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第144話 疑惑の町長
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レドルの町を腐敗させた張本人は一切接触をしていないコーベット町長である可能性が急浮上した。
……完全に盲点だった。
まさか町長が黒幕だったなんて。
いや、まだ断定したわけじゃないが、可能性としてはかなり高いと思われる。おまけにその罪をダルフォス家にかぶせて自分は逃げだすつもりだったらしい。
ともかく、彼が無罪か有罪かは直接会って追及するしかなかった。
俺たちは大急ぎでレドルへと戻る。
すでに町は多くの騎士たちが詰めかけており、事後処理の真っ最中だった。
「あっ! バーツ先生!」
「どうかされましたか?」
騎士団のノエリーと魔法兵団のメイはすでに到着しており、他の者たちと一緒に町の調査をしている最中だった。
ちょうどいいタイミングとばかりに、俺は彼女たちへコーベット町長を見なかったかと尋ねる。
「町長ですか? いえ、私はまだお会いしていませんが」
「私もです」
「というか、ここに町長っているんですか?」
ノエリーの疑問はもっともだ。
荒れ放題になっている町の様子を見ると、町長は責任を果たしていないように思える。
だが、それも最初は武器を持った屈強な男たちだったり、強力な魔獣をパートナーにしているテイマーたちの妨害があったりと、町長も被害者なのだって意識が働いていた。
コーベット町長ではどうしようもない。
――だが、本当にそうだろうか。
真実に近づきたいと、その後も町長を探すが……まったく見つからない。
「すでに町を脱出したあとかもしれませんね」
「ああ……その可能性が高そうだ」
ノエリーの意見に俺も賛同する。
恐らく、俺たちがあのテイマーを倒した時に旗色が悪いと感じて逃走したのだろう。まだそれほど離れてはいないのだろうが、どちらに逃げたのかさえ分からないと追うのは難しいか。
――だが、こういう状況を打開するのにピッタリな魔獣を連れているテイマーがいる。
「バーツ先生、ここは僕に任せてください」
それはティオグの死千蝶《ゴースト・バタフライ》だ。
「これから彼らを広範囲に展開させ、コーベット町長の現在地を割りだします」
「分かった。ならこちらは――クウタ」
「はい!」
上空から町長の行方を追っていたクウタを呼び寄せる。彼に巨大化してもらい、場所が判明したらその背にノエリーたちを乗せて追う準備を整えた。
「頼んだぞ、ティオグ」
「お任せください。――みんな、行ってこい」
ティオグの合図で死千蝶《ゴースト・バタフライ》が散っていく。
それにしても……やはり町長が黒幕なのだろうか。
……完全に盲点だった。
まさか町長が黒幕だったなんて。
いや、まだ断定したわけじゃないが、可能性としてはかなり高いと思われる。おまけにその罪をダルフォス家にかぶせて自分は逃げだすつもりだったらしい。
ともかく、彼が無罪か有罪かは直接会って追及するしかなかった。
俺たちは大急ぎでレドルへと戻る。
すでに町は多くの騎士たちが詰めかけており、事後処理の真っ最中だった。
「あっ! バーツ先生!」
「どうかされましたか?」
騎士団のノエリーと魔法兵団のメイはすでに到着しており、他の者たちと一緒に町の調査をしている最中だった。
ちょうどいいタイミングとばかりに、俺は彼女たちへコーベット町長を見なかったかと尋ねる。
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「私もです」
「というか、ここに町長っているんですか?」
ノエリーの疑問はもっともだ。
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だが、それも最初は武器を持った屈強な男たちだったり、強力な魔獣をパートナーにしているテイマーたちの妨害があったりと、町長も被害者なのだって意識が働いていた。
コーベット町長ではどうしようもない。
――だが、本当にそうだろうか。
真実に近づきたいと、その後も町長を探すが……まったく見つからない。
「すでに町を脱出したあとかもしれませんね」
「ああ……その可能性が高そうだ」
ノエリーの意見に俺も賛同する。
恐らく、俺たちがあのテイマーを倒した時に旗色が悪いと感じて逃走したのだろう。まだそれほど離れてはいないのだろうが、どちらに逃げたのかさえ分からないと追うのは難しいか。
――だが、こういう状況を打開するのにピッタリな魔獣を連れているテイマーがいる。
「バーツ先生、ここは僕に任せてください」
それはティオグの死千蝶《ゴースト・バタフライ》だ。
「これから彼らを広範囲に展開させ、コーベット町長の現在地を割りだします」
「分かった。ならこちらは――クウタ」
「はい!」
上空から町長の行方を追っていたクウタを呼び寄せる。彼に巨大化してもらい、場所が判明したらその背にノエリーたちを乗せて追う準備を整えた。
「頼んだぞ、ティオグ」
「お任せください。――みんな、行ってこい」
ティオグの合図で死千蝶《ゴースト・バタフライ》が散っていく。
それにしても……やはり町長が黒幕なのだろうか。
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