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第137話 姿なき魔獣

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 かつての弟子のひとりであるロザリンと再会を果たした。
 それだけでも嬉しいのだが、彼女もまた俺の教えをもとにテイマーとしての道を歩んだという。

 一連の事件の黒幕と目されるレドルの町長を追っていたら、先回りしていた彼女がパートナー魔獣とともに捕らえていたのだが……肝心の魔獣の姿がどこにもなかった。

 肉眼では姿の見えない魔獣自体は存在している。

 メイの亡霊竜《ファントム・ドラゴン》が代表格だが、それ以外にもたとえばティオグの連れている死千蝶《ゴースト・バタフライ》のように外見では通常種との判別が難しいタイプもいる。

 一体どちらなのか――その正体を探るため、まずは亡霊竜《ファントム・ドラゴン》を探すように魔力を目に集中する。

 やがて、「そいつ」は姿を現した。

「こ、これは……」
「先生には私の魔獣が見えますか?」
「あ、あぁ……これは凄いな」

 思わずそんな声が漏れる。
 彼女の頭上に浮遊するロザリンのパートナー魔獣は……かなりデカい。
 こんなでっかいヤツがさっきからこんな近くにいたなんて信じられないな。

 体長は少なく見積もっても二十メートル近くある。
 その魔獣の正体は全身が紅色をした鯨であった。

「紅鯨《クリムゾン・ホエール》――この子が私のパートナー魔獣です」

 静かに語るロザリン。
 それにしても……紅鯨《クリムゾン・ホエール》か……やはりSランクの魔獣だな。
 ただ、ノエリーやフィオナの連れている魔獣と同じでバリバリの戦闘タイプ。
 この巨体ゆえ、テイムするにも相当苦労すると聞いているが、ロザリンをそれを成し遂げたというわけか。

 王聖六将に選ばれるのも納得だな。

 その後、町長たちは身柄を拘束され、ノエリーたちへと預けられた。
 これから騎士団による尋問が待っているのだろうが、すでに本人は自供を始めており、どうにかして罪を軽くしようとしている。

 だが、今さらそのような小細工は通用しないだろう。
 この男によって人生を狂わされた者たちが大勢いるのだ。

 しかるべき対応をとってもらわないとな。

「これで事件は一件落着だね!」
「ああ。しかし、疑ってしまったダルフォス家にはあとで正式に謝罪をしておかないとな」

 フィオナとティオグが事件のまとめに入る頃、俺は再びロザリンへと声をかける。

「同じ王聖六将として国をよくしていけるよう頑張ろう」
「はい。彼もそれを望んでいますから」
「彼? 彼ってまさか……」

 ロザリンがこのタイミングで呼ぶ相手といえば……ひとりしかいない。
 かつてテイマーの心得を教えた八人の弟子――その中で、俺がまだ会えていない、最後の弟子だ。
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