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第142話 ティオグの策略

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 レドルの町で行われていた違法行為の数々。
 裏で糸を引いているのが評判のいいダルフォス家である可能性が浮上し、俺はティオグたちと一緒にその人物を訪ねることにした。

 さすがに力のある貴族の屋敷。
 外観はもうこれでもかってほど大きく、庭もしっかり整備されて立派な造りとなっている。

「はあ……やはり貴族の屋敷というのは違うな」
「先生も正式に王聖六将のメンバーとなれば、ここに負けない邸宅を構えられますよ?」
「うーん……俺にはちょっとなぁ。大きすぎて逆に住みづらく感じるよ。今住んでいるあの小屋が性に合っていてちょうどいい」
「そういう控えめなところは昔も今もお変わりありませんね」

 あまり実感ないんだけどね。
 まあ、こういうのは他の人から見た評価だから、自分じゃ気づきにくいっていうのもあるんだろうけど。

 そうこうしているうちに、馬車はダルフォス家の屋敷前に到着。
 かなりの数で移動してきたから、外にいた使用人たちは驚いて何事かと集まってきた。代表してティオグが「至急、当主のセブロイ・ダルフォス様にお会いしたい」と告げると、使用人たちは慌てて屋敷内へ。

 やがて、当主のセブロイ・ダルフォスが姿を現す。

「遠路遥々よく来てくれた。さあ、中へ入ってくれ」

 動揺する素振りは一切見えない。
 こうなることを事前に予測し、おかしな言動をしないよう入念に準備していた可能性もあるが……まだなんとも言えないな。

 この場にいる全員で屋敷内に足を踏み入れるのは難しそうなので、まずは何人かに絞り、他の騎士たちには外で待機してもらう。

「何やら大所帯ですが、ここらで不審な事件でも起きましたかな?」

 応接室に通されると、早速セブロイ様はそう切り出す。
 これに対し、ティオグは探りを入れた。

「えぇ。その件ですが、セブロイ様は、レドルという町をご存じですか?」
「レドルか……悩まされているよ、あの町の治安には」

 大きなため息をついた後、セブロイ様はレドルに関する情報を口にした。

「以前から怪しい噂を耳にはしていたのだが、決定的な証拠を掴むまでには至らなくてね。どうもあの町を仕切っている者は騎士団から情報を得て巧みに悪事を隠している節がある」
「なるほど……」

 詰まることも焦ることもなく、淡々と述べていくセブロイ様。
 ここまでは彼に怪しいところはまったく見えないが……あとはあのテイマーふたり組の件を切りだすしかなさそうかな。
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