上 下
158 / 159
連載

第311話 山頂への道のり

しおりを挟む
 いよいよ霊峰ガンティア完全攻略に向けて始動する。

 すでに中腹エリアには村とまではいかないが、宿泊施設はできている。あの一帯は結界魔法によって雪崩の影響も受けないので、まずはそこで作戦を練ることになるだろう。

 俺の祖父であるアダム・カルーゾでさえ届かなった頂。
 そこにたどり着けば、真の意味でこの地の領主になれる――そんな気がしていた。

 だが、一筋縄ではいかない超難所であるのは理解している。 
 そのため、今回は助っ人多めで挑もうと思う。

 まずはフルズさん。
 
 正直、彼はギルドの仕事で忙しいからと当初の構想からは外れていた。
 しかし、

「水臭いですなぁ、領主殿。いつでも頼ってください」

 どうやらダイールさんあたりから話を聞いたようで、立候補してくれた。この地に初めて足を踏み入れたその日から知り合った、いわば最古参ともいえるフルズさんに力を貸してもらえるなら心強い。

 さらに魔法担当としてフィーネ。
 医療知識をカバーしてくれるマクシムさん。
 ここにダイールさんとレオニーさんといういつものメンバーで――と、思っていたら、さらに驚くべき助っ人がふたり参加を希望してくれた。

 ひとりは山をよく知るムデル族のオティエノさん。

 さらにもうひとりは山猫の獣人族の村で新村長に就任したディランさんだった。

「私もずっとあの山の頂が気になっていたんだよね」
「俺もだ」

 ふたりとも、俺がここへやってくる前からいる。
 そりゃあ、あれだけ大きな山だから機になるよな。

 俺はふたりの参加を歓迎する。
 これで山頂を目指すメンバーは決定だ。

 すると、村のみんなが山頂への到達を祈るという意味も込め、激励会を開いてくれることになった。
 いつもの宴会ではなく、今回は転移魔法陣を利用してムデル族や山猫の獣人族たちも集まってくれた。今やどちらも俺にとっては大事な領民。そんな彼らから激励の言葉をもらって感激しないわけがなかった。

 人数も多いため、宴会はいつも以上の盛り上がりを見せる。
 そんな時、ふと霊峰ガンティアが視界に入った。

「待ってろよ……そのてっぺんにたどり着いてやるからな」

 俺は宣戦布告する。
ここを無事に乗り越えて、シルヴィアと盛大な結婚式をあげるために。

いよいよ明日から、俺と霊峰ガンティア――その最後の戦いが幕を開ける。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ロイヤルブラッド

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,279pt お気に入り:72

王女殿下に婚約破棄された、捨てられ悪役令息を拾ったら溺愛されまして。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:23,324pt お気に入り:7,087

異世界街道爆走中〜転生したのでやりたい仕事を探します。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:14

変わり者と呼ばれた貴族は、辺境で自由に生きていきます

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:5,858

異世界転生したら、なんか詰んでた 精霊に愛されて幸せをつかみます!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:3,599pt お気に入り:5,213

最後の言葉

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。