる。
活気があっていい雰囲気――と、思いきや、
「あれ? 以前より人が少ないですね」
前に父上と一緒に視察へ来た際はもっと人数がいたはずなのだが。納期も迫っているだろうからサボっているというわけではないだろうし。
「それが……ここ最近ずっと作業続きだったため、体に不調をきたす者が続出しまして」
「そ、そうだったんですね」
これは思っていたよりもずっと深刻な問題だな。
すると、
「ねぇ、アズベル」
ロミーナが上着の袖を引っ張りながら俺の名前を上目遣いで口にする。
「ど、どうしたの、ロミーナ」
「みんなを助けてあげることはできないかしら……」
やっぱり、そうなるよね。
パウリーネさんは自分の剣で木を斬れないか試そうとしているけど、それだと逆に剣の方が折れてしまうだろうからとゲイリーさんに止められて断念。
――そうなんだよな。
木を切り倒そうとしたら大きな斧の出番なんだろうけど、こいつはかなりの重量があるのでいくら鍛えている力自慢であっても連続での使用は難しいのだ。
何か、斧に変わる新しい道具があればいいんだけどな。
「っ! そうだ!」
ふと脳裏をよぎったのは前世の記憶。
うん。
あれを生産魔法で再現できれば、作業効率は劇的にアップするはず!
ロミーナと一緒に暮らすようになってからそろそろ一ヵ月になるか。
当初は慣れない環境ということもあって緊張気味だったロミーナだが、時が経つにつれて少しずつ馴染んでいき、今ではガナス村の人たちともすっかり打ち解けた。まあ、あそこの人たちは昔から穏やかで優しいから問題ないだろうと思っていたけど、その通りになってくれて俺もホッとしている。
この時期は村も野菜の収穫で忙しい。
村の人たちは朝早くから畑に出て、日が暮れるまで作業をしている。林業に従事している人たちも同じように働き詰めだ。
特に最近は王都の職人たちから新しい橋の建設で使用する木材を注文されたらしく、いつにも増して忙しそうだ。
あまりにも量が多いものだから父上もずっと心配しているんだよなぁ。
そこで、なんとか俺の生産魔法でお助けはできないものかと思い立ち、鍛錬終わりのロミーナを連れて森を訪ねてみることに。
ちなみに、当然ながらパウリーネさんも同行している。
「おぉ! アズベル様! ようこそいらっしゃいました!」
迎えてくれたのは木こりのまとめ役をしているゲイリーさんだった。
エンペラー・スパイダーの一件以降、俺はゲイリーさんたち「森が職場」という立場の人たちからとても感謝されていた。俺としては魔銃のいいテスト対象という感じだったが、結果としてこのパルザン地方における主力産業のひとつである林業の未来を守ったという事実が広まり、今もそれが続いている。
「今日はどのようなご用件で?」
「ちょっと仕事を見させてもらおうかなって。ロミーナもこういう仕事を間近で見たことがないっていうからね」
「よろしくお願いします」
「それは勉強熱心ですな!」
豪快に笑い飛ばすゲイリーさんに案内役を頼み、俺たちは森へと足を踏み入れた。
「私から離れないようにしてくださいね」
「分かりました」
あちこちから木に斧をぶつけるいい音が響いてくる。
活気があっていい雰囲気――と、思いきや、
「あれ? 以前より人が少ないですね」
前に父上と一緒に視察へ来た際はもっと人数がいたはずなのだが。納期も迫っているだろうからサボっているというわけではないだろうし。
「それが……ここ最近ずっと作業続きだったため、体に不調をきたす者が続出しまして」
「そ、そうだったんですね」
これは思っていたよりもずっと深刻な問題だな。
すると、
「ねぇ、アズベル」
ロミーナが上着の袖を引っ張りながら俺の名前を上目遣いで口にする。
「ど、どうしたの、ロミーナ」
「みんなを助けてあげることはできないかしら……」
やっぱり、そうなるよね。
パウリーネさんは自分の剣で木を斬れないか試そうとしているけど、それだと逆に剣の方が折れてしまうだろうからとゲイリーさんに止められて断念。
――そうなんだよな。
木を切り倒そうとしたら大きな斧の出番なんだろうけど、こいつはかなりの重量があるのでいくら鍛えている力自慢であっても連続での使用は難しいのだ。
何か、斧に変わる新しい道具があればいいんだけどな。
「っ! そうだ!」
ふと脳裏をよぎったのは前世の記憶。
うん。
あれを生産魔法で再現できれば、作業効率は劇的にアップするはず!
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