無属性魔法って地味ですか? 「派手さがない」と見捨てられた少年は最果ての領地で自由に暮らす

鈴木竜一

文字の大きさ
上 下
34 / 117
3巻

3-2

しおりを挟む
 その日の夜。
 ユリアーネから購入した魔導書をもとに、俺は修業に励んだ。
 無属性魔法の利点は使い勝手がよく、万能であること。
 戦闘能力は皆無だが、ほぼすべてが補助系の役割を果たせる。領主として領地開拓を進めていく上では、戦闘よりもこっちの分野の方が役に立つからいい。
 ――利点はそれに加えてもうひとつ。
 これは俺もこの新しい本を読んでから知ったのだが、それぞれの無属性魔法のレベルアップが思いのほか容易だったのである。
 普通、炎やら水やらの属性魔法を強化していくとなると、相当な努力が必要になってくる。
 代表的な手法としては、特定魔法の使用回数を増やしたり、魔法を使って経験を積んだり……言ってみれば、敵を魔法で倒してレベルアップしていくというのがしっくりくる表現だろうか。
 だが、無属性魔法に関しては例外的に難しくはない。
 魔力の錬成れんせい――以上である。
 生まれ持った己の魔力を練り、より純度を高めていけばいい。
 ……無属性魔法が軽視される理由ってこれなんじゃないかな。
 他の属性魔法はモンスターを討伐するなど、割と命がけな面も見受けられるけど、無属性魔法にはそういうことをする必要が一切ないのだ。これまでにもいただろう無属性魔法使いたちは、さぞ肩身がせまかっただろうなぁ。
 ――と、まあ、そんなわけで、前回よりも魔力を強化して、あの屋敷に張られた結界を突破しに行くか。
 俺とシルヴィアは、翌朝からその屋敷へ目指そうと準備を始めたのだった。


  ◇◇◇


 次の日の朝。
 朝食を終えてシルヴィアと朝の鍛錬たんれんをこなしたあと、村の様子を見て回り、それから例の屋敷へ出発しようとマックを呼びに行こうとした――そこへめずらしい来客が。

「ロ、ロイスさん」

 恐る恐る声をかけてきた少年。

「どうかしたのかい、メイソン」

 俺がそう声をかけた相手――それは、マクシム医師のひとり息子であるメイソン少年であった。
 メイソンは冒険者稼業かぎょうに関心があるらしく、ギルドにてフルズさんのお手伝いをよくしてくれている――とはいえ、エイーダと同じ年齢であるメイソンに無理はさせまいと、フルズさんは書類の整理だったり、ギルド周りの掃除だったりと、彼の年齢でも負担なくできる範囲で仕事を与えていた。
 そのメイソンだが、ギルドで働くうちにたくましい冒険者たちに対してあこがれの気持ちがより強くなったらしい。
 今では仕事終わりにダイールさんを先生にして、剣術や基礎体力向上のための鍛錬にはげんでいるという。そのことを思い出してからメイソンを改めて見ると……最初に出会った時より、体つきがしっかりしてきた気がするな。
 メイソンはジッと俺とシルヴィアの方に視線を固定すると、深呼吸をしてから語り始めた。

「僕を一緒に連れて行ってほしいんです」
「「えぇっ!?」」

 思わぬ提案に、俺とシルヴィアは目を見開いた。

「つ、連れて行くって……」
「私たちが今日どこへ行くのか知っているのか?」
「新しく見つけた昔のお屋敷ですよね?」

 ひとみかがやかせながら、メイソンは興奮気味に話す。
 まるで遠足にでも行くかのようなテンションだ。
 ……正直、まだ彼には早い気もするが……

「ご安心ください。私も同行いたします」

 そう言いながら現れた男性は、丁寧な口調とそれに見合わない筋肉質なボディ。
 他の冒険者たちから一目置かれ、メイソンにとっては冒険者としての先生でもあるダイールさんだった。

「ダ、ダイールさん……」
「彼はしっかり戦力になりますよ。それに……結界の張られた屋敷の探索となったら、もう少し人手は必要でしょう」
「……確かに」

 ダイールさんの言うことはもっともだ。

「それでしたら当然私も行きます!」

 さらに心強い味方として、俺たちの話が聞こえて駆けつけてきたレオニーさんも参戦表明。
 ――というわけで、屋敷の探索には俺とシルヴィア、そこにメイソンとダイールさんとレオニーさんを加えた五人で挑むこととなった。
 あ、今回もマックは一緒だな。


 昨日シルヴィアと歩いた山岳さんがくデートコースをたどり、再びあの怪しげな屋敷へやってきた。

「ボロボロではありますが、その点を差し引けば至って普通のお屋敷ですね」
「しかし……妙なオーラをまとっておりますな」

 初めて屋敷を見たレオニーさんとダイールさんはそれぞれ感想を口にする。メイソンはその不気味な気配に押されてふたりの背後に隠れていた。
 ……まあ、メイソンのことはひとまず置いておくか。
 気を取り直して、俺は屋敷の前に立つ。
 そして、無属性魔法――結界魔法の《解除魔法》を発動させる。
 修業したのは一日だけだが、それでも俺の魔力量はだいぶ上がった。
 前回は失敗したこの魔法だが、今回は前のようにはいかないぞ。

「…………」

 俺は目を閉じて、魔力を練る。
 すると、それに反応したのか屋敷を取り囲む結界が姿を現した。

「す、凄い……」
「これほど見事なものはそう簡単にお目にかかれませんよ……」
「まったくですな」
「うわぁ……」

 シルヴィア、レオニーさん、ダイールさん、メイソンの顔色が一変した。
 それはそうだろう。
 その結界はまるで要人を警護しているかのように頑強そうだったのだ。


「で、でも、ロイスさんは本当にあれを解除できるんですか?」
「見ていろ、メイソン――ロイスはやってくれるさ」

 ……シルヴィアに信頼されているようで何よりだ。
 なら、その信頼にこたえないとな。

「ふぅ……いくぞ!」

 深呼吸を挟んでから、俺は解除魔法を発動させた。

「くっ……!」

 結界が俺の魔法を排除しようと激しい抵抗を見せる。ふたつの魔法が正面からぶつかり合い、辺りにはその衝撃による横揺れが発生。
 これ以上は危険かもしれないと思った次の瞬間――
 パリン!
 まるでガラスが割れるような音を立てて、結界は消滅した。

「や、やった!」
「やったな! ロイス!」

 思わず、俺はシルヴィアと抱き合って喜びを分かち合う――が、しばらくしてこの場にはダイールさんたちがいることを思い出し、パッと離れた。

「わ、我々の目はお気になさらず!」
「レオニー殿の言う通りですぞ。おふたりは両家公認の婚約者同士。誰にも遠慮することはありません」
「いや、ごめん、勘弁かんべんしてください……」

 レオニーさんの方は善意で言っているのだろうが、ダイールさんの方はからかう気満々といった感じ。
 ……まあ、もう一度気を取り直して。
 俺たちは自由に出入りができるようになった屋敷へ足を踏み入れた。
 その第一印象は――

「これはひどい……」

 荒れ放題の室内を見て、思わず声が漏れた。
 麓にあった、現在俺たちの家として使っている前領主の屋敷よりもずっと古い感じがする……いや、警備が厳重だったし、もしかしたらこっちの方が前領主の屋敷だった?
 いずれにせよ、詳しく調査してみる必要がありそうだ。

「よし。屋敷の中を見て回ろう」
「そうですな」

 俺の言葉にダイールさんが頷き、先頭で中へ入っていく。

「じゃ、じゃあ、僕は師匠と一緒に」

 まずはダイールさんとメイソンの師弟していコンビが入っていく。

「俺たちも続こう」
「ああ」
「はい! ところどころ床に穴が開いているかもしれませんからお気をつけて」

 それから、俺とシルヴィア、そしてレオニーさんが屋敷へと入っていき、いよいよ本格的な調査が始まる。
 ――っと。その前に、ひとつ忘れていた。

「マック、大人しく待っていてくれよ」
「メェ~」

 愛羊あいようのマックに声をかけ、ようやく準備完了。
 果たして……何が待ち受けているやら。
 怪しげな屋敷の正体を探る調査――それは、ため息から始まった。

「なかなか骨が折れそうだ……」

 なぜなら、結界によって守られていたあの屋敷の内部はひどく荒れ果てていたのだ。これはちょっと想定以上かも。
 ただボロいというだけでなく、物であふれかえっていたという点も進行をさまたげる要因となっていた。

「やれやれ、足の踏み場もないというのはこのことだな」
「あぁ。まったくだ――きゃっ!?」

 突然、シルヴィアが小さく悲鳴を上げると、俺の背中に抱き着く。不意打ちのように襲ってくるやわらかな感触と急に濃くなったシルヴィアの匂いに動揺しまくりながらも、俺は何が起きたのかを尋ねた。

「ど、どどど、どうした!?」
「す、すまない。背中にクモが……」
「あ、ああ、クモね」

 虫とか苦手だったのかな。
 ……しかし、シルヴィアが離れない。
 すでにクモはいなくなっているはずだが、背中にしがみついたままだった。

「「…………」」

 なんとも言えない空気が流れる。俺は俺で、引きはがすようなことはせず、くっついた状態のまま移動をしていくが――

「おふたりとも、メイソンがいることをお忘れじゃないですかな?」
「「!?」」

 前を歩いていたダイールさんからの冷静すぎるツッコミが入って、ようやく俺たちは少し距離をとったのだった。

「先ほどはああ言いましたし、おふたりがなかむつまじいのは領民である我らにとって大変喜ばしいことですが……あまり盛り上がりすぎぬようお願いします」
「「はい……」」

 つまり、節度をもっていちゃつけということらしい。もっともだな。
 ……まあ、さすがに人目のあるところで露骨にやろうだなんて思わないけど。
 気を取り直して、さらに屋敷の奥へ進んでいく。
 すると、上の階へ進むための階段を発見した。
 ――だが。

「これ……上の階に行って大丈夫かな?」
「かなり足場が不安定だぞ……」

 俺とシルヴィアはボロボロとなっている屋敷の現状を見て、ここを進んでいくのは非常に危険と判断……しかし、この上に何があるのか知りたいという好奇心があるのもまた事実であった。
 その気持ちは俺たちだけではなかったらしい。

「私が行きましょう」

 手を挙げたのはダイールさんだった。

「冒険者稼業が長かったおかげで、この手の場所は慣れっこです」
「では、私もお供します」

 そう言ったのはダイールさんだ。レオニーさんは笑顔でその提案を受け入れる。

「頼りにしていますよ」
「さ、さすがは師匠! それにレオニーさんも凄い度胸です!」

 自ら危険な場所に飛び込んでいこうとするダイールさんとレオニーさんに対し、メイソンは尊敬のまなざしを向けていた。

「ふたりとも、無茶はしないでくださいね」
「心得ております。領主殿は引き続き一階の探索を」
「任せてください」

 俺が力強く宣言すると、ダイールさんはニッコリと笑ってレオニーさんと一緒に階段へ向かう。そして少しでも気を緩めれば崩壊してしまいそうな足場を、軽やかなステップで上って行った……ダイールさんって、たぶん父上より年上なんだと思うけど、本当に身軽というか、身体能力が高いよなぁ。俺も見習わないと。

「シルヴィア、メイソン、俺たちはこのまま一階の探索を続けるぞ」
「あぁ」
「了解です!」

 何がひそんでいるのか分からないため、俺たち三人は固まって屋敷内を探索することに。
 やがて、他の部屋に比べて大きく、ベッドの置かれた部屋へとたどりついた。

「この屋敷のあるじの寝室か?」

 そんな予想を立てながら部屋に入ると、壁にかけられている大きな絵画を発見する。そこには若くて美しい女性が描かれていた。その身なりから、おそらく彼女も貴族なのだろうと推測できる。

「綺麗な人だな、ロイス」
「ああ……」

 ……って、しまった。
 そこは「シルヴィアの方が綺麗だよ」と気のいたセリフを言うべきだったか――いやいや、この場にはメイソンもいるんだから、言わないでよかったのかもしれないな。
 などと考えていたら――

「…………」

 シルヴィアはその絵画に視線が釘付くぎづけとなっていた。

「どうかしたのか、シルヴィア?」
「いや……もしかしたら、私はこの人を知っているかもしれない」
「えっ!?」

 思わぬ言葉が飛びだした。

「どこかで見た記憶があるんだ……どこだったかな……」

 必死に記憶の糸をたどってうなるシルヴィア。
 しかし、シルヴィアの記憶にあるということは、この女性……彼女の実家であるラクロワ家の関係者である可能性が高いのか?
 ……いや、でもちょっと待てよ。
 シルヴィアは俺と一緒に離れの屋敷で暮らしていた時期が長いから、仮にこの人と会っていたとしても、結構昔だな。
 それに、確かこの領地――ジェロム地方は代々うちが所有権を持っていたはず。

「…………」

 一方、メイソンは何やら物憂ものうげな表情で絵画を見つめていた。

「どうした、メイソン。もしかして、君もこの絵の女性に心当たりが?」
「あっ、いえ、そういうわけじゃないんです……ただ」
「ただ?」
「この女性、なんだか悲しそうな顔をしているなって」
「えっ? う、うーん……?」

 メイソンの言葉を受け、改めて絵画をじっくり見てみる――と、確かにそんな感じがしてきた。
 なんていうか、絵のタッチっていうのかな。まるで悲しい出来事があった直後に絵のモデルをして、その時の感情がつい表に出てきてしまったみたいな。
 うまく表現できないけど、メイソンの言った通り、悲しげであるという点については俺も同感だ。

「ともかく、これだけ大きな絵が一番目立つ位置に飾られているということは、描かれている女性がこの屋敷の主か、あるいは、その人物と非常に深い関係にあったと見て間違いなさそうだな」

 俺はそう言ったあと、もう少し女性に関する情報がないか、三人で部屋を詳しく調べてみることにした。
 すると、ここである違和感を抱く。

「この部屋……他の部屋とちょっと違うな」
「そうだな……」

 俺の言葉にシルヴィアが同意する。
 違和感の原因は部屋の荒れ具合だった。

「ここはまだ比較的綺麗だな」
「うむ。荒れてはいるが……他の部屋ほどではない」
「ど、どういうことなんでしょうか……」

 少しおびえた感じでメイソンが言う……たぶん、そうは言いつつもある程度の見当はついているのだろう。

「私たちがここを見つけて調査するよりも前に、この部屋へ何者かが侵入した可能性があるな」
「そして、その際に少し部屋を整頓せいとんした――と、俺は推察する」
「私も同じ意見だ」

 ここでも息ピッタリの俺とシルヴィア。

「で、でも、なんのためにそんな……」
「なぜだろうなぁ……さすがにそこまではまだちょっと分からないけど」

 ここからだとかなり距離はあるが、例の違法採掘の件もある。彼らの目的はあくまでも上質な魔鉱石の採掘であったようだが……もしかしたらそれにとどまらず、この霊峰ガンティアで何かを探して、ここを訪れたとか?

「……また、妙なトラブルが起きなければいいけどな」
「どうする? マーシャル兄さんに報告するか?」

 乾いた笑みを浮かべる俺を心配して、シルヴィアがそう提案する。
 しかし、俺はそうすべきでないと考えていた。

「いや……今の段階だと不透明な部分が多すぎる。もう少し事態を把握してからでも遅くはないだろう」

 下手に不安材料を示し、マーシャルさんの心労を増やすわけにはいかない。ただでさえ、今はあの違法採掘の黒幕を追って多忙のはず。そもそも、今までの話はすべて仮説であり、なんの確証もないのだから。

「ともかく、もう少しこの辺りの探索を――」
「領主殿ぉ!!」

 突然、大きな叫び声がした。
 二階を調査しているダイールさんだ。

「ロイス!」
「ああ! 階段へ急ごう!」

 俺たちは一旦いったんその部屋をあとにし、ダイールさんのもとを目指して階段へと向かった。二階にはレオニーさんもいるはずだが、彼女の声は聞こえない。それがまた、不安を増幅させた。

「床に気をつけろ! あせって踏み抜かないようにな!」

 シルヴィアやメイソンに注意をうながしつつ、俺も前進していく。
 ふたりと別れた階段のところまで来ると、ダイールさんがいた。
 ――だが、俺たちはその姿にギョッとする。

「ダイールさん!?」
「ロ、ロイス様……」

 最初に声を上げたのは、ダイールさんに寄り添っているレオニーさんだった。いつもの彼女らしくない、弱々しい声とまなざし。
 それもそのはず。
 なんと、彼はひどく負傷しており、左肩からはおびただしい量の出血が。

「ぐぅ……領主殿……申し訳ありません……不覚を取りました」
「それ以上しゃべらないで!」

 俺はダイールさんに駆け寄ると、すぐさま治癒ちゆ魔法をほどこす。
 ひどいケガではあったが応急的な処置はすることができた。

「ありがとうございます、領主殿。おかげで助かりました」
「いえいえ。ところで、二階で何があったんですか?」
「まさか、モンスターか!」
「えっ!?」

 シルヴィアの言葉に動揺し、体が固まるメイソン。モンスターの恐ろしさは、きっと両親から聞いているのだろう。
 だが、ダイールさんはすぐさまそれを否定した。

「いえ、モンスターではありませんでした……しかし」
「しかし?」
「なんというか……その……人間によく似た姿をしていましたね」
「人間に?」

 気になったのはダイールさんの表現だ。
 人間によく似た――つまり、自身を襲ったのが人間でないことは分かっているのだ。だが、実際にどのような生物であったのか、その見当はつかないらしい。
 常人離れしたスピードで部屋中を移動するその生物に翻弄ほんろうされたダイールさんは、するどつめで肩をかれ、ケガをったとのことだった。
 ちなみに、そいつはダイールさんがさけんだ直後、開け放たれた窓から外へ逃げていったそうだ。
 危害を加えるような生物が近くにいるとするなら、領主として何かしらの対応をしなければならないだろう。
 それにしても、冒険者としての実績が豊富なダイールさんを相手に、不意をついたとはいえここまで負傷させる……只者ただものじゃないぞ。
 おまけに正体不明ってことなら、いろいろとプランを変更しなければならないか。


しおりを挟む
感想 145

あなたにおすすめの小説

寡黙な男はモテるのだ!……多分

しょうわな人
ファンタジー
俺の名前は磯貝澄也(いそがいとうや)。年齢は四十五歳で、ある会社で課長職についていた。 俺は子供の頃から人と喋るのが苦手で、大人になってからもそれは変わることが無かった。 そんな俺が何故か課長という役職についているのは、部下になってくれた若者たちがとても優秀だったからだと今でも思っている。 俺の手振り、目線で俺が何をどうすれば良いかと察してくれる優秀な部下たち。俺が居なくなってもきっと会社に多大な貢献をしてくれている事だろう。 そして今の俺は目の前に神と自称する存在と対話している。と言ってももっぱら喋っているのは自称神の方なのだが……

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。