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第138話 最後のひとり

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 ロザリンが語った「彼」――それは紛れもなく俺がまだ再会を果たしていない、八人目の弟子を指しているのだろう。

 ……思えば、ノエリーから声をかけられ、かつての弟子たちの現状を聞いた際、真っ先に浮かんだのは彼の顔だった。
 ある意味では、一番心配をしていたからな。
 そんな彼がアリアーヌやロザリンと同じく王聖六将のメンバーに選出されるほどの大物になっていたなんて……いや、能力的な話をすれば昔から突出していた。

 ノエリーやフィオナよりも高い身体能力を持ち、ミネットやティオグよりもキレる頭脳を有しており、さらに魔法使いとしての才はメイをも凌駕していた。アリアーヌやロザリンも彼には一目置いていたんだったな。

 ただ、メンタル面では少々危うさをのぞかせていた。

 自身が教会へ入るまでの経緯が複雑だったということもあってか、周りの子たちと少し距離を取っているようだった。

 しかし、それも俺のパートナー魔獣たちと触れ合っていくうちに少しずつではあるが改善されていった。
 距離があったみんなとの関係性も徐々に良好なものへと変わっていき、あの豪雨の夜ではミネットたちとともにさらわれそうになっていたノエリーを救うため、エヴェリンへと立ち向かっていくほどまでに深いものとなっていた。

「そうか……あいつも王聖六将に……」
「近々船でセラノス入りするらしく、迎えを送ると国王陛下がおっしゃっていました」
「随分といい待遇だなぁ」

 他の王聖六将候補は自力で王都に来ていたみたいだけど、わざわざ迎えを送るなんて。
 それほどの大物になっていたのか。

「彼は俺たちの中でも一番の出世株ですからね」
「そうね。たぶん、あの頃のメンバーの中ではもっとも顔を合わせる機会が少ないかしら」

 そ、そこまで偉くなっていたとは驚きだ。
 確かに優秀ではあったが。

 ますます再会するのが楽しみになってきたよ。


 その後、コーベット町長の身柄を拘束した俺たちは騎士団へと引き渡した。
 ノエリーやメイもロザリンとの再会を懐かしみ、さらに最後のひとりも王聖六将の一員として近々合流する予定であると知り、テンションがめちゃくちゃ上がっていた。

 俺自身、彼との再会は楽しみで仕方がない。

 それはティオグやフィオナ、さらにはアリアーヌも同じだろう。

 これで八人が全員揃う。
 そんな日を夢見つつ、俺たちはセラノス王都への帰路へと就くのだった。
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