破滅する悪役女帝(推し)の婚約者に転生しました。~闇堕ちフラグをへし折るため、生産魔法を極めて平穏に生きる!~

鈴木竜一

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第13話 魔銃強化

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 学園に入学してしまうと生産魔法を披露する機会もガクッと減ってしまいそうなので、今のうちからやれるだけのことはやっておこうと思う。

 パウリーネさんから学園の情報を聞いた日の夜。
 俺は夕食を終えて自室へと戻ると魔銃を取りだした。

 突如出現したエンペラー・スパイダーを倒すため、その場のノリと勢いだけで作ってしまった武器だが、これはまだまだ改良の余地があると踏んでいる。

 あの時、とにかく急いでいた俺はその辺に落ちていた石を弾丸にした――が、こいつに素材として炎や水といった力を宿す魔鉱石を組み合わせれば、属性魔法と同じ効果をもたらす武器になる。

 あれからいろいろと調べてみたが、この世界にはまだ銃のような武器は存在していない。
 原作である【ブレイブ・クエスト】に登場する武器は剣や魔法の杖、斧、ナックル・ダスター……などなど、銃とは関係のない物ばかりだ。

 つまり、この手の武器を手にしているのは世界で俺だけということになる。
 そう考えると、なんだか震えてきた。

 これまで、冷蔵庫とか電子レンジのような現代日本の日常生活に欠かせない家電製品をモデルにいろいろと作って来たけど、武器となると話が変わってくる。
 魔銃は便利だ。
 しかし、便利であるがゆえに余計な争いを巻き起こす可能性がある。

 父上の言葉を俺は改めて胸に刻んだ。
 むやみやたらに生活魔法を使うものではない。

 あくまでも領民たちの生活が豊かになる範囲でのみ使用する。
 ……気をつけないとな。

 さて、それはそれとして――いつまたモンスターと戦うことになってもいいように、炎魔法や水魔法の代役になる弾丸を作っておこう。
 これはあくまでも自衛のための手段だ。
 前みたいに森で急に襲われるってケースもあるだろうし。

 本来ならば、そういう危険な目に遭わないための「貴族」って肩書なのだろうが、少なくともうちの領地じゃ意味をなさない。領民たちがよりよい生活を送るためには、次期当主である俺が彼らの生活をよく知る必要がある。ただ安全な場所からふんぞり返っているだけがいい領主と限らないわけだし。

 というわけで、俺は早速作業へと取りかかる。
 炎の魔鉱石は使い勝手がよく、さまざまな場面で重宝されている。需要が供給を上回っており、値段も他の魔鉱石に比べると高価なのだ。他にも水魔法が同じように値段が高い。こっちは日照りが続いて乾燥してしまった大地をよみがえらせるのに使用された例がある。

 人々の生活に直結する魔鉱石。
 その入手方法は冒険者がダンジョンから持ち帰るか、鉱山から採掘する以外に方法がなく、いずれも一度にたくさんの量を手に入れることが難しい。

 ただ、魔銃に関しては魔鉱石以外にも普通の炎や水でも代用が可能。
 まずは実験用に炎と水の弾丸を作りだす。
 性能については、明日ロミーナの氷魔法制御特訓が終わってからイルデさんに見てもらうとしよう。

 うまくいってくれたらいいんだけどなぁ。
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