無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一

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第148話 仕掛けられた罠

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 俺たちを魔獣が到着する前に片付けてしまおう。
 それが敵の狙いであるのは明白だった。

 ミネットの屋敷に迫りくるそいつらを倒すため、俺とクウタ、そして生身で戦っても強いノエリーやメイが加わり、敵の出方を待つ。

 この近辺では最近になって不審者の目撃が相次いでいる。
 仕掛けてきているのはそいつか、或いはそいつの一派の戦闘員か。

 いずれにせよ、前々から計画的に俺たちを付け狙っていたと見て間違いないな。

「さあ、どっからでもかかってきなさい!」
「みんなに手を出させるようなマネはさせません」

 ノエリーとメイはヤル気十分だった。
 ……思えば、昔からとても仲の良かった八人だけど、エヴェリンに誘拐されそうになったあの豪雨の夜からその絆は一層強まったように感じる。しかもその関係性は大人になり、立場が大きく変わった今も継続中というのだから驚きだ。

 頼もしいふたりに挟まれる形で、俺とクウタも臨戦態勢を取る。

 ――っと、戦うならクウタは今のままじゃダメだな。

「クウタ、本来の不死鳥《フェニックス》の姿になるんだ。敵への牽制にもなるからな」
「分かりました!」

 今は肩にとまるくらいのサイズだが、実際はずっと大きな神獣としての姿を持つクウタ。
 タマの時もそうだったが、その姿を晒すだけで大概の者たちは怯え、逃げだしてしまう。

 今回の敵に関しては実力や数などは未知数。
 あくまでもクウタの感じた気配に頼っている形だが、それほど強いヤツが乗り込んでくるとは思えなかった。

 もっとハッキリ言ってしまえば……恐らくこの場に現れた連中は先遣隊。

 様子をうかがうだけじゃなく、まずは小手調べとして戦闘もこなすつもりでいるようだ。
 まあ、偵察だけならここまで露骨に強い気配を発する必要はないもんな。

 あえてそれを漂わせ、俺たちを誘いだすのが目的なのだろう。

 ……いいぞ。

 その誘いに乗ろうじゃないか。

 しばらく待っていると、屋敷の周辺から物音が。
 しかもこの感じだと結構な数がいそうだな。
 何の手立てもなくこれだけの人数が集まったとは思えないので、結界魔法を突破してくる策もあるのだろう。

「いよいよ戦闘だ。みんな気合を入れていくぞ」
「「はい!」」

 当然ながらノエリーにもメイにも怯んだ様子はない。
 それでこそ我が弟子――なんてな。
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