13 / 108
第13話 魔銃強化
しおりを挟む
学園に入学してしまうと生産魔法を披露する機会もガクッと減ってしまいそうなので、今のうちからやれるだけのことはやっておこうと思う。
パウリーネさんから学園の情報を聞いた日の夜。
俺は夕食を終えて自室へと戻ると魔銃を取りだした。
突如出現したエンペラー・スパイダーを倒すため、その場のノリと勢いだけで作ってしまった武器だが、これはまだまだ改良の余地があると踏んでいる。
あの時、とにかく急いでいた俺はその辺に落ちていた石を弾丸にした――が、こいつに素材として炎や水といった力を宿す魔鉱石を組み合わせれば、属性魔法と同じ効果をもたらす武器になる。
あれからいろいろと調べてみたが、この世界にはまだ銃のような武器は存在していない。
原作である【ブレイブ・クエスト】に登場する武器は剣や魔法の杖、斧、ナックル・ダスター……などなど、銃とは関係のない物ばかりだ。
つまり、この手の武器を手にしているのは世界で俺だけということになる。
そう考えると、なんだか震えてきた。
これまで、冷蔵庫とか電子レンジのような現代日本の日常生活に欠かせない家電製品をモデルにいろいろと作って来たけど、武器となると話が変わってくる。
魔銃は便利だ。
しかし、便利であるがゆえに余計な争いを巻き起こす可能性がある。
父上の言葉を俺は改めて胸に刻んだ。
むやみやたらに生活魔法を使うものではない。
あくまでも領民たちの生活が豊かになる範囲でのみ使用する。
……気をつけないとな。
さて、それはそれとして――いつまたモンスターと戦うことになってもいいように、炎魔法や水魔法の代役になる弾丸を作っておこう。
これはあくまでも自衛のための手段だ。
前みたいに森で急に襲われるってケースもあるだろうし。
本来ならば、そういう危険な目に遭わないための「貴族」って肩書なのだろうが、少なくともうちの領地じゃ意味をなさない。領民たちがよりよい生活を送るためには、次期当主である俺が彼らの生活をよく知る必要がある。ただ安全な場所からふんぞり返っているだけがいい領主と限らないわけだし。
というわけで、俺は早速作業へと取りかかる。
炎の魔鉱石は使い勝手がよく、さまざまな場面で重宝されている。需要が供給を上回っており、値段も他の魔鉱石に比べると高価なのだ。他にも水魔法が同じように値段が高い。こっちは日照りが続いて乾燥してしまった大地をよみがえらせるのに使用された例がある。
人々の生活に直結する魔鉱石。
その入手方法は冒険者がダンジョンから持ち帰るか、鉱山から採掘する以外に方法がなく、いずれも一度にたくさんの量を手に入れることが難しい。
ただ、魔銃に関しては魔鉱石以外にも普通の炎や水でも代用が可能。
まずは実験用に炎と水の弾丸を作りだす。
性能については、明日ロミーナの氷魔法制御特訓が終わってからイルデさんに見てもらうとしよう。
うまくいってくれたらいいんだけどなぁ。
パウリーネさんから学園の情報を聞いた日の夜。
俺は夕食を終えて自室へと戻ると魔銃を取りだした。
突如出現したエンペラー・スパイダーを倒すため、その場のノリと勢いだけで作ってしまった武器だが、これはまだまだ改良の余地があると踏んでいる。
あの時、とにかく急いでいた俺はその辺に落ちていた石を弾丸にした――が、こいつに素材として炎や水といった力を宿す魔鉱石を組み合わせれば、属性魔法と同じ効果をもたらす武器になる。
あれからいろいろと調べてみたが、この世界にはまだ銃のような武器は存在していない。
原作である【ブレイブ・クエスト】に登場する武器は剣や魔法の杖、斧、ナックル・ダスター……などなど、銃とは関係のない物ばかりだ。
つまり、この手の武器を手にしているのは世界で俺だけということになる。
そう考えると、なんだか震えてきた。
これまで、冷蔵庫とか電子レンジのような現代日本の日常生活に欠かせない家電製品をモデルにいろいろと作って来たけど、武器となると話が変わってくる。
魔銃は便利だ。
しかし、便利であるがゆえに余計な争いを巻き起こす可能性がある。
父上の言葉を俺は改めて胸に刻んだ。
むやみやたらに生活魔法を使うものではない。
あくまでも領民たちの生活が豊かになる範囲でのみ使用する。
……気をつけないとな。
さて、それはそれとして――いつまたモンスターと戦うことになってもいいように、炎魔法や水魔法の代役になる弾丸を作っておこう。
これはあくまでも自衛のための手段だ。
前みたいに森で急に襲われるってケースもあるだろうし。
本来ならば、そういう危険な目に遭わないための「貴族」って肩書なのだろうが、少なくともうちの領地じゃ意味をなさない。領民たちがよりよい生活を送るためには、次期当主である俺が彼らの生活をよく知る必要がある。ただ安全な場所からふんぞり返っているだけがいい領主と限らないわけだし。
というわけで、俺は早速作業へと取りかかる。
炎の魔鉱石は使い勝手がよく、さまざまな場面で重宝されている。需要が供給を上回っており、値段も他の魔鉱石に比べると高価なのだ。他にも水魔法が同じように値段が高い。こっちは日照りが続いて乾燥してしまった大地をよみがえらせるのに使用された例がある。
人々の生活に直結する魔鉱石。
その入手方法は冒険者がダンジョンから持ち帰るか、鉱山から採掘する以外に方法がなく、いずれも一度にたくさんの量を手に入れることが難しい。
ただ、魔銃に関しては魔鉱石以外にも普通の炎や水でも代用が可能。
まずは実験用に炎と水の弾丸を作りだす。
性能については、明日ロミーナの氷魔法制御特訓が終わってからイルデさんに見てもらうとしよう。
うまくいってくれたらいいんだけどなぁ。
43
お気に入りに追加
1,161
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【短編】追放した仲間が行方不明!?
mimiaizu
ファンタジー
Aランク冒険者パーティー『強欲の翼』。そこで支援術師として仲間たちを支援し続けていたアリクは、リーダーのウーバの悪意で追補された。だが、その追放は間違っていた。これをきっかけとしてウーバと『強欲の翼』は失敗が続き、落ちぶれていくのであった。
※「行方不明」の「追放系」を思いついて投稿しました。短編で終わらせるつもりなのでよろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄されて勝利宣言する令嬢の話
Ryo-k
ファンタジー
「セレスティーナ・ルーベンブルク! 貴様との婚約を破棄する!!」
「よっしゃー!! ありがとうございます!!」
婚約破棄されたセレスティーナは国王との賭けに勝利した。
果たして国王との賭けの内容とは――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
醜さを理由に毒を盛られたけど、何だか綺麗になってない?
京月
恋愛
エリーナは生まれつき体に無数の痣があった。
顔にまで広がった痣のせいで周囲から醜いと蔑まれる日々。
貴族令嬢のため婚約をしたが、婚約者から笑顔を向けられたことなど一度もなかった。
「君はあまりにも醜い。僕の幸せのために死んでくれ」
毒を盛られ、体中に走る激痛。
痛みが引いた後起きてみると…。
「あれ?私綺麗になってない?」
※前編、中編、後編の3話完結
作成済み。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる