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第141話 評判のいいダルフォス家

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 ついに掴んだ黒幕の尻尾。
 だが、それはあまりに意外な人物であった。

「この町で行われていた数々の違法行為にあのダルフォス家が絡んでいたとなると……これは国を揺るがす大問題になりますよ」

 声を震わせながら語ったのはティオグだった。
 まだセラノスに移住して日の浅い俺にはあまりピンときていないが、あのティオグがここまで動揺し、さらに駆けつけたミネットも複雑な表情を浮かべていた。

「ダルフォス家とはうちの商会も取引していますが……まさかあの聡明で優しい当主のセブロイ様がこのような……正直まだ信じられませんわ」
「僕も同じ気持ちだよ、ミネット」

 このふたりにここまで言わせるなんて。
 ダルフォス家の当主とやらは表向きかなりの人格者として通っているらしい。まあ、そういう話は前に聞いたんだけど、改めてそれを認識させられたって感じだ。

 だが、ここまでふたりの心を鷲掴みにしているとなると、今後の調査に私情が挟み込まれる不安もある――と、思っていたのだが、

「ミネット、君の気持は痛いほど理解できるが……しかし、それでも、本当にダルフォス家の当主様がこのような悪行に加担していたとなったら、僕たちは裁かなくてはならない」
「分かっていますわ、ティオグ。わたくしも覚悟を決めます」

 どうやら、俺の不安は杞憂に終わりそうだ。
 ティオグもミネットも自分の立場をわきまえている。どんな時でも誰が相手でも公平な立場で物事に対処しなければならない……その心がけはバッチリのようだな。

「そうと決まったら、早速ダルフォス家の屋敷へ向かいましょう」
「ああ。実際にセブロイ様がこの事件にどう関与しているのか……少なくとも、あのテイマーふたり組がダルフォス家の屋敷近くに出没したのは間違いないだろうから、何か情報を持っている可能性もある」
「ですわね」

 俺たちの意見はまとまった。
 俺とミネットとティオグの三人を中心に、何人かの騎士を率いてダルフォス家の屋敷を目指すことに。もちろん、町の調査はこのあとも引き続き行われる。ミネット曰く、そろそろ話を耳にしたノエリーやメイが駆けつける頃だろうという。

 あのふたりがここでの調査に加わってくれたらとても心強い。
 こちらもやるべきことに専念できるというものだ。

 馬車の準備が整うと、念のため装備を積み込んでレドルの町を出る。
 さて、どうなることやら。
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