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第138話 黒幕候補
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捕らえた男ふたりは奴隷たちを閉じ込めておくための檻へ放り込まれた。
同時に、それまで捕らえていた者たちは解放されることに。
ただ、大半はまだ幼い子どもたちだったため、「自由に暮らせよ」と言って放っておくわけにもいかない。最初に俺たちと会ったあの子も含め、いずれはセラノス王都にある施設――かつて、俺がフィオナたちを預けた場所を紹介するつもりだ。
「この子たちも……俺たちと同じなんですね」
子どもたちを複雑な表情で見つめるフィオナ。
あの子たちの姿を過去の自分たちと重ね合わせているようだ。
「だが、あの子たちはきっとセラノス王都で元気に成長し、いずれはフィオナのところのパーティーへ入ってくる冒険者になるかもな」
「俺の後輩ってわけですね! そう思うと楽しみです!」
相変わらず切り替えが早い。
昔から、フィオナは落ち込むと暗くなるより今まで以上に明るく振る舞うというタイプであった。前向きというか、うじうじと考え込むのが性に合わないって感じだな。俺としてもそちらの方がよいと思うので、生まれながらにしてそういう感性のあるフィオナは凄いなと感心したものだ。
とりあえず、子どもたちは別室で待機させる。
もう強制的に従わなくてもよくなった町の人たちも協力してくれた。子どもたちはこれまでひどい目に遭わされてきたから警戒心を持つのではないかと心配していたが、彼らは根気よく謝罪とこれからすべきことを説明し、少しずつではあるが関係改善の兆しが見えつつあった。
さて、ここから問題になるのは捕らえたふたりだ。
俺とフィオナは子どもたちを任せてからとある建物へと入る。
そこは元自警団の詰め所であった。
今となっては廃墟も同然だが、ここにある檻はまだ健在。
子どもたちを捕らえておく場所として重宝されていたらしいが、今ではそこにこの町を牛耳っていたふたりの男が詰め込まれている。皮肉なものだな。
「ジャン、ヤツらは何か吐いたか?」
「いや、何も……ただ、腕の立つテイマーを雇えるとなると、だいぶ限られてくるんじゃないか?」
その見立てはあっているだろう。
今回はこちらが神獣二体もいる状態だったから不戦勝できた。仮にそうでなければ、あの魔獣たちには苦労させられたはずだ。
それだけの実力がある者たちを雇うとなったら、かなりの資金力がないとできない。
となると、黒幕候補は――
「まさか……ダルフォス家か?」
この町のある領地を治めるダルフォス家であった。
同時に、それまで捕らえていた者たちは解放されることに。
ただ、大半はまだ幼い子どもたちだったため、「自由に暮らせよ」と言って放っておくわけにもいかない。最初に俺たちと会ったあの子も含め、いずれはセラノス王都にある施設――かつて、俺がフィオナたちを預けた場所を紹介するつもりだ。
「この子たちも……俺たちと同じなんですね」
子どもたちを複雑な表情で見つめるフィオナ。
あの子たちの姿を過去の自分たちと重ね合わせているようだ。
「だが、あの子たちはきっとセラノス王都で元気に成長し、いずれはフィオナのところのパーティーへ入ってくる冒険者になるかもな」
「俺の後輩ってわけですね! そう思うと楽しみです!」
相変わらず切り替えが早い。
昔から、フィオナは落ち込むと暗くなるより今まで以上に明るく振る舞うというタイプであった。前向きというか、うじうじと考え込むのが性に合わないって感じだな。俺としてもそちらの方がよいと思うので、生まれながらにしてそういう感性のあるフィオナは凄いなと感心したものだ。
とりあえず、子どもたちは別室で待機させる。
もう強制的に従わなくてもよくなった町の人たちも協力してくれた。子どもたちはこれまでひどい目に遭わされてきたから警戒心を持つのではないかと心配していたが、彼らは根気よく謝罪とこれからすべきことを説明し、少しずつではあるが関係改善の兆しが見えつつあった。
さて、ここから問題になるのは捕らえたふたりだ。
俺とフィオナは子どもたちを任せてからとある建物へと入る。
そこは元自警団の詰め所であった。
今となっては廃墟も同然だが、ここにある檻はまだ健在。
子どもたちを捕らえておく場所として重宝されていたらしいが、今ではそこにこの町を牛耳っていたふたりの男が詰め込まれている。皮肉なものだな。
「ジャン、ヤツらは何か吐いたか?」
「いや、何も……ただ、腕の立つテイマーを雇えるとなると、だいぶ限られてくるんじゃないか?」
その見立てはあっているだろう。
今回はこちらが神獣二体もいる状態だったから不戦勝できた。仮にそうでなければ、あの魔獣たちには苦労させられたはずだ。
それだけの実力がある者たちを雇うとなったら、かなりの資金力がないとできない。
となると、黒幕候補は――
「まさか……ダルフォス家か?」
この町のある領地を治めるダルフォス家であった。
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