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第149話 忍び寄る魔の手
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それぞれの使い魔が到着するまでの間、なんとしてもこの別荘を拠点として生き延びなければならない。
――って、深刻そうな雰囲気を出しているけど、事態を察知して先に合流してきたクウタがここで大活躍をしてくれる。
「退かなければ大火傷をしますよ!」
不死鳥《フェニックス》であるクウタの全身は炎で覆われている。これは普通の炎ではなく魔力によって生み出されているもののため、クウタが燃やそうと思った対象にのみその効果を発揮する。
その対象とはもちろん、理由もまったく不明のまま襲ってくる謎の武装集団。
クウタが全体を目がけて炎攻撃をし、それでも退かなかった者たちについてはノエリーとメイが立ちはだかる。
「はあっ!」
「やあっ!」
ノエリーは得意のスピードを生かした剣術で相手を翻弄しつつ撃退。メイも魔法で男たちを退け、ミネットの別荘へは誰も近づけない状況となっている。
――だが、武装集団の数はどんどん増えていく。
黒幕は一体どれほどの人間をこのリゾート地へ送り込んでいるんだ!?
「くっ、これではキリがないな」
「あきらめて撤退する動きも見られませんし……」
「何がここまで彼らを突き動かしているのでしょう……」
ノエリーとメイの疑問はもっともだ。
普通なら神獣であるクウタを目の当たりにした段階でほとんどの兵士は逃げ出しそうなものなのだがな。
恐らく連中は金で雇われたゴロツキだろう。
裏から操っている黒幕に対して忠誠心なんかない。
目的は報酬。
ただそれだけのはずだ。
にもかかわらず、一歩も引かずに攻撃の手を緩めないというのは……おまけに数は増えつつある。
「まさか……」
嫌な予感がした。
それが事実でないことを祈りつつ、俺は彼らの動きを観察し続けた。
結果――ある恐ろしい事実に気づく。
「こいつらは……アンデッドだ」
「「っ!?」」
俺の言葉に対して信じられないといった反応を見せるノエリーとメイ。
だが、魔法使いであるメイにはある心当たりがあった。
「……攻撃をまともに食らっても怯むことなく起き上がってまた進撃してくる様子には確かに違和感がありました。もし相手がアンデッドならば、術者の命令に従い続けるだけなのでそのようなことも可能だなと」
「ちょ、ちょっと待ってください! だとしたら黒幕は……死霊魔術師!?」
「可能性は大いにあるぞ」
外見は普通の人間だが、よく見ると目の焦点が合っていなかったり、言葉も発していない。
詳しく調べてみないことには断言できないが……それにしても、なぜ死霊魔術師がこのようなマネをするのか。
真相にたどり着くべく、俺たちは最後の力を振り絞ってアンデッド軍団へと立ち向かっていった。
――って、深刻そうな雰囲気を出しているけど、事態を察知して先に合流してきたクウタがここで大活躍をしてくれる。
「退かなければ大火傷をしますよ!」
不死鳥《フェニックス》であるクウタの全身は炎で覆われている。これは普通の炎ではなく魔力によって生み出されているもののため、クウタが燃やそうと思った対象にのみその効果を発揮する。
その対象とはもちろん、理由もまったく不明のまま襲ってくる謎の武装集団。
クウタが全体を目がけて炎攻撃をし、それでも退かなかった者たちについてはノエリーとメイが立ちはだかる。
「はあっ!」
「やあっ!」
ノエリーは得意のスピードを生かした剣術で相手を翻弄しつつ撃退。メイも魔法で男たちを退け、ミネットの別荘へは誰も近づけない状況となっている。
――だが、武装集団の数はどんどん増えていく。
黒幕は一体どれほどの人間をこのリゾート地へ送り込んでいるんだ!?
「くっ、これではキリがないな」
「あきらめて撤退する動きも見られませんし……」
「何がここまで彼らを突き動かしているのでしょう……」
ノエリーとメイの疑問はもっともだ。
普通なら神獣であるクウタを目の当たりにした段階でほとんどの兵士は逃げ出しそうなものなのだがな。
恐らく連中は金で雇われたゴロツキだろう。
裏から操っている黒幕に対して忠誠心なんかない。
目的は報酬。
ただそれだけのはずだ。
にもかかわらず、一歩も引かずに攻撃の手を緩めないというのは……おまけに数は増えつつある。
「まさか……」
嫌な予感がした。
それが事実でないことを祈りつつ、俺は彼らの動きを観察し続けた。
結果――ある恐ろしい事実に気づく。
「こいつらは……アンデッドだ」
「「っ!?」」
俺の言葉に対して信じられないといった反応を見せるノエリーとメイ。
だが、魔法使いであるメイにはある心当たりがあった。
「……攻撃をまともに食らっても怯むことなく起き上がってまた進撃してくる様子には確かに違和感がありました。もし相手がアンデッドならば、術者の命令に従い続けるだけなのでそのようなことも可能だなと」
「ちょ、ちょっと待ってください! だとしたら黒幕は……死霊魔術師!?」
「可能性は大いにあるぞ」
外見は普通の人間だが、よく見ると目の焦点が合っていなかったり、言葉も発していない。
詳しく調べてみないことには断言できないが……それにしても、なぜ死霊魔術師がこのようなマネをするのか。
真相にたどり着くべく、俺たちは最後の力を振り絞ってアンデッド軍団へと立ち向かっていった。
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