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第292話 修行の間に休息を
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シルヴィアとの結婚式。
その具体的な日取りや招待客などの細かな決め事については、俺が取り組んでいる無属性魔法の強化が成功してから行うようにした。
季節は巡り、気がつけば冬は目前に迫っている。
ジェロム地方へ来てから初めて迎える冬だ。
フルズさん曰く、麓の方は雪の影響をそれほど考えなくてもいいらしい。ただ、他の土地に比べて気温は下がるらしいので暖房器具の準備は必要となってくる。なので、今日も朝からテスラさん、エイーダ、フィーネのメイド三人衆が薪割りに勤しんでいた。
彼女たちは斧を使って木を切っているが、その横ではシルヴィアが華麗な剣さばきで次々と薪を割っていく。
「お見事ですね、シルヴィア様」
「すごーい!」
「さすがです!」
「ふふっ、ありがとう。小さな頃から修行の一環で兄さんたちとよくやっていたんだ」
楽しそうに作業するみんなを眺めつつ、俺は無属性魔法のひとつである結界魔法の強化を実現するために修行を重ねていた。
いきなりすべてがうまくいくとは思っていない。
小さなことから積み上げ、やがて大きな山とする。
そういう心意気が大事なのだと、無属性魔法の書物にも書いてあったし。
しばらく魔法修行に集中していたのだが、ふと視線を外へやると、
「えっ?」
俺は驚きに思わず手が止まる。
窓の外にはもくもくと立ち上る白い煙があったのだ。
もしや火事なのでは、と思って急いで外へ出ると、そこには焚火をしながら談笑しているシルヴィアたちがいて、さらにダイールさん、レオニーさんも加わっていた。
「? どうしたんだ、ロイス。そんなに慌てて」
「あぁ、いや……何をやっているのかなぁって」
「ダイールさんたちが持ってきてくれた芋を焼いていたんだ。できたらロイスも呼ぼうと思っていたんだ」
「そ、そうなのか」
あの白煙は焚火の煙だったのか。
それにしても……焼き芋とは風情があるな。
前世の世界にも、焚火で芋を焼くという行為はあったけど、異世界でそれをやるとなんだかまた違った雰囲気だ。
「さあ、できましたぞ」
「ありがとうございます」
ダイールさんから焼き立ての芋をもらうも、かなり熱いのでしばらく冷ましてから食べることに。その味は――
「うまっ!」
なんとも言えない甘味とホクホク感……この芋はジェロム地方の農場で収穫された物のようで、今年は豊作だったという。農場主が後日改めてうちに収穫の報告へやってくるとダイールさんから告げられるが、これならアスコサで売っても大人気間違いなしだ。
「夕飯前ですから、食べすぎにはご注意ください」
「はーい!」
「って、エイーダさん、それで三個目じゃないですか!?」
メイド三人衆も楽しそうに焼き芋を頬張っている。
「おいしいな、ロイス」
「うん。これは毎年秋の風物詩にしてもいいくらいだ」
俺もシルヴィアと一緒に芋を食べながら話し込む。
おかげで、修行へのモチベーションがさらに上がったよ。
その具体的な日取りや招待客などの細かな決め事については、俺が取り組んでいる無属性魔法の強化が成功してから行うようにした。
季節は巡り、気がつけば冬は目前に迫っている。
ジェロム地方へ来てから初めて迎える冬だ。
フルズさん曰く、麓の方は雪の影響をそれほど考えなくてもいいらしい。ただ、他の土地に比べて気温は下がるらしいので暖房器具の準備は必要となってくる。なので、今日も朝からテスラさん、エイーダ、フィーネのメイド三人衆が薪割りに勤しんでいた。
彼女たちは斧を使って木を切っているが、その横ではシルヴィアが華麗な剣さばきで次々と薪を割っていく。
「お見事ですね、シルヴィア様」
「すごーい!」
「さすがです!」
「ふふっ、ありがとう。小さな頃から修行の一環で兄さんたちとよくやっていたんだ」
楽しそうに作業するみんなを眺めつつ、俺は無属性魔法のひとつである結界魔法の強化を実現するために修行を重ねていた。
いきなりすべてがうまくいくとは思っていない。
小さなことから積み上げ、やがて大きな山とする。
そういう心意気が大事なのだと、無属性魔法の書物にも書いてあったし。
しばらく魔法修行に集中していたのだが、ふと視線を外へやると、
「えっ?」
俺は驚きに思わず手が止まる。
窓の外にはもくもくと立ち上る白い煙があったのだ。
もしや火事なのでは、と思って急いで外へ出ると、そこには焚火をしながら談笑しているシルヴィアたちがいて、さらにダイールさん、レオニーさんも加わっていた。
「? どうしたんだ、ロイス。そんなに慌てて」
「あぁ、いや……何をやっているのかなぁって」
「ダイールさんたちが持ってきてくれた芋を焼いていたんだ。できたらロイスも呼ぼうと思っていたんだ」
「そ、そうなのか」
あの白煙は焚火の煙だったのか。
それにしても……焼き芋とは風情があるな。
前世の世界にも、焚火で芋を焼くという行為はあったけど、異世界でそれをやるとなんだかまた違った雰囲気だ。
「さあ、できましたぞ」
「ありがとうございます」
ダイールさんから焼き立ての芋をもらうも、かなり熱いのでしばらく冷ましてから食べることに。その味は――
「うまっ!」
なんとも言えない甘味とホクホク感……この芋はジェロム地方の農場で収穫された物のようで、今年は豊作だったという。農場主が後日改めてうちに収穫の報告へやってくるとダイールさんから告げられるが、これならアスコサで売っても大人気間違いなしだ。
「夕飯前ですから、食べすぎにはご注意ください」
「はーい!」
「って、エイーダさん、それで三個目じゃないですか!?」
メイド三人衆も楽しそうに焼き芋を頬張っている。
「おいしいな、ロイス」
「うん。これは毎年秋の風物詩にしてもいいくらいだ」
俺もシルヴィアと一緒に芋を食べながら話し込む。
おかげで、修行へのモチベーションがさらに上がったよ。
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