無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一

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第127話 出発準備

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 次の日。
 さすがに小屋の中へ収まりきれないので、俺たちは外で寝ることに。
 今はまだ暖かい季節だからいいけど、寒くなる前に新しい家ができてほしいところだ。
 
 起床して朝食を済ませると、俺はレドルの町へ出発する準備を始める。

「しかし、レドルとは……あの町は相当ヤバいって噂っすよね」
「ああ。中にはダンジョンにいるより危険な町って評価する冒険者もいるようだ」
「笑えない冗談っすね……」

 たまらずクロスの口からため息が漏れる。
 すっかり仕草が人間臭くなったなぁと思いつつ、ため息をつくのも仕方がないかって乾いた笑いが込み上げてきた。
 レドルの町は犯罪上等とされる危険地帯。
 そもそも、町長はかつて国家転覆を企んだ某国の大臣とかって話じゃなかったか?
 まあ、その辺は噂の域を出ないけど、とりあえずヤバい町というのは誰もが知る共通認識であった。

 しかし……セラノスがそんな危険地帯を放置しておくというのは意外だった。おまけにここは貴族の中でも評判が良いダルフォス家が治める領地内にあるという。
 どうにも、その辺が引っ掛かる。
 ダルフォス家の評判が本当ならば、そんな治安の悪い場所を放っておくとは思えないのだが……いや、あまりに悪すぎて手に負えないというのが真相なのかもしれない。荒くれ者が多い冒険者界隈でさえ、あの町へは極力近づかない方がいいとされていたからな。

「本当に行くのか、主よ」
「僕は行ったことがないんですけど、かなり危険じゃないですか?」
「俺も心配だ」
「……君らがいてくれたら平気だよ」

 ちょっとだけ魔法が扱える魔獣に神獣二体。
 正直、小国ならこれだけの戦力で支配できてしまうのではないかという強力なメンツなんだよなぁ。いくら荒れているとはいえ、町のチンピラを相手にするなら戦力過多だ。

 それに、今回はあくまで調査の段階。
 町の様子をチェックしつつ、レドルの町で行われているらしい違法行為を調べ、それをミネットに報告する。

 彼女は自分自身でレドルに乗り込もうとしていたようだが、さすがにそれは危険すぎる。
 Sランク魔獣使いとはいえ、何が起こるか予測できない場所だからな。

 ただ、それはそっくりそのまま俺たちにも当てはまる。

「みんな……油断せず行くぞ」

 俺は魔獣たちに声をかけ、気合を入れ直す。
 果たして、レドルの町では何が待ち構えているのか……慎重にいかないとな。
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