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第136話 突然の再会
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突如響いてきた悲鳴。
それは紛れもなく男のもので、状況的にコーベット町長の可能性が高かった。
俺たちは急いで叫び声のした場所へと向かい――その光景を見て思わず言葉を失った。
「ひいっ!?」
ビビり散らかしながらもその場から逃げだそうと必死に這いつくばっている中年男性――恐らく彼がコーベット町長だ。
その周りには五人の武装した兵士たちが倒れている。
こちらは町長が雇った護衛だろうか。
状況から察するに、襲撃した者から町長を守ろうとしてやられたのか?
しかし、一体誰が?
ティオグが後ろで町長の身柄を確保した直後に周りを見回してみると、少し離れた位置に誰かが立っている。
あの人が彼らを倒したのか?
近づいてみると……なんと女性だった。
しかもかなり若い。
――って、あれ?
あの子の顔……見覚えがあるぞ?
「き、君がこの人たちを?」
ゆっくり尋ねると、それに応じるかのように彼女もゆっくりとこちらへ顔を向ける――やはり俺の予想は的中していた。
向こうも俺が誰なのかをすぐに察し、驚いたように目を見開く。
「……顔を見た時はもしやと思ったけど、やっぱり君だったか――ロザリン」
「バーツ先生……お久しぶりです」
その場に跪き、静かな口調でそう告げるロザリン。
……昔から彼女はそうだった。
ロザリンはノエリーやティオグたちと同じく、俺が教会でテイマーとしての教えを説いた八人の弟子のうちのひとり。
中でも彼女はティオグと肩を並べるくらい真面目で、勉強熱心だった。
しかし、当時は気が弱く、ノエリーが馬車に乗せられそうになった際、ミネットたちは大人の男が相手でも勇敢に立ち向かって救いだした――が、ロザリンは震えながらその光景を見守ることしかできなったと後悔していたな。
年齢を考慮すれば、それが当然の反応と言える。
ミネットたちが特別勇気を持っていただけだ。
でも、彼女はそれをずっと悔やんでいた。
俺がラングトンにみんなを預けた時も、ロザリンは別れ際に「絶対に強くなります!」と宣言し、自分を変えようとしていたが……今の彼女の堂々とした姿を見れば、有言実行したんだなって嬉しくなる。
――待てよ。
以前、アリアーヌは俺がまだ再会していない残りふたりの弟子が自分と同じく王聖六将に選ばれていると言っていた。
じゃあ、彼女も俺と同じ王聖六将ってことか?
それに、ノエリーの話では八人全員がテイマーになったと聞く。
なら、この近くに彼女のパートナー魔獣もいるはずだ。
それは紛れもなく男のもので、状況的にコーベット町長の可能性が高かった。
俺たちは急いで叫び声のした場所へと向かい――その光景を見て思わず言葉を失った。
「ひいっ!?」
ビビり散らかしながらもその場から逃げだそうと必死に這いつくばっている中年男性――恐らく彼がコーベット町長だ。
その周りには五人の武装した兵士たちが倒れている。
こちらは町長が雇った護衛だろうか。
状況から察するに、襲撃した者から町長を守ろうとしてやられたのか?
しかし、一体誰が?
ティオグが後ろで町長の身柄を確保した直後に周りを見回してみると、少し離れた位置に誰かが立っている。
あの人が彼らを倒したのか?
近づいてみると……なんと女性だった。
しかもかなり若い。
――って、あれ?
あの子の顔……見覚えがあるぞ?
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ゆっくり尋ねると、それに応じるかのように彼女もゆっくりとこちらへ顔を向ける――やはり俺の予想は的中していた。
向こうも俺が誰なのかをすぐに察し、驚いたように目を見開く。
「……顔を見た時はもしやと思ったけど、やっぱり君だったか――ロザリン」
「バーツ先生……お久しぶりです」
その場に跪き、静かな口調でそう告げるロザリン。
……昔から彼女はそうだった。
ロザリンはノエリーやティオグたちと同じく、俺が教会でテイマーとしての教えを説いた八人の弟子のうちのひとり。
中でも彼女はティオグと肩を並べるくらい真面目で、勉強熱心だった。
しかし、当時は気が弱く、ノエリーが馬車に乗せられそうになった際、ミネットたちは大人の男が相手でも勇敢に立ち向かって救いだした――が、ロザリンは震えながらその光景を見守ることしかできなったと後悔していたな。
年齢を考慮すれば、それが当然の反応と言える。
ミネットたちが特別勇気を持っていただけだ。
でも、彼女はそれをずっと悔やんでいた。
俺がラングトンにみんなを預けた時も、ロザリンは別れ際に「絶対に強くなります!」と宣言し、自分を変えようとしていたが……今の彼女の堂々とした姿を見れば、有言実行したんだなって嬉しくなる。
――待てよ。
以前、アリアーヌは俺がまだ再会していない残りふたりの弟子が自分と同じく王聖六将に選ばれていると言っていた。
じゃあ、彼女も俺と同じ王聖六将ってことか?
それに、ノエリーの話では八人全員がテイマーになったと聞く。
なら、この近くに彼女のパートナー魔獣もいるはずだ。
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